POTデイトやシリアルから88年製と判断しました。(シリアルは11万番台でした。)
せっかく購入したので簡単にレビューいたします。
○操作性とサウンドの概要
左からディストーション(ゲイン)、フィルター(トーン)、ボリュームです。トーンは右に回すとハイが落ちてモコモコします。ですので以下では反時計回りを開、時計回りを閉と書くことにします。
一般的な使い方は、歪ませたマーシャルにお好みのゲイン量で歪みをプラスする使い方です。アンプのハイの出方でフィルターを調整します。極端なことをしなければ、良い音になる調整幅が広く使いやすいです。ローゲインでブースター的でも、ハイゲインでもお好みでどうぞって感じですね。
単体のサウンドは、歪ませてトーンを開くとギャリギャリと鋭いRATの味が濃いキャラです。RAT臭いとも言えます。アンプの歪を絡ませると複雑さが出て良いです。歪ませすぎるとボーボーと潰れたファズっぽいサウンドになります。これはこれで良いですが自分のスタイルにはあまり合いません。
また、ジャズコのようなクリーンアンプでRAT2一発で歪みを強くするとRATのキャラが強く出過ぎる印象があります。
癖は強いですが、TS9の「単体で強く歪ませると何か味気ない感じ」とは異なる個性あるサウンドで、単体でも成立するように思います。
○好みのセッティング
アンプ単体で良い歪みが得られる場合にはRATの使い方はお好みでOK。極端なセッティングでなければ、どうやっても格好良く仕上がると思います。クリーンアンプと組み合わせて好みなのは、ディストーションを9時~12時、フィルターを全開近くで、アンプやピックアップの具合を見ながら調整します。すると、オーバードライブのような、でもTS系のクセとは違う、カラッとして明るいサウンドが良いです。ギターのボリュームを絞ると、完全なクリーンにはなりませんが、カッティングに合う軽いクランチサウンドになります。
このあたりもTS系とは異なる使いやすさがあり、RAT2をお勧めしやすいポイントになります。
クリーンなアンプであれば、RAT2の後ろにTS9のような中音域が強いオーバードライブを軽めに歪ませて置くと、歪みに複雑さが出て、サウンドに厚みが加わって良いです。後段のゲインを高めに設定すれば、後段OFFでカッティング、後段ONでソロという使い方ができます。個人的には、両方の歪を軽めに設定して複雑さを出した状態が好きなので、ソロの際にはもう一発別のペダルを組み合わせたくなりますが、それをすると設定次第では音が潰れるので悩ましいところ。
昔の個体の方が音抜けが良いとされていて、実際にそのような傾向があるようですが、わたしの好きなフィルターを開き気味にする使い方ならば、新品の物でも良い結果が得られるのではないか?と感じました。
どのような設定でも、良い意味で古臭さのあるサウンドにまとまってくれて、ローゲインなら昨今のおしゃれなバッキングフレーズから、歪ませて80~90年代ロックまで対応できます。他のペダルやアンプとの組み合わせで出来ることの幅が広く、TS9よりも使いやすさがあると感じました。TS9は特有の安心感があるので、それはそれで良いのだけどw
ですので、1台目のエフェクターに選んでも長く使えるでしょうし、機材に煮詰まってきた人が手にとっても満足感や、新たな発見があるかもしれません。多くのギタリストが使ってきた物なので、これで経験を積むのも良いでしょう。自分も入手して良かったと感じています。
○1988年製造RAT2にナショセミ製LM308Nが搭載されている
現在、RATと呼ばれるものは「ProCo RAT2」となります。「ProCo RAT」(いわゆるRAT1)が70年代から製造されていて87~88年頃に終売、RAT2が発売されました。スパッと切り替わったわけではなく、併売期間があったようです。その観点から今回の個体を見ると、RAT2の出始めの個体となりますね。
古いものはモトローラのLM308Nが使用されているとの話がありますが、こちらはナショセミ製です。シリアルは11万番台でした。こちらの魔法の箱研究所さんを参照すると、88年のRAT1が9万番台で、Bella Voce Gibsonさんのブログを参照すると、11万4000番台で88年とのことですから、ほぼ間違いないでしょう。ちなみに、Bella Voce Gibsonさんのサンプル情報だけ見ると、88年にナショセミを搭載した個体が少ないので何気にレアですね、これ。
私は完全に趣味というか研究のために購入しましたが、皆さんは現行か、上質なフォロワーなペダル(JHSとか)を購入するのが良いと思いますよ。