味付けは薄めで、繋げばよい音!というわけではないのですが、いろいろとトライすることで良く出来た使い勝手の良いペダルであることが分かってきました。トランスペアレント系の入門としてもおすすめです。
通販での購入は公式サイトからが良いでしょう
〇JRM-ODはJan Rayコピーと言われているが
JRM-ODは、ブラックフェイス期のフェンダーアンプを再現したモデルとの売り文句に、Jan Rayと同じ操作系で「まぁそうだよね」といったモデルになっています。
Jan Rayに対してSaturationツマミが指で操作できるように出ている点と、クリッピングモードの変更が追加されている点がJRM-ODの操作面での違いです。Jan RayはSaturationの操作にドライバーが必要です。
JRM-ODを触ってみた結果、このSaturationのツマミがサウンドのキャラを大きく変化させます。このツマミがJRM-ODのポイントです。JRM-ODはこれを積極的に活用することを想定していると思われます。
Jan Rayの場合はギターや環境によってSaturationを弄って基本のサウンドを作って固定した後に各操作でサウンドを作りこんでゆく、あるいは曲によって変化させる思想なのでしょう。
これ以外に、トランスペアレント系の代表格のひとつとされるJan Rayは、盛るのではなくて削る点が特徴となっています。これ以外に、共通認識として「音(帯域バランス)に与える影響」が小さいものと考えられているように思います。
その観点でJan Rayを眺めると、そこそこ中音域が盛り上がっていてギターの美味しいところが引き出されているように思います。これに対してJRM-ODはあっさりです。
〇Saturationノブの効果について
Saturationノブについて「Jan Rayではキラキラした倍音成分が増える」と説明されることが多いです。
先に、Saturationによるサウンドの変化について述べましょう。Saturationによる歪みはGainやクリッピングによるマイルドさのある歪みではなく、鋭さがあってギラっとしたディストーションっぽさもある歪みです。これはおそらく、ハードクリッピングになっているものと思われます。
右に回すほどクリッピングするポイントが下がってきて、歪みやすくなります。Saturation=飽和で、それ以上の出力が出なくなって信号の大きな部分が潰れて歪むことにつながるということですね。
JRM-ODでは、このノブが表に出されているので、これを積極的に使うのが良いでしょう。なお、クリッピング切り替えスイッチがセンター位置の場合が差が分かりやすいです。スイッチが上もしくは下の時も差は感じますが、センターの時ほどではありません。
〇JRM-ODの好みのセッティング
JRM-OD一発で、PRS SE Custom 24-08(相当)での好みの設定は、Vol.適度、ゲイン2時、BASS10時、TREBLE2時、Saturation3時、クリッピングスイッチは上か中(非対称かノーマル)が好みの設定です。低音が出るピックアップならTREBLEとBASSを調整してください。これなら、ボリュームを絞ってバッキングから、リードまでいける感じです。Saturationによってキャラクターが大きく変わるので、そこに注意して調整するのが良いでしょう。
他のペダルと組み合わせるならば、ゲインは10時か9時ぐらいのローゲインにして初段に配置するのが好みでした。
Jan Rayはローゲインオーバードライブと呼ばれることがありますが、そこそこ歪みます。JRM-ODはそれよりもゲインが高めで、ローゲインという印象は低いです。ゲイン10時でも結構歪みますよ。(※後日追記:この時に使ったPRS SEのピックアップがハイゲイン過ぎたみたい。分類はローゲインODで良いと思います。)JRM-ODの良さは、歪み始めるかどうか?のギリギリのローゲインの部分でもスムーズにつながっています。これがピッキングのニュアンスやボリュームの追従性に繋がってゆきます。ローゲインが不得意なペダルにありがちな「ジリジリ」「バリバリ」が出にくくてスムースで、この点も好みです。
○KCM-ODとJRM-ODの組み合わせが素晴らしい
先日、JHSペダルのYoutubeを見ていて発見したのですが、トランスペアレント系ペダルを初段に配置してミドルの厚い古典的ドライブペダルを後段にゲインを高めにして置くのが良いとのことで
2:20あたりから参照してください。
ジョシュが言うように、ケンタウルス系の素晴らしい歪みを活かした方が良いとのことでした。自分も、せっかくKCM-OD Goldはオリジナルに準じたゲルマニウムクリッピングを備えているのだから、これは活用したいと思っていました。
ローゲインに設定したJRM-ODの後段に、ゲインを高めに設定したKCM-ODを配置すると様々な歪み成分が混ざり合ったサウンドが出せます。これは楽しい。
〇オリジナリティのある機能
JRM-ODの特徴のひとつがリレー回路の装備です。
一般的なトゥルーバイパスと異なり、また、BOSSのような電子スイッチ式とも異なるメカニカルなリレーが内蔵されています。リレーは操作用の電気信号によって信号が通ったり切れたりと操作できる部品です。これを活用することでJRM-OD V5.0では、電源の導通が切れたり、電池が消耗した際には自動的にバイパス状態に切り替わるシステムを組んでいます。
これによって不慮の事故があっても音は出続けるという構成を組むことができます。予想となりますが、このシステムがStudioDayDreamの標準仕様となるのではないでしょうか? とはいえ、他社モデルには見られない仕様でありJRM-OD一発の構成であればともかく、現実的にはこのシステムに助けられるという場面は少なそうです。標準装備となってStudioDayDreamでボードを揃えたときに有効となると良いですね。
また、筐体の仕上がりも良いですよ。
ローレット加工がされたノブはグリップが良く、調整がしやすいですし見た目も良い。価格は1万6000円と、使い勝手の良さと筐体の仕上がり、当然のようにサウンドの良さを考えるとお買い得です。これを買って、トランスペアレント系の使い方を練習するのは非常に有効だと思います。