そんなところ変えて音が変わるのかよ?と最初は思いましたが、想像以上の変化に驚いています。
○トレモロのスプリングを留めておくハンガー(クロー)を交換して音質が変わるのか?
私も一人のエンジニアとして、重量バランスや部品の質量、共振周波数が変わればどういう影響が与えるか?とか考えるわけですが、ちゃんと考えると逆に「トレモロのスプリングを留めておくハンガーを交換しても音は変わらんだろ」と思うわけです。だって、動いていないし、弦も繋がっていないし(スプリングを介してでは、さすがに効果薄いと思うわけで)。
しかし、効果があるとのレビューをいくつか見て、ちょっと効果があるならうれしいと思って試してみようと考えました。スプリングハンガーなら元に戻すのも簡単ですし、価格も控えめですからね。私のPRS SE Custom 24-08に取り付けることにしました。
参考サイト:ギターいじリストのおうち
○Creatifinity Partsさんのブラス製トレモロ用スプリングハンガー CTSC-2
Amazonで購入しました。
ブラス削り出しで重量級の部品です。ふつうは板金を曲げただけの部品ですからね。仕上げは良いですし、ツメ部分が斜めに削り出してあってバネを引っかけやすくなっています。
高難易度加工ってわけではありませんが、ひと手間かけてありますね。ちゃんとしています。
○Raw Vintage トレモロスプリングを使いたい人は、ハードタイプのスプリングを買っておくと良いよ
Raw Vintageのトレモロスプリングはバネレートが低く柔らかいので鳴りが豊かになると評判です。しかし問題があって、弦が太い6弦側の張力が強くて6弦側のテンションを高くする必要があります。斜めになりすぎるため、5本中、6弦の2本をPRS SEのストックの物にして張力を稼いでいます。それでもちょっと斜めになっていますね。(全部Raw Vintageだと、すっごい斜めになります。)
というわけでCreatifinity Partsさんのハードタイプのスプリングを買っておくのをお勧めします。これで張力のバランスを取ります。取り付けてみるとこんなかんじ。
Raw Vintage 3本 + PRS SE 2本 → RV 4本 + Creatifinity Parts ハード1本の組み合わせにしました。チューニングが変わらないようにテンションを調整しました。サウンド変化は特に分からず。さすがに差が小さすぎるかと。
○トレモロハンガーを交換したことによるサウンド変化
交換は簡単なのでいきなり交換済み。
先に交換前の印象を。弾くと生音の音量はそこそこ出るものの、柔らかくて芯が無い印象でした。音が前に飛んでいかないような、鳴っている部分が部分的なような。ハイポジションのコードではルート音が埋もれるような分かりにくいような、モヤっとした印象でした。
交換後、弾いてみて中高音が明瞭になったのがすぐに分かりました。芯があって煌びやかさがあります。キンキンしたりジャリジャリするわけではありません。オープンコードが豊かでバランスが良くなりました。さらに、ハイポジションのコードでもコード感がしっかりとバランスが良いです。これだけでも交換して良かった。そして、軽いタッチでも反応するようになり、強く弾けば強く弾いたのに反応するダイナミクスが豊かになっているのを感じます。
○PRS SEの弱点のデッドポイント対策になるかも?
次に感じたのがサスティーンが伸びるということ。生音でも分かるぐらいに伸びます。PRSおよびPRS SEはボディーの形状の都合で1~3弦のハイポジでデッドポイントが生じやすいらしく、自分のギターも1~2弦の20フレあたりでは音伸びが悪かったです。もう二伸び欲しいけど、贅沢言わんから一伸びしてくれって感じ。
これが交換後に、1.5伸びぐらいはしてくれています。ハイポジでそもそも鳴りが厳しいところなので十分なレベルかも?とも思います。具体的に言えば、60BPM 2弦20フレのチョーキングで、全音符だけ伸びてほしいところが二分音符で音が消えていたところ、全音符だけ伸びるようになってくれました。これは助かる。
デッドポイントを完璧に解消できているとは思いません。解消って非常に難しいと言われていますし、対処法も限られるので対策の選択肢としては良いと思います。気に入らなくても元に戻しやすい改造ですから。
ギター全体の鳴り方が変わった状態でしばらく弾くと、その鳴り方への馴染みが生じるかも?と思います。ギターが鳴ってくるってやつです。ですので、交換後に思ったように変わらなくても、しばらく弾きこんでやると印象が変わるってこともあるかも?と思います。(部品交換後は鳴りが悪くなるって話もありますし。)
○サウンドはストレートに出るようになった! しかし人によってはマイナス面も?
交換前は、音が潰れない程度にエフェクターのゲインを上げてハイポジでソロを弾くと音伸びや歪み感が足りないことがあったので、前段に軽く歪ませたブースターを配置して楽しんでいました。
交換後は、ブースター無しでも音抜け感と基音が出てきてギリギリ弾けるようになっていました。僅かにブースターが欲しくなりますが、同じ設定だと音が強いと感じるほどの差がありました。私の個体は先に書いた通り、モヤっとしたところがあったのでバランスが取れるようになりました。しかし、人というかギターによっては鋭く鳴りすぎると感じるかもしれませんね。
また、交換前はフロントピックアップでジャズっぽい太いサウンドが出ていましたが、交換後は「あれ?こんなにシャキっとしてた?」と思うほど印象が異なりました。これも人によってはマイナスかも?
基音(フレットを押さえて鳴らしたときの中心となる音。チューナーで表示される音)が強くなったため、ピックアップの出力が大きくなったような印象を受けます。自分のPRS SEのPUはパワーがそれなりで、決してハイパワーではないですが、明らかに音が強くなり、高さ調整が必要なレベルとなりました。PUを交換したレベルの差がありますね、これ。
○トレモロクローを交換するとサウンドは結構変わります
びっくりしました。私の場合は非常に好みな変化があって嬉しく思っています。高音域の音伸びが良くなったのは本当に助かる。原理は不明ですね…。バネの根元が重くなったことで基準位置が動かなくなったのか、各バネの振動が干渉しあわなくなったのか…。
今回購入したCreatifinity Partsさんは発送が速くて品物も丁寧ですのでおすすめです。興味がある方はトライしてみてください。