SUNDARAも良いなぁと感じましたが、直接比較しますと価格差以上にANANDAの良さを感じました。鮮やかかつ低音の厚みもあって、良い!と感じやすいバランスに仕上がっています。
※参考
・HIFIMAN SUNDARAレビュー
・HIFIMAN SUNDARAとANANDAをじっくり比較しました
詳しく見てゆきましょう。
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
中高音鮮やかなバランスの上に、しっかりと鳴る重低音、鮮やかで明瞭なボーカル域、キツさ無く繊細さも出る高音域と、全域にわたって表現の上手さが光る。
〇HIFIMAN ANANDAとは
HIFIMANのヘッドホンは平面ドライバを用いたタイプが有名で、これまでに多くのモデルがリリースされてきました。各世代での進化のポイントは色々でしょうが、今回のトピックスはドライバ板の薄さが従来モデルに比べて大幅に削減できた点でしょう。SUNDARAも薄く仕上がっているそうですが、ANANDAはコストをかけてかなり薄く仕上げたとのこと。
後で詳しく述べますが、薄く仕上げたことの効果により、それほど出力の無いアンプでもかなり鳴らしやすく仕上がっています。これは嬉しい。
〇HIFIMAN SUNDARAレビュー
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Amazonと楽天ではeイヤホンさんのみが正規取扱いで、ポイント還元のことを考えると楽天で購入するのが良いかも。
今回は、HIFIMAN JAPANさんよりサンプルレンタルいたしました。
■全体の印象
特に弱い音域が見つけられず、中高音が鮮やかなフラット系か中高音域を中心としたなだらかなカマボコ。かなり低い低音もしっかりと鳴っており、高音もかなり高い音も十分に出ている。しかし、どこかの音域を強調した感じは無く、凹凸もなだらかな印象。中高音域が非常に明瞭で鮮やかで、このあたりの印象が強い(音量が大きいとは少し異なる)。キツさもなく明瞭さを出している点はさすがは高級機といったところ。
定位・空間的な広がりは共に良い。打ち込み系やロックなどとの相性は良いが、ノリの良さを上乗せするタイプではない。分離は非常によいし、イコライザーなどで特定の周波数を持ち上げても破綻する感じが少ない。
■各音域の印象
重低音の量はやや控えめ。しかししっかりとした主張があり、音楽の下支えをするのに十分な量が得られる。中高音の鮮やかさが印象的なので目立ちにくい感じはある。しかし良く聴くと、かなり低いところからしっかりと出ているのが分かる。ベースラインやバスドラはかなり締まった鳴りに対応する。(それらを強調する感じではない。) どの音域にも当てはまるが音源に倣う鳴り方。
スネアやタムはキレのある音はキレのあるように鳴らしてくれる。シンバルの表現が上手く、音量自体は大きくないのに、細かなニュアンスの差を出し、鮮やかに金属的な鳴りをしてサスティーンも確保しつつ、キツさや刺さりの無い鳴りを聴かせてくれて非常に上手い。クラップ(手拍子)がパンッという破裂感が非常に良く出てハッとすることがあった。
ボーカルは非常に上手い。どちらかというと鮮明で柔らかや豊かさは控えめに感じるが、低い音程の男性ボーカルも厚みや豊かさを十分に出す。息の音やリップノイズが適量出て非常に生々しい。ボーカルとの位置関係はどちらかというと少し近めに感じることが多いが、音源に倣った鳴り方と言って良いだろう。サ行やパ行の刺さりは無い。
エレキギターは非常に上手い。ディストーションのエッジ感やキレが非常に良く出るし、暖かみのあるサウンドも上手くこなす。強調しない程度に、弦のスクラッチやピッキングの音も出るので、聴いていて新たな発見がある。リバーブや空間系のエフェクトの掛かりが良く、空間的な広がりの表現の上手さが出ている。アコースティックギター(スパニッシュギター)との相性も非常に良い。
ピアノは鮮やかさと響きが良く出る。中高音が鮮やかなので軽やかなサウンドの方が、どちらかというと合うかもしれない。優しく(弱く)鳴らした時のニュアンスが出る辺りはさすがといったところ。
バイオリンは、楽器由来の響きと鮮やかさの両方が出る。弦をこするザリッとした成分も出て、緊張感も上手く表現する。チェロなどのもう少し低い音程の楽器も低音域の表現を活かして厚みを持って鳴らしてくれる。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル≧ピアノ>ギター≧シンバル≧ベース>バスドラ
■その他聴こえ方
サーノイズは多少鳴らすが耳障りな感じはない。空間的な広がりが良く、ホールの残響や反響の表現も上手い。打ち込み系もキレのある低音域の表現と、中高音の鮮やかさでマッチする。定位は良いが、どちらかというとやや近めに定位するような感じがある。
SUNDARAよりも鳴らしやすく、2~3万円クラスのアンプを持つ方ならば十分に鳴らせそう。(より高性能な物なら更に良い音を出してくれそうだが…)
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■お勧めできる人
中高音が鮮やかなバランスを好むことを前提として、全域の表現の上手さを求めるなら非常に良い選択だろう。各音域の表現も上手いが、ボーカルが前面に出てくるバランスのため、ボーカルを重視するなら試して欲しい。
装着感が良く、キツさや聴き疲れの少ない表現であるため、長時間音楽に浸りたい人にはお勧めしたい。
■お勧めできない人
中低音の厚みや豊かさはあるが、全体的には鮮やかなバランスのため、暖かみや太さを重視すると違うかもしれない。また、どんな音楽でもノリ良く鳴る感じではないため、そういうのを求めると違うかもしれない。
■雑感
全域にわたって表現の上手さがあり、中高音が鮮やかなバランスで非常に良いです、という一言で済ませたいなぁ、というのが正直な感想です。いろいろ書こうとしても、すべて上手い・上手い・上手いで終わってしまうため…。
各音域の音量のバランスや好みはいろいろあれど、全域にわたって表現の上手さが良く分かる点は素晴らしいと感じます。中高音鮮やかといっても低音・重低音が抜けている訳ではない点は特筆しておきます。
特に、シンバルなどの超高音域を強調していないのに鮮やかで表現上手くまとめている点は、私の思う『歪みの少ない良質な高音域』を体現しているようで、さすが高級機だ、という納得感があります。試聴の場合はこのあたりにも着目してください。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆☆★
使い勝手 ☆☆☆★★
お勧め度
一般 ☆★★★★
趣味人 ☆☆☆☆☆
コメント
お買い得度は約105000円で購入として判定。他の10万円クラスと直接比較したわけではないのを考慮いただいて…、仮に2万円クラスのアンプを所有されている人なら十分に楽しめる鳴らしやすさだ、ということを考えると、他の10万円クラスのヘッドホンでアンプに追加の支出が必要な場合と比べるとお買い得かもしれない、という考えで☆4つ。少なくともSUNDARAの2倍の価格は納得できるし、『ヘッドホンに10万円出すとこんなにすごいのか!』という感動を保証できる。使い勝手は、鳴らしやすさの点と装着感の良さで☆3つに。音は盛大に漏れるし、大型なので室内使用になることが前提だ。大型のハウジングが許容できるなら☆4。
お勧め度は、ここでは初心者はDACやアンプなどの最低限の環境が整っていない人が対象なので、そういう人は先にそっちを買ってから、ということで☆1つ。変な話だがPCやスマホ直挿しでは厳しい、という程度に思って欲しい。
趣味人へは、中高音鮮やかなバランスが好きならばぜひとも試して欲しいところ。5万円以上の高性能なアンプと5万円クラスのヘッドホンを選ぶか、手持ちの2~3万円のアンプとANANDAなら、ANANDAを選んでも良いのではないか?というのが私の意見。それぐらい鳴らしやすさとポテンシャルの高さがある。
Amazonと楽天ではeイヤホンのみが正規取扱いで、ポイント還元のことを考えると楽天で購入するのが良いかも。
今回は、HIFIMAN JAPANさんよりサンプルレンタルいたしました。
※参考
・HIFIMAN SUNDARAレビュー
・HIFIMAN SUNDARAとANANDAをじっくり比較しました
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