先日、ちょうど依頼がありまして写真を撮ってきました。(トリミング有)
屋外は屋外なりに難しさがあるのですが、室内だとかなり暗いことが多く、非常に厳しい戦いが強いられます。というわけで、私が室内ライブ撮影をする際の機材で外したくないポイント、要求する性能をまとめてみました。
そしてその性能を満たしてくれるのが、私にとってPanasonic G9 PROではないか!?というお話です。
室内ライブ撮影でのポイントや設定も記載していますので、そういうのに興味がある人の参考になればと思います。
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〇私の現在の機材
私は、より難易度の高い撮影や画質を重視したい場合はNikonのDX(APS-Cサイズ)のカメラであるD7200を愛用しています。よりエクストリームな環境や失敗したくない場面ではこちらを選ぶ、と考えてください。サブとしてマイクロフォーサーズ機のPanasonic Lumix GM-5を所有しています。
D7200はディスコンですので、現状だと、ちょっと高くなっていますが、D7500かD500という選択になると思います。
〇ライブ撮影やポートレートで必要な性能
なんでも性能が高ければ有利ですが、そうなると最高のボディーと最高のレンズを全部持って来いってなってしまうので、より絞り込んで考えましょう。
室内ライブ、といっても様々ですが私が依頼を受けるような規模ですと、小学校の教室ぐらいのサイズで舞台があって、あっちこっち立ち位置を変えながら撮影できるような感じです。ですので、超望遠のレンズは不要です。演者や他のお客さんの邪魔にならないのが前提ですが、手を伸ばせば握手できるぐらいまで近づける場合がほとんどです。
舞台上は照明で明るいとはいえ、明暗差があって明るく見えるのであって、撮影の観点から言うと『かなり暗い』です。
以上を統合して、私の機材や要望をまとめるとこんな感じ。この辺りの要望については、後半で撮影した写真を交えて解説します。
・メインは換算70-200mm 1本で撮影
・換算28-50mmぐらいが1本あると助かる
・メインレンズはF2.8欲しい(最低F4)
・コンパクトさは重要
コンパクトさはさておくと、各社からラインナップされている換算70-200mm F2.8のレンズを買ましょう、という結論になってしまいます。
〇NikonのDXに求めるスペックのレンズが無い!
先に示した物はド定番のレンズですので、当然Nikonのフルサイズラインナップにもピッタリの物があります。現行ではAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRで、仮にD750と組み合わせたとします。その重量はD750+70-200mm F2.8で850g+1430g=2.3kgもあり、価格は約40万円です。使う頻度が高ければ考えてみる余地はありますが、私には手が出ません…。
で、カメラをAPS-CサイズであるDX(D7200はこれ)で使うとすると、換算値1.5倍の105-300mmになります。これだと、近づいたり少し広く撮る場合には105mmでは長すぎます。かといってレンズ交換は減らしたい。では、それっぽいDX用のレンズがあるかというと、これが無いんだなぁ~。となると、Nikon DXで希望の性能を満たすセットが無い、という現状です。
※参考
ここでCANONやSONYを見てみますと似たような感じで、そういう厳しい環境はフルサイズカメラで上位のレンズを買ってね、という印象です。サードパーティーのレンズも似たような感じです。唯一、重く、やや望遠側が短いですがSIGMAのArt 50-100mm F1.8 DC HSMは候補に入りますね。
〇Panasonic Lumix DC-G9(G9 Pro)が欲しい
そこで白羽の矢が立ったのが、Lumix DC-G9 通称G9 Proです。これにLUMIX G X VARIO 35-100mm / F2.8 II / POWER O.I.S.を合わせます。
LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8の良い所は、スペックの割に圧倒的に軽量でコンパクトである点です。400gを切っています。G9 Pro(660g)との組み合わせで、1.1kg以下という軽量さです。オリンパスでも同様の組み合わせは選べますがレンズが1.4kgと重い…。(その分描写が良い)
※ちなみに
私がサブ機として持っているGM5と同じマイクロフォーサーズ機で選びました。Pentax&富士フィルムにも要求を満たすセットがありますが、これを買うならNikonはドナドナで、マウント変更というさらに踏み込んだ話になるので避けました。
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〇Lumix G9 Proが欲しくなった理由
では、私が実際に撮影した写真と、その時の設定を振り返りつつ、私が先に示したスペックが欲しい理由や、G9 Proが欲しい理由を考えます。
この写真は、SS:1/150 F4.5 ISO5000という条件で撮影しました。ピッキングする右腕がブレています。多少動きが欲しかったのでこれぐらいで。完全に動きを止めたいなら、SS:1/250ぐらいは必要となります。そうなるとISO5000では足りませんね。(顔を隠す都合上、トリミングしています) この写真は比較的照明が当たっている人にピントを合わせようとしているのでISO5000で済んでいますが、演出上暗めになった時はISO8000ほどで撮影した写真も多かったです。そう考えると、F値に余裕があるF2.8のレンズは魅力的に見えてきます。
この写真は、SS:1/40 F2.8 ISO500という条件で撮影しました。肩周りは止まっていますが、激しく動いている手はブレている躍動感を狙ってみました。(トリミング済み) 経験則になりますが、人の動きで大胆に動きを出そうとすると短くてもSS:1/60程度に設定する必要があります。SSを遅くすれば遅くするほど動きますが、手振れも厳しくなりますし、動いてほしくないところもブレてしまいます。(この写真の場合は胴体もピッタリ止まっている訳ではないので)
また、手持ち撮影で、それなりに動く物体を撮影する際の手振れが目立ちにくい限界は、SS:1/60とかSS:1/30あたりだと経験則ながら考えています。そうなると、被写体の動きを活かしたような撮影の際には、手振れの限界もギリギリということになります。
トリミング無しでどれぐらいのサイズで写るかを検討しましょう。
この写真で、換算200mmほどになります。ステージ袖付近で、ボーカルを横から写すような立ち位置で撮影しました。これぐらいのサイズ感で撮ることを考えると、換算200mm、最低でも換算150mm程度は必要です。逆に広角側は、ネットに出せる適当な写真が無かったので文字だけになりますが、換算70mmぐらいあれば割と対応できます。(APS-Cで50mmのレンズを使った感じ)
とにかく焦点距離が換算70-200mmのレンズが1本あれば、ある程度の撮影が可能ですし、集合写真とか近づいてとか、会場の雰囲気を撮るために、それより広いズームレンズが1本あれば保険として十分です。
そしてF値は、F2.8のレンズは撮影時の設定に余裕が生まれるため安心感が違います。(F2.8通しってのは焦点距離を変えても露出が変わらずに分かりやすいんですよね…) また、SS:1/40のようにシャッタースピードを落とすならば手ブレ補正が強力だと非常に助かります。(ちなみに今回の撮影は手ブレ補正無し)
ライブは今回は2時間程度。今回使用したセットが最も重い物で1.6kg。それを持ち続けるのは結構大変です。(だいぶ慣れましたけど) やっぱり軽いは正義ですよ。
そんなこんなを考えますと、希望するスペックを満たすレンズがあって、ボディー内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を組み合わせてくれて、小型軽量なG9 Proが非常に魅力的なんです。
〇最後に
え?『お前は何を使って撮っているのか?』ですって? 実は私は、D7200に、遠い昔にディスコンになったTokinaのAT-X 535 PRO DXを使用しています。50-135mm(換算75-203mm)でF2.8。フォーカス用のモータが無くてボディー側モータが必要でピントが遅いことを除けば、理想的なスペックです。(APS-C専用)
しかし、こういうレンズが後継モデル(もしくは他メーカによる代替品)無く終売していることを考えると、やはり売れないんでしょうね。もしくは利益が薄く元が取れないのでしょうか。現在のNikonの動きを見ていると、DXでこういうレンズが発売される望みは薄いと踏んでいます。
私は性能や画質よりもコンパクトさやフットワークを重視します。そんな私でもF2.8が欲しいと思ってしまう室内でのライブ撮影は、なかなか厳しい環境です。私はAT-X 535 PRO DXがあるのでまだ良いですが、他の方は結構苦労しているのでは?と思います。また、このレンズは先に書いた通りピントが遅いし手ブレ補正が無いので、なおさらG9 Proが魅力的に見える次第なのです。