独り黙々とその趣味と向き合う人もいれば、同じ趣味を持つ人と広く交流したり、趣味を通じて何かを作り出したり表現したり…。
ここで、この向き合い方についてよくよく考えますと結構難しいというのを以前より考えてきました。
写真撮影はアウトプット型が主となりやすく、
インプット（フィードバック）を得やすい
インプット（フィードバック）を得やすい
趣味で人に迷惑を掛けなければ良い、というのも正しいのですが、ただ自分が楽しむだけでは頭打ちが早いのではないか？とも思います。また、人と交流するといっても、考えが異なることを許容できなかったり、逆に受け入れすぎるのも問題になったりします。
この記事では、物を買って自分の中に取りこむ事（インプット）が主となりやすいオーディオ関連と、買った道具を使って表現する事（アウトプット）が主となりやすい写真撮影を対比させながら、インプットとアウトプットのより良い関係について考えてみたいと思います。
※注意
この記事はとても長いです！
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〇はじめに
この記事を書こうと思ったのは、Twitterなどにおいて、相手の趣味の選択について難癖を付けたり、逆に自分のレベルが低いと萎縮してしまったりするのを見たりしたことや、もう少し視野を広げればより踏み込んだ趣味との付き合い方ができるのでは？と思う事例を見たりしたのがきっかけです。
その中で、私が以前から感じている、趣味の付き合い方においてインプットとアウトプットのバランスが崩れていることが原因ではないか？と思う事例があり、このような記事にまとめました。
私も両方をバランスよく取り入れているか？と問われると、まだまだだと感じていますが、少なくとも両方を意識して取り組んでいる次第です。そのあたりの、私の取り組みや考え方を知っていただけますと、弊ブログがより楽しめたり、読者のみなさんの視野が少しでも広がれば、と思います。
〇私の思うインプット型とアウトプット型とは
どちらかにカテゴライズされる、というのではなくて、同じ趣味でも取り組み方によって両方の面を持っていると考えています。しかし、趣味のジャンルによって、どちらかに寄りやすいというのはあると考えます。例えば…
・インプット型
ゲームや映画などコンテンツを楽しむ
物を買って愛でる
・アウトプット型
DIYなどの工作
写真や絵画、演奏などの表現活動
といった具合です。
ゲームや映画などは、製作者側から与えられた物を型どおりに楽しんで終わる、というイメージです。物を買って、というのは例えば時計などで、そのブランドの物を買ったという優越感を楽しんで終わる、という感じでしょうか？ DIYや写真、絵画、演奏などは、自分の考えるイメージを形にする、という意味でアウトプットの多い趣味です。これは同意いただけるかと思います。
再度申し上げますが、どちらか100%であるとか、どちらが優れている、という議論をしたいのではありません。 問題は偏りです。
〇インプット型に偏る
代表的なものは近年色々と揶揄されることの多い、ソシャゲに〇万円突っ込んだとか、グッズをコンプリートするとかが分かりやすい例です。そうでなくても、高価なオーディオ機材や撮影機材をじゃんじゃん買ったり（そして売ったり）というのもインプット型への偏りだと感じます。（偏りの例なので、これらが悪とは思いません。）
撮影機材であれば、買わなくてもスペック情報（画素数や連射速度）、もしくは厳密な解像度の情報ばかりを追いかけて写真を撮らない、ということはよく聞く話ですね。(自分にも思い当る節がある)
これが進み過ぎると、そこに投入した金額や時間が評価指標のようになってしまい、そんなに注ぎ込んだのに何も残らないと周りに思われてしまったり、そんなレベルの機材じゃダメだとか（実際のアウトプットは見ずに）、周りを揶揄し始めたりするのではないか？と考えることがあります。
（この辺りの考察は後半に）
〇アウトプット型に偏る
インプットが無い状態でアウトプットし続けると、アウトプットのマンネリに陥りやすいです。ある程度、自分の中にあるストックが切れるまではアウトプットのレベルが上がる（写真が上手くなるなど）はありますが、より高いアウトプットを目指そうとしても、何が良いのか分からずに伸び悩むということは良くあることです。
伸び悩んで苦しむだけなら自分が辛いで済むのですが、極端になると、もう少し事態が複雑になる可能性を持つと考えます。インプットが不足しているということは、限られたインプット、例えば『ある写真家』や『ある機材』が至高と決めつけてしまい、それ以外はダメだと判定することの一因では？と考えます。そこまでいかなくても、特定のメーカに対する悪印象でもって製品の評価にバイアスがかかったり（実際はメーカの取り組みが変わったり、製品自体は良かったとしても…）ということは見かけることがあります。（ちょっと強引な推測ですが）
〇インプット型になりやすい趣味でのアウトプット
例えばオーディオを考えましょう。オーディオは自分で何かを買って、それを楽しむ趣味ですので、インプット型に偏りがちな趣味です。それはそれで良いと思います。
ここで、その中で、より踏み込んでいきたいのであれば、『どういう組み合わせが良いと感じるか』とか『どういう仕組みだから良い結果が得られるのか』などを考える＝アウトプットする（自分の中で留めておいても良い）ことが重要だと考えます。
先に例を出したゲームなどにおいても、それぞれのキャラの思考を考察したり、その作品を作ったスタッフの他の作品に触れたりもできます。そういう形でなくても、同じものを好きな人と繋がって何が良いかを話すだけでも、かなりアウトプットに繋がります。
そのようにアウトプットしてゆくことで、より良くインプットを選び取ることができたり、同じインプットでもより多くの情報を得ることができると私は考えます。アウトプットによってインプットの質と量が増える、具体的には情報収集能力が高まったり、感受性が高まる、というイメージです。
別に『素晴らしい音楽に何も考えずに浸る』ことが悪いと言いたいのではありません。浸る時は浸る、で良いと思います。それがオーディオの良さです。しかし、さらに踏み込もうと思った時、もっと別の良い音楽を探すときに総当り的ではなくて、何かの共通点（例えば奏者繋がりやジャンル繋がり）を探すというアウトプットをしつつ、インプットしてはどうですか？という提案です。
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〇アウトプット型になりやすい趣味でのインプット
私が写真を撮りに出かけた時、楽しいのは確かなのですが、同時に結構苦悩しながらシャッターを切っています。それは、撮りたいイメージを作りきれなかったり、撮りたいイメージに寄せることができなかったりしているからです。これは自分の練習が足りていない時と、自分が漠然と『撮りたい』と思っているイメージを実現した写真を見たことがなかったり、それに近づくための手法を知らなかったりするのが原因だと感じています。つまりインプットが足りていない状況ですね。
芸術は世の中に素晴らしい先人たちの作品が残されています。写真で有れば作品集や、音楽であれば名演奏などがあるでしょう。DIYならプロが作ったものや、より素晴らしい製作者の作品などがあります。そのようなよりレベルの高い物に触れてインプットしてやることで、自分の中の基準や良いイメージを高めてやることができます。
正確にはインプットとはずれますが、自分の作品を世に出すことで、その評価を受け取り、それをフィードバックとしてよりレベルの高い物を目指すということもできます。最初に載せた写真は人に頼まれて撮影したものですが、その人の要求に合う写真とは何か？どんなイメージで撮りたいか？を考えて練習を重ねて撮れた物です。言い換えればフィードバックの賜物です。反応があるとモチベーションアップにもつながりますね。
そのような自分の中の基準やイメージを高めるだけではなく、オーディオ関連であれば電気的な理論や人間の感じ方に関する理論や考察、写真なら撮影スキルや機材の特性、上手く撮れやすいパターンなどを学ぶこともインプットとなります。自分のアウトプットがそのような観点から再検討した際に理に適っているか、理論に則っていないとしたら則っていないなりの突き詰め方などを検討することができるはずです。
〇成長にはより良いフィードバックが欠かせない
少し話はそれますが、『究極の鍛錬』という私の大好きな本から少し紹介します。なんだか意識高い系の自己啓発本のようで敬遠しがちですが、かなり面白い本です。
この本は、天才は先天的なものか後天的なものかについて結論を出す本と言って良いでしょう。結論としては天才は後天的で鍛錬によって生み出されるというもので、そのための方法が記されています。この本では、精神論ではなくて、実際にどのような練習方法を取ったことによりタイガーウッズやチェス世界一は生み出されたか？ということが実例と実験をもとに示されています。
この中で重要とされている物のひとつが、よりよいフィードバックです。フィードバックとは正当な評価と次の進歩のための正確なアドバイスと言い換えても良いでしょう。
より良いフィードバックとは辛く厳しい物です。良い結果が出て皆に『これは良い』と言われれば嬉しいですが、ダメ出し（これがより良いアドバイスならまだ良い）されるのは、やはり辛いものです。また、例えば『良い写真が撮れた！』と思ってTwitterに載せても反応がない（フィードバックが無い）、なんてこともよくあることです。
だからといって、周りが言うことに耳を傾けず、独りよがりになると成長が止まってしまいます。（独創的すぎて周りが理解できないとか、そういう特殊ケースはここでは置いておきましょう…）
ここでインプット型の趣味の話に戻すと、例えばオーディオで『これは良い！』と思ったものが、周りの反応はいまいち、ということはままあることです。それはそれでよいです。ここで『周りの人々は分かっていない』とする前に、自分が何が良いと思っているのかと、周りがなぜそう判断しているのか、の差や理由を検討しておくことは重要だと感じます。
オーディオ関連は特に、自分が楽しむのが最も重要ですから、周りが何と言おうが構わないのですが、『自分が求めている物と周りが求める物のここが違う』ということを、より具体的に理解しておく事は、よりよいインプットを得るための基準となって、自分にとって有益だと感じます。（変な話ですが、ここが悪いって書かれているから、自分にとっては良いかもしれない、等） これはひとつのフィードバックではないでしょうか？
〇より良いアウトプットはより良いインプットから
このブログはジャンル分けするとレビューブログですので、かなりインプット型、もう少し正確に言えば消費側に寄った内容であることは自覚しています。極端を言えば『あれは良い。あれは悪い。』と表明するだけでは『文字に起こしているからアウトプット』とは言えない『受け取っては投げっぱなし』に陥りがちです。
私はこの点については注意を払いながらブログを更新しています。ですので、なるだけ『どうして良いと感じるのか』や『どのように使えば良さが活きるか』ということを考えながら記事を書いています。
そのような考察と、それを活かした実験をしたいというのが弊ブログの題名になっている訳ですが、そのような考察と実験の結果を記事化することで、読んでいただいている方の考察や実験の起点となれば、と考えています。
また、やはりインプットも欠かせません。先日のSUNDARAやANANDAのように、より素晴らしい機材に触れることは、これまで気付けなった評価のポイントを知ったり、自分の中で受け取れるダイナミックレンジが広がる感じがあります。
弊ブログを読んでいただいている人は、一般的に見て趣味に力を入れている人だと思います。もしかしたら釈迦に説法の可能性もありますが、私はこんなことを考えている、ということと、皆さんのこれまでの趣味との関わり合いを見直していただいて、なにか新しい関わり方を見出していただければ、と感じます。
だって、同じ時間・同じお金を投入して、より良い結果が出た方がお得じゃないですか。私はケチなのでそう考えながら趣味と向き合っています。
