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2019/03/03

実検するおじさん

書き味は素晴らしいが扱いにくさもある[uni ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル]

私にとってこのペンは『買わねばならない』と思う1本でした。
uni ジェットストリームプライム シングル 回転繰り出し式 レビュー(パーカー互換芯)
その理由は、私がジェットストリームファンであり、uniファンであるから、G2規格(パーカー互換)芯を充実させてもらうための応援の意味と、単純に書き味と軸の作りが良かったからです。







〇uni(三菱鉛筆)ジェットストリームと私


 ジェットストリームシリーズは、2006年にノック式の『低価格ボールペン』が登場しています。おそらく私は発売直後に買ったと思います。(当時は低価格帯の筆記具を買いまくっていた)
 その時に、あまりに良い書き味に衝撃を受けたのを覚えています。ある意味そこで、『私のボールペン探しの旅は終わった』のです。実際に、それ以降で、普段自分で買うボールペンは【ジェットストリーム一筋】となっています。

 さて、ジェットストリームは超低粘度油性インクを初めて採用し、油性インク界をひっくり返した一品です。安い油性ボールペン特有の重い筆記感や書き始めのカスレを解消したエポックメイキングな商品なのです。



〇ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングルの登場


 ジェットストリームは長らく低価格帯ボールペンを展開していましたが、数年前にプライムという、ちょい高いボールペンシリーズを発売しました。この際、海外有名メーカ等、多くの採用事例のある『4C』という規格の芯を採用しました。これにより、あれやこれやのペンをジェットストリーム化できる!!と文具ファンは喜んだものでした。


 その後ついに、高級ボールペンにラインナップの多い回転繰り出し式(シングル)のジェットストリームプライムを三菱が投入してきました。ここでのポイントは『替え芯にパーカー互換=G2規格を採用したこと』です。これにより、あれやこれや、有名なボールペンにジェットストリームをインストールすることが可能となりました。


デザインも無難に仕上げてきました。



〇ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル レビュー


ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル レビュー
非常に無難なデザインです。長さは一般的な『低価格帯ボールペン』と同等で、ゴム系のグリップが付いた物よりも細めに仕上がっています。買ってから気付きましたが、ブラックは艶消しタイプでサラッとした触り心地。その他の色は(展示サンプルで触ったのですが)艶有でツルツルとした触り心地です。どちらも悪くないです。

 回転の繰り出し部は、比較的重めで、ヌルヌル動いて、コックンと入って止まる感じ。ニュースリリースなどを読むと、このあたりの操作感も拘ったそう。

 一点、残念だったのは先端部で、
ジェットストリームプライム シングル 回転式のデザイン
銀色のリング状が見えると思いますが、その先に、もう一度黒い部材が挟まっています。黒軸ですと統一感がありますが、軸色が白でも青でも赤でも、この先の部材は黒です。これはデザイン上、非常にもったいないと感じます。今回黒を選んだ理由は、黒以外だと統一感が失われてしまうから、です。三菱さんにはぜひとも、このあたりのデザイン性も大切に他の色の軸も作って欲しいですね。



〇持った感触は?



 このペンの持った第一印象は『びっくりするほど重い』です。

 私は大型の万年筆も含めて色々と試してきた身ですから、見た目からだいたいの重量をイメージできますが、このペンは想像を超えた重さです。と思って調べたら半分は真鍮製(上側はステンレス)だそうです。真鍮はアルミや鉄、ステンレスなんかよりもよっぽど重く、比重は銅に近いです。(真鍮=黄銅ですからね) また、分解してみると分かりますが非常に肉厚で、重量感の理由がよく分かります。

 細めの軸は、好みにもよりますが、持ちやすいサイズに収まっており良いです。また、先に書いたとおり、ペン先側が真鍮、上側はステンレスになっているため、重心が下寄りになっていてバランスも良いです。
 書いている時は重量感に任せて筆圧低めで書くことができ、ジェットストリームのスムースな書き心地もあって書き味は非常に良好です。これはなかなか他では味わえない。
ジェットストリーム パーカー互換(G2規格)芯の書き心地
軸色でペン先の太さが異なっており、黒と白が0.7mm、紺とピンクが0.5mm、青と赤が0.38mmとなっていますので注意してください。軸とペン先がアンマッチならリフィルも販売されています。

 ジェットストリームの書き味の特徴は『ペン先が走るように軽い』という点です。海外の有名どころはいくつか使ったことがありますが、どちらかというと、重くどっしりとした書き心地で、それはひとつの良さです。重めの書き味の中で、どのメーカが良いという議論は有っても良いと思います。これに対し、極端に軽さに振ったジェットストリームの書き味は、油性ボールペンのひとつの到達点と言って良いでしょう。

 ただ、問題はインクダマの出来やすさです。
 表を描く時のように長い直線を何本か引くと、先端にインクダマができます。最初はたまたまかな?と思いましたが、かなりの確率でそうなりますし、ゆっくりと引いてもあまり変わりません。書き味を重視するが故に低粘度に振りすぎている感じがあります。ちょっとここは何とかしてほしかった…。この点だけは注意しながら書くか、ダマが出来たら拭き取るようにしてやる必要がありそうです。


 さて、重さに関して。ぼんやりと考え事をしながらペンを持っていると、手に力が抜けることってあると思うのですが、重さでペンが滑り落ちがちです。ジェットストリームのペン先は非常に優秀で、筆圧をかけずにサラサラ書けるので、ここまで重く作らなくても良かったのではないか?と感じます。また、重さ故に取回しはそこまで良くありません。





〇高価なペンと低価格帯のペンの違いとは?


 さて、このペンに限らず、一般論になります。『高価なボールペンって装飾品でしょ
?』と思っている人も多いと思います。確かに、ある程度以上の価格となると、装飾品としての価値の方が大きくなります。
 ボールペンは芯(リフィル)が書き味に与える影響が大きいので、リフィルが同じなら同じ書き味と思いがちです。しかし、ある一定水準まではコストがかかったペンは書き味も良く、低価格帯では味わえない物があります。具体的には軸の強度です。

 試しに、低価格帯のボールペンで、グッと筆圧を書けるように力をかけてみてください。掛け過ぎると折れますので注意してください(苦笑) そうするとほんの少しだけ『しなる』と思います。
 ジェットストリームプライム シングル回転式は、軸が厚手の金属製であり、しかも芯もG2規格の金属製になっていて堅牢です。よって、並大抵の筆圧では『しなり』ません。

 そんなに『しなり』が影響するだろうか?と自分でも疑問に思って、ペン先を凝視しなが文字を書いてみたのですが、『しなる』プラ製ペンですと、掛けた力が微妙に逃げたり、ボールポイント部が逃げたりして、結構な差がありそうだ、と私は結論付けました。



〇最後に感想


 高価格帯の筆記具に慣れた人であれば、定価3000円分の価値は十分にあります。というか、かなり安いと感じます。理由は、ペンの重量感、回転式の操作感などが、安物には出せない価値があり、書き味は超一流のジェットストリームが楽しめる点、スーツのペンポケットに挿していても悪くない点などです。他社のベーシックラインのペンが5000円程度である(しかも樹脂製が多い)ことを考えると、お買い得だと思います。
 一方で、ちょっと重く作り過ぎている感じもあります。個人的な意見としては、3000円でアルミかステンレスで軽めに作って、真鍮製は上位グレードにしても良かったのではないか?と感じます。また、インクダマの出来やすさは、ダメな人は絶対にダメでしょう。

 ペン好きは買って損は無いよ!!と強く推奨するには重さが好みの差に直結しそうです。ただ、uniの本気は伝わってきますので、ファンの方は試しても良いのでは?と思います。