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2018/02/12

実検するおじさん

革手袋のメンテナンス方法のご紹介【Dentsで実演】

革製品は、良い状態を保っていれば布や化繊製品よりも長持ちするというのが一般的な認識で、それは間違っていないと思います。

しかし、間違った取扱いや、メンテ不足により、布製品などよりも早くに傷んでしまう可能性もあります。私が何度か紹介してるDentsのような高価な革手袋で、早々に傷んでしまうような悲しいことにならないように、たまには手入れ(メンテナンス)をしたいところですが、手袋の場合はちょっと注意しないといけない点があり、そのあたりを中心に紹介しようとこの記事を書きました。

色々な媒体やプロの人と話した経験からの情報をまとめたものですし、私が何度も実施していて問題ない方法なので大嘘は無いと思いますが、あくまで自己流ですので、その点はご了承いただきながら、参考になるポイントがあれば、と思います。


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今回、被検体といいますか実験体となったのDentsのCliftonです。こちらはペッカリー製です。こちらの手袋については、以下のレビュー記事にて詳しく述べていますので、こちらもあわせてどうぞ。

【詳細レビュー】Dentsペッカリー製革手袋Clifton 

〇革製品を扱う上で特に注意すること


 以下のことに反すると革にダメージが入ったり、カビが生えて悲しい思いをすることになります。特に注意してください。逆に言えば、これさえ避ければ何をしてもだいたい大丈夫な物です。

・何事もやりすぎない(ほどほどに)
・濡れたまま放置しない
・ゴシゴシ擦らない(特に濡れた状態ではダメ)
・革クリーム類を塗りすぎorダマになったまま放置しない
・縫い目部分に汚れや革クリーム類を残さない

 あと注意すべきと言えば…、マネする人はいないと思いますが、石鹸で革を洗う場合(!?)は、石鹸のアルカリ成分が革の中に残ると長時間かけて劣化の原因になりますので要注意です。



〇革手袋にお勧めのクリーム


 私が革手袋に使用している革用クリームはコロニル1909シュプリームクリームデラックスです。名前が仰々しいですね。


結構いろいろ革用クリームは持っていますが、このクリームが革手袋に使いやすいと思います。
 まず、私が手袋に塗るクリームに求めるのは、保湿や栄養補給で、艶出しや色の変化を求めていません。その点はご理解ください。では、このクリームについて私の思う特徴をまとめておきます。


特徴(メリット)
・塗った後ベタベタしない(サラサラ)
・艶出しよりも栄養補給の方向性
・匂いが優しい
・伸びやなじみが良く扱いやすい
・取扱店が多い


いまいちな点
・あまり艶は出ない
・黒い革にニュートラルを塗るとやや白っぽくなる
・塗った後の変化が少なく『やりがい』が無い

※注意 追記!
 黒い革に塗って乾くと、白っぽく残るのが判明しました。私はそこまで気になりませんが、気になる人にはネガポイントだと思います。乾いた後にしっかりと磨くと艶になって白さも取れてきますが、シープのように柔らかい革ですと、ちょっとやりにくいです。白くなっても使うと取れてきますが、ご注意ください。
 色付きのクリームなら目立ちにくいでしょうが、色を合わせる必要もあります。
 そのような問題を避けるなら、下の方に示したモブレイのデリケートクリームか、マスタングペーストを選ぶのをお勧めします。

 このクリームは独特な感じでして、クリームというよりゼリーっぽい雰囲気があります。また、匂いが植物系のさわやか系で、靴クリームにある甘い感じとか有機溶剤っぽさはありません。手袋は靴と違って顔に近づける可能性があるので、匂いは重要だったりします。色は各種ありますが、これに関してはカラーレスを選択しています。


 実際に使いながら説明してゆきたいと思います。

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〇革手袋のメンテナンス手順



★準備する物★

・綺麗な布 2~3枚
・綿棒 2~3本
・革用クリーム
・革用ブラシ
 (クリームに使っていないものが望ましい)


☆メンテナンスをする周期は?

 私は、おおよそ シーズン始まりに1度、シーズン中(1月頃?)に1度、シーズン終わりに1度程度で行っています。使用頻度が低ければシーズン中を辞めても良いと思います。
 手袋は手の皮脂が付くので比較的乾燥しにくい物になります。ですので、やりすぎて革にダメージを与えるぐらいなら、やらない方がマシ、ということもあります。


☆ほこりや汚れを落とす

 クリームなどに使っていない革用ブラシで、縫い目に残る汚れを飛ばします。靴と違って革表面に泥汚れが付く可能性の低い革手袋ですが、縫い目にほこりなどが残っている場合がありますので、それを落とします。あまりゴシゴシしないのがポイントです。
 ブラシが無ければ乾いた布で縫い目を軽く払っておくと良いでしょう。後でクリームを塗るので、ホコリを塗り固めるようになるのを防ぎたいと考えてください。

 次に、固くしっかりと絞ったタオル(温かいお湯で濡らしたものだと◎)で全体を軽く拭きます。この時も、ゴシゴシと擦らず、軽く拭くのがポイントです。両手に手袋はめて手を拭く要領で行えば良いでしょう。手袋に水分が染み込まない程度にしておくのがポイントです。濡れすぎたと思ったら数時間陰干しするのも手です。濡らすのが怖い人は省略しても良いと思います。


☆少量ずつ革用クリームを塗る

 大量の革用クリームを手袋に載せると、まず間違いなく縫い目に残ります。縫い目にクリームが残ることの悪い点は、残ったクリームにカビが生えやすいこと、縫い目からクリームを取るのが難しいことです。カビが生えるなどして縫い糸が痛むとほつれに繋がりますし、縫い部分が弱くなるとそこから裂けたりするので、注意したいところですね。

 手袋は革の面積に対して縫い部分が靴よりも多く、クリームが塗りにくい物になります。そこで私が推奨したいのが綿棒を使用した方法です。
山盛りにならないように少量取って、革表面に載せてゆきます。綿棒で塗り広げるのではなく、後の工程で塗り広げます。ここでは、ダマにならない程度に広げるぐらいで良いです。
 一度に塗れる量が少なく、非常に地道ですが、塗りすぎることを考えるとこれぐらいがちょうど良いです。色々やってみた結果、これが楽なのが分かりました。

一応、クリームを塗る用の小型ブラシという物が存在しますが、手袋だと大きいようにも思いますし、わざわざ用意するのももったいないかなと思います。(クリームにつき1本は用意したくなるので…)


 さて、写真撮影の都合で手袋をはめずに行っていますが、両手に手袋をはめて塗ってください。(この後の工程の都合です。)


☆クリームを伸ばす

 革にクリームを載せたら伸ばしてゆきます。両手に手袋をはめた状態ですので、ハンドクリームを手に伸ばす様に塗り広げてゆきます。
  すごく高速に擦っているように見えますが写真の都合です。ゆっくりともみ込むようにしてください。力を入れて擦るのはダメです。

 そもそものクリームの量が少ないので塗り広げられる面積が少ないですが、少しずつ塗っては広げ、塗っては広げを繰り返してゆきます。指の間や細かなパーツも縫ってゆくのが良いです。
この時、このように縫い目に残らないように注意しながら進めてください。もしこのように縫い目に入ってしまったら、綿棒で軽く撫でたり、重点的に塗り広げたり、必要であればブラシで掻き出すようにすると良いです。

 また、全体的にベタベタとしてくる場合がありますので、パッティングするように手を叩いてみたりして伸ばしてゆくと良いでしょう。クリームの種類によってはネットリとしてくる場合がありますので、その場合は一度軽く拭き上げるというのも手です。(ゴシゴシ擦るのは避ける)


☆拭き上げる

 全体的に塗れてきたら余分なクリームを拭き取ります。
この時もゴシゴシと擦らずに、軽く優しく拭いてゆくのがポイントです。コロニルのシュプリームクリームデラックスはあまり艶が出ないタイプですが、適切に拭き上げますとすべすべとした手触りに変わってきます。

 あと、グイグイ染み込んでゆくタイプでもありませんが、ペッカリーですとペッカリー特有の毛穴や当たり部分の色が若干濃くなるように感じます。

 この時の拭き上げの布ですが、使い古した靴下やTシャツなどを使用すればよいです。

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☆完成と補足

 以上の手順で完成です。シュプリームクリームを使用して仕上げると、このクリーム特有のスベスベとした風合いに仕上がります。若干しっとりとした感じにもなりますが、ベタベタ感はありません。

 艶出しを主目的としたワックス成分の多いクリームですと、ベタベタ感や脂っぽさが残ることがあり、例えばスマホを触ったりするとべったりと手形が残ったりします。また、ワックス成分が多いと粘度が高くなって、拭き上げ時にネットリとする場合があります。靴の場合はしっかりとした革を使っているので、ネットリとしても拭き上げやすいのですが、手袋のように柔らかい革の場合は拭き上げにくさがあります。
 その点、コロニルのシュプリームクリームデラックスはサラッと柔らかく拭き取りやすいですし、仕上がりもサラサラしていてベト付きが残ったりしません。ですので、革手袋にはコロニルのシュプリームクリームをお勧めした次第です。

 コロニル1909シュプリームクリームデラックス以外であれば、モブレイのデリケートクリームもお勧めです。こちらは水分が多く、補湿性に優れていて、仕上がりもサラッとしています。コロニルと同様、艶が出るタイプではありません。


 もしくは、単純に純粋な脂を塗るという選択肢もあります。その場合の有力な選択肢は、マスタングペーストかマスタングP.ウォーターあたりもお勧めです。こちらは純粋な馬脂で、ワックス成分などは含まれていません。かなり浸透するので色が濃くなったりする場合がありますが、そういう点を考慮すれば使いやすく良い選択です。私個人も、塗りやすさと馴染みの良さ、単純に革に脂を入れたい時に愛用しています。
 食べられるような脂ですので、残っているとカビを誘発します。薄く塗って、きっちり拭き上げることを注意してください。




〇まとめ


 いかがだったでしょうか?

 よく『革製品に水は禁物!』と言われたりしています。たしかにベタベタに濡らすのは禁物(というか、濡らしてしまうと上手く乾かすのが難しい)ですが、適度な水分を補給することと、表面を清潔に保つことは重要です。
 私の経験上、最初に挙げた注意ポイントさえ守っておけば、失敗はかなり防ぐことができます。

 Dentsの革手袋は高価ですが、高価な革靴やカバン、革ジャケットに比べれば安価な方です。革製品はメンテすることで愛着がわいてくることも利点の一つですので、あまり怖がらず、ぜひ一度、メンテナンスにチャレンジして欲しいなと思います。


今回、被検体といいますか実験体となったのDentsのCliftonです。こちらはペッカリー製です。こちらの手袋については、以下のレビュー記事にて詳しく述べていますので、こちらもあわせてどうぞ。

【詳細レビュー】Dentsペッカリー製革手袋Clifton