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2017/10/14

実検するおじさん

全域の明瞭さと細かな表現を実現した実力派!SIMGOT EN700 PRO【レビュー】【おすすめ!】

意欲的に改良版がリリースされているSIMGOTより、EN700シリーズの決定版と言えそうな1本が発売されました。SIMGOT EN700 PROです。
改良版、と言ったのはEN700という基本モデルがあり、無印→BASS→PROと立て続けにリリースされてきたことによります。無印でも既に『なかなか良いぞ!』と評判になっていたのですが、そこからジワジワと改良を続けてくれたようです。

話題性もあって、注目されるだろうと考えて予約購入しました。手にしてみて『買って良かった』と思える良さがありました。そのあたりに注目します。

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レビューに関する決め事はこちら


〇無理矢理一言雑感


全域の明瞭さと細かな表現を、聴きやすい音で実現した実力派。


〇SIMGOT EN700 PROとは


 SIMGOTはEN700無印の発売と同時にスタートしたブランドです。当初は、こちらも低価格で実力派と人気のOSTRYから派生したブランド(会社)で、というような前置きで紹介されることが多かったように思いますが、今となっては『あのSIMGOTが』と言われるようになってきており、知名度も上がっているように思います。
 そんなSIMGOTはEN700をリリースしてから、BASSという低音重視と思いきや、全域のクオリティーを上げたバージョンアップ品をリリースし、間髪入れずにリケーブル仕様のPROをリリースしました。BASSとPROはリケーブル可能かどうかの違いだけっぽい噂が流れていましたが、しれっと本体も改良されているようです。どうせ型を起こすなら気になっていたところを直しておこう、という感じでしょうか。個人的にそういうスタンスは大好きですが、無印やBASSを買った人は悔しい思いをしてるかもと思わなくもない…
外装は紙の光沢感のみで商品を表す非常に控えめなデザイン。私の好みです。紙の質感などもこだわっているのでは?と思います。裏面の説明も薄い印字で雰囲気重視。こういうのって自信の表れだと思うんですよ。

 化粧カバーをから箱を引き抜くと朱雀のマーク。EN700は朱雀というペットネームがあります。SIMGOTはどことも似ないデザインで独自性を打ち出していますし、朱雀という中国風の名前を持たせているということは、無国籍や欧米風を装わず『中国ブランドなんだ』という気概を感じて私は大変好意的に思っています。ただ、あまり朱雀と言う名前がPRされておらず、ここまで印象的に箱に掲載しているなら、ぜひとも販促において前面に出していって欲しいと思っています。
EN700から共通するデザイン。私は好きですが独特のデザインで苦手と思われる人もいるかもしれません。筐体の形状も歴代で同じと思いきや、無印とBASSを比較する記事では、微妙に形状を修正していることが指摘されたりしていました。
 付属品はしっかりとしたケースとフィルター部の掃除工具、イヤーピースが2種類×サイズ違いが付属します。イヤーピースは説明のある通り、Ⅰ型が中高音の抜けを重視したタイプで、Ⅱ型が中高音を抑えて低音が出るタイプ。使い比べてみると差はあります。とはいえ、EN700 PROらしさを失わない程度の微調整です。私は中高音の抜けを重視するのでⅠ型で使っています。
 ケーブルの抜き差しはしっかりしていると言って良いと思います。比較対象が少ないのですが、しばらく使っていて、抜けるどころか緩んだこともありません。


〇SIMGOT EN700 PROレビュー



 SIMGOTは日本支社および輸入代理店さんががんばっていて、海外価格が200ドル程度するところ、国内販売価格が18000円程度です。なので、特別な理由が無ければ国内で買うのが良いと思います。現在の価格は以下リンクよりご確認ください。


■全体の印象

 低音がやや豊かなフラット系。高音が鮮やかでそこそこ量もあるのでドンシャリとするか迷ったが、中音域の凹みが気にならなかったのでフラットとしておいた。どの楽器も上手くこなし、特別苦手なポイントが見当たらない優等生。
 低音域は十分な量で豊かな傾向。低音は締まりやキレ重視ではないが、ぼやけた感じも無く、これはこれで非常に好ましく、ボーカルその他の邪魔をしていないため、全体的に分離の良さが高評価。そのため、ベースを中心とした低音域の土台の上に、ボーカルやギター、ピアノなどが乗っかって聴こえてくる立体感が良い。


■各音域の印象

 先にも書きましたが、イヤーピースはⅠ型(中高音重視)を使用しています。Ⅱ型(低音重視)の方は、後で少しだけ追記というかたちです。

 ベースやバスドラのアタックはそれなりで、キレや締まりもそれなりながら、ぼやけたりする感じはない。すこし多めの低音域と、そこから自然に伸びた重低音で、バスドラの音圧の感じも出るし、多くの場合は必要十分な量が得られているだろう。キレや締まりも『誇張感が無い』という意味であり、低音のキレや締まりを強調した音源ではしっかり追従する印象。

 スネアやタムは明瞭だが、鋭く前面に主張してくる感じではない。シンバルも細かなアタックまで表現し、サスティーンも中庸から長めで、鮮やか。刺さりやキツさも気にならず優秀。シンバルは明瞭で音抜けが良いから目立っているのか、量が多いからなのか判断が付かないが、こちらも明瞭な割に前面に主張してくる感じではない。

 ボーカルは男性女性問わずに音抜けが良く分離も良くて明瞭。全体のバランスとして、あくまでボーカルを活かすことを重視したバランスなのか、他のパートがボーカルを邪魔してくる感じが無く非常に好印象。サ行やパ行の刺さりも気にならない。息の音はそこそこ鳴らすが生っぽさはそれなり。個人的には好きな表現だが、温かみや力強さが欲しいと少し物足りないかもしれない。また、明瞭さはあるが、ボーカルとの適正な距離がある印象で、『耳元でささやく感じ』は無い。

 エレキギターは、ディストーションのエッジ感が出て良い。力強く太いサウンドの方がどちらかというと得意。クリーンのカッティングなども表現として悪くないのだが、他のパートもしっかり鳴る(ギターだけ前面に出るわけではない)ので、少し弱く聴こえがち。(バッキングの立ち位置としては非常に好ましいが…)
 細かなところまで追従する感じで、分離も良いため空間系のエフェクターのかかりも良い印象。

 バイオリンは、明瞭で鮮やかで音抜けも良くて良く、楽器由来の響きも出る印象。弦をこするザリッとした成分がやや少な目で滑らかな印象。このため、ある種の緊張感や神経質さは控えめ。空間的な広がりもあるので、柔らかくくつろいだ感じに良く合う。バイオリンよりビオラやチェロの方が合う感じ。チェロは低音の豊かさも手伝って良い。

 サックス、トランペットなどはそれぞれの楽器らしい音が鳴り、鳴らし分けも十分。音抜けが良くて、楽器由来の響きも出て上手い。若干柔らかく、滑らかな方向。ピアノも、軽やかと言うより滑らかな方向。響きもあり、どこかの音域が丸くなりすぎたりする感じも無い。楽器毎の分離も良く空間的な広がりもあって定位も悪くないので、ジャズとの相性が良いと感じる。


大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、

ボーカル>ギター&ピアノ≒シンバル>ベース>バスドラ

ボーカルが前面に出て、ピアノやギター、サックス類などの楽器がその後ろ側で、ベースとバスドラが楽曲を下支えする感じであるので、そういう立ち位置、ということさえ分かってもらえればよい。細かな順位は楽曲によって全く違う感じ。


☆イヤーチップの違い

 Ⅱ型の低音重視のイヤーピースは、全体的にウォームな雰囲気となり、全体的に温かさや太さが増す。分離は若干(ほんとうに若干)落ちたような気もするが、良さを失うほどではなく、安心してどちらを選んでも良い。


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■その他聴こえ方

 高評価したいのは、全域の明瞭さがあり、鋭いピークも無く、全体のつながりが良い点である。全域の明瞭さで多ドライバやハイブリッドっぽさがあるとも考えられるし、つながりの良さから1DDらしいとも言える。
 また、低音にしろ、高音にしろ、圧迫感やキツさや刺さりがほとんどなく、かなりキツめの音源さえ選択しなければ問題にならないだろう。録音の粗やサーノイズはそれなりで、悪目立ちする感じはない。
 ディティールの表現もなかなか高いと評価しているが、ボーカルの近さ、各楽器の定位の鋭さはそこまででもない。これがちょっと不思議に思うほど。イヤホン起因の残響感や変な響きも気にならない割に、空間的な広がりがあり、演者とも(ちょうど良い)距離感がある感じに聴こえる。逆に言うと、細かな表現が上手い割にそれぞれの音に近さが無い。
 先にも書いたが、ベースを中心とした低音域の土台の上に、ボーカルやギター、ピアノなどが乗っかって聴こえてくる立体感が良く、あくまでボーカル(およびそれに近い音域)が主体であるとの設計者の主張を感じる。


■お勧めできる人

 すっきりさと全域の分離を重視する人。楽器の多い編成のグループの曲を良く聴く人で、初めてこの価格帯にチャレンジするなら、聴こえていなかった音や分離の良さに驚くはず。トランペットやサックスの表現の良さも考えてジャズを聴く人へ。ポップスやロックもうまいので、それらも考えると、多種のジャンルを横断的に聴く(アニソンなどは横断的なので)人には、EN700 PROの懐の深さでマッチングが全体的に良いだろう。


■お勧めできない人

 ベースやバスドラのキレや締まり、疾走感を最優先する人。(別段悪くはないのだが。) 低音のパワフルさを重視する人。(低音が弱いわけじゃないのだが、全面に出てきている訳ではないので。) 定位の良さを最優先する人。
 ギターやピアノにボーカルを押しのけて前面に出てきてほしい人は物足りないかも。それぞれの楽器の表現は悪くないが、あくまでボーカル主体の表現をする感じがする。
 ボーカルの表現は上手い方だが、『女性ボーカルのリップノイズにゾクッとする感じ』のようなある種の近さは無く、ここを求める人。
 

■雑感

 レビューブログなので、話題になりそうで、このブログの趣旨(というか価格帯)に合いそうな良さそうなイヤホンとして選択したわけだが、試してみて、買って良かったと感じれたイヤホンだ。(他は買っても嬉しくないという意味ではない(苦笑) 中高音は鮮やかで明瞭だが刺さりは気にならないし、低音もそこそこしっかり出ているのに中低音域との分離が保たれている。音楽を聴いていると楽しくなってきて色々試してみても、いまいち合わないと思うジャンルも見当たらなかった。
 それだけ私が気に入ったということだが、逆説的に、試聴においてこのイヤホンが全く合わないという方は、私と好みが違い過ぎて他のレビューも参考にならない可能性が…。商品の持つポテンシャルは高いと思うし、周りの評価も高いので、この価格帯で何から試してよいのか分からない場合は、手に取って試して欲しい一品。
 

〇買い物かごの中身の評価


大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。

お買い得度 ☆☆☆☆★
使い勝手  ☆☆☆☆★
お勧め度
  一般  ☆☆☆★★
  趣味人 ☆☆☆☆☆

コメント

 お買い得度は18000円で購入として判定。音の良さ、楽曲に対するカバー率の高さ、作りの良さ、質の高いケース、イヤピ2種と、高品質そうなケーブルなど、お買い得度は高いと思うが、18000円という金額を誰でもイヤホンに払えるか?と考えると☆4つ。使い勝手も、音量の取りやすさ、フィット感の良さ、イヤピが2種付属していること、楽曲に対するカバー率の高さから☆4つとしたが、やや大型で持ち運びの点を考えて☆3つと悩んだ。
 お勧め度は、一般向けには2万円に迫る価格帯が、一般的に受け入れられるものか?という思いがあり☆3つ。予算が許せるなら☆4つ。趣味人には、2017年10月で、この価格帯において真っ先に試すべき5択に入るだろうと考えて☆5つ。もっと高額なものと比べても最高とか、そういう評価ではないので、あらかじめご了承を。

 現在の価格などは以下のリンクからご確認ください。


Salute to Art and Science
『芸術と科学に敬意を』
 その言葉を背負っても恥ずかしくない、プレゼンテーションと仕上がりです。


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