最初からネタバレしますが、私はこのイヤホンが好きです。5000円以下の低価格帯イヤホンを1本だけ残せと言われればこれを選びます。
理由は、良く聴く打ち込み系+女性ボーカル系への適性が高いことと、苦手が少なく、数少ない苦手領域の『響き』が必要なジャンルを聴くことが、普段は少ないからです。
ではなぜ苦手が少ないと感じたかなど、詳しくレビューします。
※追記
E3000もレビューしました。併せてどうぞ!
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
目立った欠点が少ない優等生で、中低音の少しの厚みとボーカルの明瞭さが両立されており良い
〇final E2000を買ったきっかけ
2017年5月18日発売ですが、発売前から話題が持ちきりになっており、非常に興味を持っていました。ポタフェス等で試聴してみたところ、これは今後の低価格帯の主力となると思いましたので予約して購入しました。筐体素材違いのE3000と同時発売です。発売前後に各所で評判が見られましたが、全体的に高評価なのが印象的でした。
〇final Eシリーズについて
日本のメーカーであるfinalが、低価格帯のダイナミックドライバイヤホンにEシリーズを立ち上げました。ドライバは共通(らしい)で、筐体が違うE2000とE3000があり、筐体の違いにより音も結構違います。E3000の方が1000円ほど高価ですが、私の試聴および前評判から、価格が高い方が良いという関係はなさそうで、それぞれに良さがあるように思いました。私は自分の好み&より多くの人が好むのはこちらでは?と考えてE2000を購入しました。
イヤーフックまで付属しており、お得感倍増
付属品は説明書、イヤーピースとイヤーフック。finalのイヤーピースは単品オプション品として人気ですし、イヤーフックも単品販売されているようなものです。ですので、同じ価格の商品よりお得感があります。
小さく軽量で、イヤピの良さも手伝って装着感は良いです。ただ、タッチノイズは多め0の部類なので、問題を感じる場合は付属のイヤーフックを使った方が良いでしょう。
ところで、finalってデザインが良いです。ブランドロゴや説明書のフォント、色の濃さ、配置に結構こだわっている感じがビシビシ伝わってきます。この辺りのきめ細やかさも好きな要因です。 それでは、音についてレビューしてゆきます。
〇E2000のレビュー
今回取り上げているのはこちら。価格はリンク先からどうぞ。
■全体の印象
ドンシャリ。高い方のピークはシンバルぐらいの狭い範囲なので、やや低音寄りのカマボコとするか悩んだ。カマボコの中域を少し凹ました感じなのだろうか。
全域が比較的明瞭でバランスが良い。ボーカルは柔らかめながら明瞭でなかなか良く、低音はどちらかというと締まっているし、余計な残響感が少ない印象であり、ポップスやロック以外にも守備範囲は広い優等生。
音量は取りやすいと判定できるギリギリのライン。通常使用ならば問題ないが、iPod touchの最大音量でもギリギリ鑑賞に堪える音量までしか上がらなかった。
■各音域の印象
ベース、バスドラのアタックは中庸で、割合的に重低音はやや少な目ながら低音域まで大きな凹凸なく出ている。低音域はそれなりに締まりとキレがある表現をする。全体から見ればやや多めであるが、全体の印象を決める程は強くなく、曲全体のノリの良さを出す程度。厳しく言ってベースの高音側、中低音域は明瞭さが落ちる。
ギターのディストーションのエッジ感は出るがやや柔らかく明るい音を鳴らす。明瞭で、ガンガン前に出てくるわけではないが、引っ込んだ感じが無い。だいたいは上手く表現するが、ほんの少しトーンを絞ったような、TSっぽい雰囲気が載る。(って伝わるのか?この表現…)
ボーカルはやや暖かい表現で明瞭。男性、女性問わずボーカルは明瞭だが、どちらかというと女性ボーカルの方が明瞭に聴こえやすい。曇った感じは無い。リップノイズやブレスノイズは少し出す。高い音程の方がクリアさや繊細さがより出てくる。サ行やタ行のささりは無いと判定してよいレベル。
シンバルはかなり高い音まで細かい音までキレ良く鳴らす。サスティーンは中庸かやや長め。この音域は、音抜けが良く明瞭でクリアな割に音量自体は控えめで、ドンシャリによって強調している訳でもないのに、この音質を確保しているのは優秀。普段は刺さりが気にならないが、キツめに鳴る時は刺さると感じるかもしれない。
ピアノは明瞭で、アタック、クリアさ、響きは中庸。強いて言うと柔らかい側。バイオリンはザリッとした音は出すが響きは少なめ。鮮やかで悪くないが、ホールの残響などが控えめなので、バイオリンソロだとやや豊かさが足りないと感じる人もいるかも。
サックスやトランペットは、明瞭で、響きや音抜けは中庸。細すぎたり暖かすぎたりせず、それぞれの楽器らしい音が出ている。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル≧ピアノ&ギター>ベース>シンバル
しかし、特に大きな差もなく、大小はほとんど気にしなくてよい。
■その他聴こえ方
ソースの粗は分かりにくい方。サーというノイズは多少鳴らす。ホールの反響などは鳴らすがやや少なめで、空間的な広がりも控えめ。打ち込み系の表現はうまい。全体的に締まった表現と高音域のキレの良さ、中音域の明瞭さと粗の分かりにくさが合う。
全域が明瞭ながら、少し柔らかく、刺さりがほとんどない味付けは見事で、聴き疲れはかなり少ない。装着感も良く長時間の使用に適する。
音量をかなり上げてみたが破綻感がほとんどなかった。ただし、その場合はドンシャリっぽさが強まる。逆に小音量の場合、高音域の細く高い音はよく聴こえるが、ボーカル域の繊細さや生っぽさが落ちる。聴感上はかなりフラットに感じるが、同時に柔らかい印象を受け、好みが分かれそう。
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■お勧めできる人
かなり守備範囲が広いので、とりあえず試してみても大外れが少ないだろう。どちらかというと、ロックやポップス、打ち込み系全般が合う。
■お勧めできない人
低音のパワフルさやドンシャリの派手さを求める人。EDMなども中高音より上の抜けの良さなどから悪くないのだが、重低音がやや控えめなのが物足りないかも。低音の締まりやキレが特に良いわけではないので、低音域のスピード感とキレを最重要視すると少し甘く感じるかもしれない。ただし平均から見れば悪くない。
バイオリン(もしくはクラシック全般と言ってしまってもよいかも)などは、やや繊細さや響きなどが不足気味に感じるため、これらの表現を重視するなら他を選んだ方が良い。試聴程度だがE3000はこの辺りが上手いので試してはどうか?
■雑感
強い特徴を追わず、バランス型に徹するコンセプトは見事。減点法なら、明確な減点ポイントが見当たらず、かなりの高得点になる。
一方で、全体的に少し柔らかい所があり、クリアさやキレの良さを求める人には、いまいち決め手に欠けると評価される可能性はある。また響きも控えで豊かさが足りないと評価する人もいるだろう。その指摘は納得できる。特別に上手い表現があるわけではないため、ある個所を重点的に比較されると弱い所があるが、減点されるポイントの少なさを良さとして考えられるなら、非常に良い選択肢になるだろう。結構色々試した人が『いいじゃん!』と感じる渋さがあると思っているのでじっくり試聴してみてほしい。
背面は穴がたくさん開いているが貫通しているのは、そのうちのいくつかだけらしい。とはいえ、カナル型にしては音漏れはやや多い。爆音で使用せず、電車内などの音が多い環境下なら問題ないだろうが、静かな環境では配慮すべき。
ベスト、他はいらない、ということはないが、買って損をしたと感じる人は少ないのではないだろうか、と予想する。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆☆☆
使い勝手 ☆☆☆☆★
お勧め度
一般 ☆☆☆☆☆
趣味人 ☆☆☆☆★
コメント
お買い得度は4000円購入時で判定。お買い得度は☆5つ。これは、イヤホンの音質や使い勝手だけなら☆4つなのだが、別売オプションとしても価値があるイヤーピースとイヤーフックが付属する点を評価した。使い勝手は、コンパクトで軽く、音量も(通常使用レベルなら)取りやすいなど、高評価要素が多いため☆4つ。音漏れが少し多めなのが玉にキズ。タッチノイズは付属のイヤーフック(もしくはそのままシュア掛け)で回避できるので減点していないが、イヤーフックが嫌でタッチノイズも避けたいなら、少しマイナスかも。
一般向けは、日本メーカで、保証も手厚く、入手性も良く、音質も良いので基礎点が高め。特徴を追わないバランスの良いイヤホンということで、良質なイヤホンに触れてほしいという私の個人的な意見を存分に入れて☆5つ。聴き疲れの少なさ、ボーカルの明瞭さ、ロックポップスへの適応の高さも高評価の理由のひとつ。
より高価なイヤホンを持っている趣味人にも優秀なサブ機としての魅力があると思う。(周りの反応を見て感じた。)ただ、好きなジャンルとのマッチングもあり、E3000と迷う余地があると考えて☆4つ。
final E2000は、この価格帯の定番になる。
※追記
E3000もレビューしました。併せてどうぞ!
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