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2018/02/08

実検するおじさん

【詳細レビュー】Dents ペッカリー製革手袋Clifton

イギリスのDentsの革手袋といえば上質な素材と高い縫製技術で作られているとして、雑誌や店舗でちょっと特別扱いで紹介されていたりする一品として有名です。

Dentsは各革種に良い素材を使用していますが、他メーカではあまり取り扱いがなく、その特性の良さから特に注目されるのがペッカリーです。

今回紹介するのは、そのペッカリー製で一重(内貼り無:アンラインド)、手縫いの手袋であるCliftonです。

以前記事にしたDentsの革手袋の選び方の記事が好評で、皆さん興味があるのだなと感じましたので、今回は人気の高いペッカリー製の手袋であるCliftonを掘り下げたいと思います。


※追記
 革手袋のお手入れ方法を別記事に書きました


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〇Dentsのラインナップや選び方


 Dentsのラインナップのざっくりとした紹介や、革種、内貼りの有無(ラインドかアンラインド)、サイズについての紹介は、別記事にて詳しく紹介しています。Dentsって種類が多くて選べない!と思っている方はそちらの記事をご覧になってから、今回紹介するCliftonの立ち位置などを見直していただくとスムーズです。

Dentsの革手袋の選び方[革種からサイズまで]

 私は運良く数双をお買い得価格で購入できて愛用しておりますので、いくつか持っているから分かる違いを中心に、この記事では紹介します。


〇Dents Clifton ペッカリー製 アンラインド


 こちらの商品は、Dentsの高級ラインであるHeritageシリーズのペッカリー製、アンラインド、ハンドソーンであるCliftonです。手首にスナップボタンが付けられています。(ベルト無し) カラーはコルクになります。真下の写真は以前撮っておいたもので、買って少し使って、初期のなじみが終わったぐらいをイメージしていただけると良いです。

 Heritageシリーズはサイズ展開がインチ展開となっています。また、イギリス生産になっています。ハンドソーンはすべてHeritageシリーズですが、マシンメイドのものもあります。

 素材であるペッカリーはイノシシに似た動物で、Dentsを代表する高級革になります。ですので、雑誌などでDentsが取り上げられますと、必ずといってよいほど、ペッカリーが紹介されています。

 ペッカリーの特徴は、こんな感じ。

・表面に小さな穴の凹凸がある
・表面にシボがある
・しっとりと柔らかく伸びがある
・最初は艶が無いが使い込むと艶が出てくる
・透湿性が良い(らしい)
・摩擦に強い(らしい)

 実際に使う上での特徴としては、シボがあるためどちらかというとカントリー調の雰囲気が強くなります。
ペッカリーは3つ並んだ毛穴も特徴的です。この手袋のカラーはコルクという名前ですが、ラインナップの中でもかなり薄い色になります。購入直後はこの毛穴はもう少し目立ちにくかったですが、使い込むうちに濃くなってきました。

 また、ペッカリーはしっかりとした革質ながら、すべすべとして肌触りが良く、伸びますがダルダルになったりせず、張りを保っています。ですので、最初はほんの少し小さいと感じるぐらいであれば、ピッタリと手に沿うようなフィット感が得られつつ、型崩れしたりしていません。

 Cliftonはアンラインドで内貼りが無く、革の裏面が直接肌に触れます。裏面はスエード調になっていて、非常に肌触りが良く、柔らかいタッチです。このあたりもペッカリーが好まれる理由になると思います。

 あと、あまり同意が得られないかもしれませんが、良い匂いがします。少なくとも、防腐剤系の酸系の匂いや、石油っぽい匂いはせず、どちらかというと植物系の香りがします。私が良い革かどうかの判断条件として良い匂いがするかどうか?をチェックしているのですが、これは鞣しに使った材料が何系かを知る手がかりになるのです。

 また、作りの面でもペッカリーとシープでは異なるようです。
この写真は、人差し指の横側が見えるように折って撮影した物です。ハンドソーン(ペッカリー)とマシンメイド(シープ)の違いはありますが、公式の商品写真で確認したところ、革種による違いのようです。
 何が違うかと言うと、人差し指の横部分にペッカリーは縫い目があり、手の平型の2枚の皮を縫い合わせたような形になっています。しかし、シープは人差し指分で折り返したような形状になっています。
 革のサイズ(シープの作り方の方が大きな革が必要)による理由なのか、革の特性による差なのかはわかりませんが、縫い目がこの部分にあると、よりカントリー調の、アウトドアっぽさが出てきます。
 ハンドソーンとマシンメイドの違いは次の項で見てゆきましょう。


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〇ハンドソーン(手縫い)の特徴


 Cliftonはハンドソーン、つまり手縫いで作られています。手首部分のパイピングはミシンで縫われていますが、それ以外は手縫いです。
 手縫いによるメリットだけで考えれば、その利点は、緩いテンションで縫えるのでフィットしやすいという点と、複雑な形状も縫いやすいという点でしょうか? (テンションについては、私の憶測です…)
手縫いの方がピッチがマシンメイド(黒い方=Clyne)の方が細かいです。また、マシンメイドの方がピッチが揃っていて、精悍なイメージになります。手縫いは、ふんわりとした印象となり、素朴な感じになります。どちらの風合いが好みか、という点でハンドソーンとマシンメイドを選ぶのも良いでしょう。
 しかし、これ以外にもDentsのハンドソーンとマシンメイドの差があります。
人差し指、中指、薬指、小指の間を見ると、小さなひし形の部品に分かれているのが見えます。これはマシンメイドには見られません。こんな小さな部品を分けて作っているということは、フィット感に影響があると考えてのことだと思われます。
 どちらの作り方にせよ、革の端ギリギリをきれいに縫っているのが見て取れます。このあたりはさすがの作りの良さです。また、革が合わさっている部分も荒れておらず、ピッチリと揃っています。これって結構すごいことです。



〇ペッカリー アンラインド Clifton


 もう少し仕様を見てゆきましょう。

 ペッカリーは外縫い仕様だけになります。外縫いとは、縫い目が外側にあって、革の合わせ目が外にある仕様のことです。端的に言って、外縫い仕様の方がフィット感やタッチが良くなります。

 合わせ目が外側にありますので、内側はゴロゴロせず、非常になめらかです。その代り、外側の縫い目が引っ掛かるということもあります。ただ、Dentsの場合は縫い目の位置が絶妙で、物を触る部分に縫い目が来ないように工夫されているため、気になることはほとんどありません。(私の使い方、なら、という限定が付きますが…)

 Cliftonは、手首部分に直接スナップボタンが取り付けられています。そのため、手首部分で締められる形となり、フィット感が良くなります。切れ込みだけのものよりも格段に良くなりますので、フィット感を重視するならばスナップボタンがあった方が良いでしょう。
この手首にスナップボタンがあるものは、スナップが無い物や、ベルトで絞めるものに比べて短い仕様になっています。その分、防寒性は落ちますが、個人的には短くて良かったと思うことが多いです。というのも、ジャケット類の袖との干渉が小さいためです。もちろん、他が長すぎるということはないです。そのあたりはDentsの歴史を信じて良いと思いますが、Cliftonは私の普段の服装とマッチしているように感じます。

 手首部に直接スナップがあるタイプとベルトにスナップが付いた物の比較としては、たまたま、手首にスナップがあるものを着用させてもらったことがあるのですが、防寒性は高い分、ベルトのスナップの着け外しがやや面倒かと思いました。
 つけっぱなしで長時間いるならば防寒性の高さを優先して手首スナップの方が良いと思います。しかし着け外しが多い場合は、スナップ無しでも使いやすい手首スナップタイプも良いのではないか?と思います。ベルトスナップですとスナップを付けないとベルトが垂れてしましますし…

 なお、スナップを外すときは出来るだけ革部分を引っ張らず、スナップの根元に力を加えるようにしましょう。引っ張ることで革にダメージになりますし、スナップが付いている部分の破れの原因になります。


 あと悩ましいのは内貼りの有無です。

 Dentsのフィット感を感じるならアンラインド(内貼り無)の方が良いでしょう。しかし防寒性は落ちます。電車移動や室内移動が多く、屋外移動が短い人は、アンラインドでも風をしのげるので十分な防寒性があると思います。(特に本州の都市部) 一方、屋外移動が多い人や寒冷地の人はラインド(内貼り有)の方が心強いですね。

 ラインド、特にカシミヤニットによるラインドの場合、ニット部と革部分が動くため、フィット感はどちらかというとカシミヤニットの影響度の方が大きいです。このカシミヤニットの質感や作りもDentsは良いので、買って後悔することはまずないと思います。ただし、革、ステッチ、ラインド素材で一番早く消耗してしまうのはラインドと考えた方が良いでしょう。ステッチは外縫いなら比較的簡単に補修できますし、革は非常に丈夫です。つまり、ラインド素材の無いアンラインドの方が長持ちする可能性が高いです。高価な物ですから、この辺りも考えた方が良いかもしれません。
 私はラインド(シープ+カシミヤ)も併用していますが、どちらにも良さがあり『Dentsだったらアンラインドだろ!』とは言いません。防寒性が足りなくて使用頻度が下がる方がもったいないと思いますし。(ラインドorアンラインドを選ぶときはサイズも注意してください。Dentsの革手袋の選び方[革種からサイズまで]に少し書いてあります。)


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〇コルクという色


 コルクという、黄色く明るい色使いは、Dentsの生産国であるイギリスっぽさのある色遣いだと思います。(イタリヤのメローラにもありますが。) 黒色の染料は革を少し硬くしてしまいます(これは、複数名の革の専門家が言っていたので間違いないと思いますし、私の経験と合致します)ので、ペッカリーの良さを感じるには良い選択だと思います。

 ペッカリーはしばらく使っていると当たりが付いてきて、少し色が濃くなります。また、メンテナンスでオイルやクリームを塗ることでそれが染み込んで色が濃くなってゆきます。革製品の良さに、使い込んだ『味』が出てくることがあると私は考えていますので、そういう意味では変化が分かりやすくて満足度は高いです。
手の平側は当たりが出てきている

 デメリットとしては、明るい色使いが非常にカントリーやアウトドアっぽさが出てくるため、スーツスタイルに合わせるのが難しいことです。ステッチ色も黒で目立つため、これもカントリーっぽさを強める原因となっています。また、かなり明るい色ですので、カジュアルユースでもジャケットの色味とのマッチングもやや難しいです。私個人としては、もう少し使い込んで色味が落ち着いてくることを望んでいます。(濃い色も欲しい…)


〇サイズについての考え方


 『ハーフインチ小さめでタイトにフィットさせた方が』というのが良く書かれる売り文句です。ジャストフィットさせることに異論はありませんが、タイトすぎるものを選ぶのには反対です。タイトすぎるものを無理に伸ばすとステッチに負担がかかりますし、局所的に革が伸びることになります。つまり、その部分が弱くなるのです。よって、長持ちしにくくなります。このあたりが、タイトすぎるのは避けるべき、と考える理由です。
 サイズについては、Dentsの革手袋の選び方[革種からサイズまで]の記事で述べていますが、私とこのCliftonのフィット具合は、タイトすぎずルーズすぎず、ちょうど良い所で収まっているように思います。おそらく、薄い布の手袋(なんでも鑑定団が着けているような)は着用できそうですが、それ以上は厳しいでしょう。
  私の場合は、全体的にちょっとだけ余裕がある感じに落ち着いています。購入時は、『全体的にジャストフィットだが、手の甲部分がちょっとだけタイト』という雰囲気でした。まっすぐ手を入れればギリギリ入るが、グーパーするとちょっと締まる感じです。試着時の印象の参考になれば。

 私は、運よく型が合っていて満足しています。しかし、手の形に合わない人は買わない方が良いと断言します。メーカーによってベースとなる型は異なります。もし、お試しになって一部分だけすごく窮屈とかすごく余るという場合は、思い切って諦めるのも選択肢です。合うブランドを探すか、ブランドに合させるかの2択だと思います。ブランドと付き合うということは、そういうことだと私は考えています。


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〇まとめ


 ペッカリー製アンラインドのCliftonは『さすがDents』と唸りたくなる仕上がりです。コルクという色合いは、最初は明るくて目立つような感じがしますが、馴染んできて風合いが落ち着いてくると貫禄が出てきます。

 スナップの有無やスナップ部の仕様、ラインドとアンラインドについては、かなり好みが出てきます。

 私の個人的な意見を言わせてもらえば、1双だけ買うならラインド(カシミヤ)の濃い色(革種はかなり悩む…)を選び、2双買えるなら、1双はペッカリーのアンラインドで色はお好きな物と、もう1双はシープのラインドの濃い(もしくは黒)色で、カジュアルとスーツスタイルで使い分けたり、寒さで使い分けるのが(とても贅沢ですが)良いと思います。
 ラインドがすぐにダメになるわけではありませんが、アンラインドの方が壊れる部分が少なく、長持ちする可能性が高いです。そういう意味でも、高価なペッカリーはアンラインドにして、より防寒が必要な時用のラインドの手袋は比較的安価なものにしておく、というのも選択の考え方のひとつだと思います。


※追記
 革手袋のお手入れ方法を別記事に書きました





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