タッチノイズや引っ張られを気にして耳掛けタイプを低価格帯で探している人には良い選択になるのではないかと感じますので、気になる方は読んでいただけると嬉しいです。
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〇無理矢理一言雑感
厚みのある低音域と明瞭なボーカル域があり、ギターの表現が上手い
〇サトレックス Tubomi DH298-A1Buとは
低価格帯で人気のイヤホンをリリースしているSatolex初となる耳掛けタイプのイヤホンです。サンプル自体はイベントでの参考展示で結構前からあったように記憶しています。また、mmcxによるケーブル交換に対応してきました。
ケーブルはTubomiシリーズで売りだった刻みのあるタイプを辞めて、スムースなタイプになりました。ただ、絡みにくさや扱いやすさ(適正な復元力)は保っており、この辺りはこだわりを持って製作している感じが伝わります。
ステム径は太い物で、イヤーピースの社外品はほとんど使えないと考えた方がよさそうです。Tubomiで感じたイヤピの傘の浅さによるフィット感の悪さ(私とのマッチの悪さ)は、筐体でイヤーピースを耳穴に押し付けるような感じとなるため、Tumuriでは感じませんでした。むしろ、耳掛けタイプで気になりやすい筐体のフィット感やノズル部分の位置関係は、非常に良いと感じました。
ただ、イヤーフック部分は復元力が強く、フィット感はあまりよくなく、取り回しもやや難ありと感じます。この辺りは耳の形などの個人差による感じ方の違いが大きいので要チェック項目かと思います。
〇Satolec Tumuri DH303-A1レビュー
紹介する商品はこちら。価格などもこちらへ。
■全体の印象
ドンシャリだがボーカル域の明瞭さがあり分離の良さもある。イメージとしては、低音が大きめに持ち上がって、中音域に向かってやや凹んで、高音域が少し持ち上がる感じ。低音中心のカマボコというと言い過ぎだと思うが、楽曲によってはカマボコっぽい印象を受ける時がある。
ボーカルは少し柔らかい印象だが明瞭さもあり、低音域のノリの良さを感じながらボーカルを聴くような楽しみ方に合う。
キック、スネア、クラップが明瞭で、低音の強さと、重低音もそれなりに出るため、EDMを音量大き目で聴いた時には迫力とキレがある。またギターの表現が全体的に上手くマッチすると感じることが多かった。
■各音域の印象
低音は中低音から重低音にかけて多め。重低音もなかなか良く出ていて、響き渡る感じや楽曲全体の厚みを出すのに一役買っている。バスドラはアタックよりもより低い音による圧迫感が良く出るような印象。バスドラやキック(まぁバスドラだけど)はどちらかというと締まった表現をする。ベースラインも明瞭で厚みも良く出る。
スネアやタムは少し弱めに感じる。バチンというアタックはやや大きめに聴こえる。シンバルは細く鋭くなるが明瞭さがある。シンバルのサスティーンはそれなり。アタックのニュアンスの差はそれなりに出る感じで悪くない。青Tubomiの時に感じた、歪みっぽいキツい感じがかなり改善されていて、今回のTumuriが良いと感じた要因の一つである。
ボーカルは少し柔らかい印象だが明瞭さもあり主張がある。息の音は多少鳴らし、生っぽさもそれなりに良い。コーラスやユニゾンのように複数人が歌っている時の分離も悪くない。全体的に柔らかいというか丸いというか暖かい感じがある(ネガポイントとは言わない)ので、好みに合うかどうか、購入時にチェックしてほしい点である。『し』『ち』の音などの刺さりは少しあるが青Tubomiに対してかなり改善している。
エレキギターは、ディストーションのエッジ感が出て良い。どちらかというと太めとか温かみのあるサウンドの方が得意。分離が良く、バックで弾かれる細かなカッティングやフレーズも良く聴き取れる。ソロにしろバッキングにしろ、キレのある感じや太さのある感じのいずれにしても上手いと思うところが多く、ギターの表現にこだわりのある人は試してみる価値がある。
バイオリンは、弦をこするザリッとした成分は多少鳴らし、楽器由来の響きはそれなりで、上手くバランスしている印象。ピアノはどちらかというと柔らかい方向性でアタックは少し丸まるが悪くない。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ベース&バスドラ≧ボーカル≧ギター≧ピアノ>シンバル
ボーカル以下は楽曲によって順位変動が大きそう。
■その他聴こえ方
録音の粗は感じにくい。
打ち込み系との相性は良い。低音の厚みとどちらかというと締まりのある表現、高音の鋭さが乗りの良さを表現するのに合っているように感じる。
ホールの残響感は良く出ている方で、リバーブやディレイの消えてゆき方も自然で上手く鳴らす感じ。ギターの表現もうまく、ピアノとの相性も悪くないため、残響感の表現が欲しい小ホールでのジャズセッションなどもうまく鳴らす可能性が高い。(その場合、たまにあるウッドベースがやたら強い音源だと低音が強すぎると感じる可能性はあるが。)
音量を上げてゆくと、かなり大きい所で全体的に歪みっぽい感じがかなり気になるが、通常の範囲内なら問題ない。念のため大音量で聴くことが多い人はチェックした方が良いだろう。
逆に音量を下げた際は、中高音域がしっかりと残って、全体的にかなりスッキリとした印象となる。この時、ボーカルがぼやけた感じにならず、小音量での使用を前提とする人は高評価となる可能性がある。こちらも通常使用時の音量で試してみるべき。
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■お勧めできる人
低音から重低音の厚みが欲しいEDMとのマッチングで打率の高さがあったので、そのような音楽が好きな人にお勧めできる。それ以外にも、低音厚めのドンシャリ好きでボーカルの明瞭さも欲しい人は試してみても良いかも。
低価格帯で耳掛けタイプを求める人や、ケーブル交換可能なタイプを求める人はライバルも少なく、ポテンシャルもなかなか高い(マッチするジャンルもそこそこ広い)ので試す価値がある。
また、打ち込み系が上手いfinal E2000を試して、もう少し低音が欲しいという人はマッチする可能性がある。特に、小音量時にfinalのE2000とE3000は全体的にもやっとした印象になるため、小音量での使用を前提としている人は明瞭さが残るTumuriを試してみると良いかもしれない。
■お勧めできない人
ボーカルの音抜けや鮮明さを重視する人。ボーカルが埋もれるとか埋もれないかではなくて、少し丸みのある暖かみのある感じの音なので、これを良しとするかクセと取るかで評価が大きく分かれそう。
楽曲全体のバランスを壊すほどではないが、低音域はしっかり出るので、もう少し控えめなあっさりとした表現を好むなら他をあたった方が良いだろう。
■雑感
ドンシャリ傾向が好きで、ボーカルの明瞭さも欲しいなら選択肢の一つに入りそう。特に、mmcxによるケーブル交換対応の点と耳掛けタイプである点を評価するなら、有力な候補になりそう。個人的には、この価格帯でケーブル交換対応を必要とする層って居るのか?という疑問もあるため、この点は加点も減点もしていない。
エレキギターの表現がなかなか上手く、この辺りが好みと合えばなかなか楽しめそう。また、低音~重低音の厚みと、中高音の鋭さが活きるEDM等については相性が良いと感じることが多く、ノリの良さ、パワフルさなどが欲しいなら試してみてほしい。
Satolexの他のプラ筐体タイプよりもドンシャリ具合がやや控えめになって多少スッキリ方向になり、全体の分離も良くなっている。なので、これまでSatolexの音作りが合わないと思っていた人も試してみたら良いと思えるかも。(私がそうでした。) 黒/赤Tubomiよりも低音の厚みが控えめになっているので好みの差は出るだろうが、私の記憶の印象と比較して、ベースとボーカルとギター等の分離が良くなっているように思えるので、音質だけ比較しても価格上昇分の価値はあるのではないかと感じる。
比較してみると音のバランスだけでいえば青Tubomiと近いのだが、おそらく、青Tubomiに対して全体の分離の良さが大きく改善し、中音域が強めに出ているのが、私の好印象につながっているようだ。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手 ☆☆☆★★
お勧め度
一般 ☆☆☆☆★
趣味人 ☆☆★★★
コメント
お買い得度は約7000円で購入として判定。4000円弱のTubomiからの音質向上を評価して☆4つと悩んだが、他メーカ同価格帯と音質だけで勝負すると☆3つが妥当かと感じる。耳掛けタイプやケーブル交換対応を評価すれば☆4つ付けて良いし、価格が少し下がって6000円で買えるようになれば☆4つになる。使い勝手は、イヤーフック部の取り回しの悪さが足を引っ張った感じ。上手くフィットする人は☆4つでも十分納得できる。
一般へのお勧め度は、このイヤホンが選択肢になる人は耳掛けタイプが欲しい人と仮定して、この価格帯で少ない商品で、音質面もノリの良さや分離の良さもあり、少し高めに☆4つ。趣味人には、これ特有の強みはやや弱いと感じたために☆2つとしたが、mmcxケーブルの比較実験用素材として楽しむのであれば☆4つぐらい付けてよいポテンシャルは持っている。特に、サードパーティーのケーブルを複数所有している人は、取り回しが好みなケーブルに付け替えて、便利に使える1本として活躍できるかもしれないので、高評価を付ける人がいても反論しない。
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