カナル型のDUKEもあるのですが、この記事では系統が似ているインナーイヤー型だけを取り扱うこととしました。DUKEは別記事で扱います。
aune audio M1sの各出力段の回路がどうなっているのか不明なため、バランス接続の効果だ!と断言できない部分もあるのですが、少なくともM1sのバランス出力に接続することで、中高音以上の音抜けが向上することが確認できました。
参考
VE & aune audio Review Tour シリーズはこちら
企画の全体像はこちら 概要とはじめに
それでは、詳しく見てゆきます。
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〇はじめに
すべてを、いつものレビューの形式で記述するのは時間の都合で無理と思いますので、インナーイヤー(イントラコンカ)型のイヤホンについては、以下のように比較しようかなと思います。
☆バランス接続と、アンバランス接続を比較する
☆それぞれのイヤホンの差を比較する
☆気に入ったポイントを掘り下げる
それでは、比較するイヤホンを紹介してゆきましょう。
〇Venture Electronics インナーイヤー
名前が長くなるので省略しますが、すべてバランス接続可能な仕様をお借りしております。そこに、バランス~アンバランス変換ケーブルを挟んで、接続の違いを検証します。
最も安いMONK PLUS アンバランス仕様なら5ドル程度
バランス仕様なら15ドル程度
バランス仕様なら15ドル程度
ASURA 2.0 90ドルぐらい
最も高価な ZEN バランス仕様で160ドルぐらい
インナーイヤー型はもう一本、MONK PLUSのカプチーノというケーブル違いも届いていたのですが、その差をお伝えするのが難しく、とにかくモデルごとの差を紹介しようということで、絞って紹介しています。
〇使用DAP aune audio M1s
使用するDAPはaune audioのM1sです。2.5mm バランス出力と3.5mm アンバランス出力の2系統が用意されています。こちらのDAPについては、別の記事にて詳しく紹介するつもりです。
〇バランス接続とアンバランス接続を比較する
aune audio M1sを使ってバランス接続とアンバランス接続を使い分けながら、それぞれの音の変化を確認する。
こちらでバランスとアンバランスを変換します
最初に、M1sの仕様上の差だと思うが、バランス接続の方が音量が少し大きい。(あ、大きくなった、と思うぐらいの差はある)そのあたりと、バランス接続とアンバランス接続の差を切り分けるのは難しいため、この点も評価に影響を与えている可能性があることは留意いただきたい。
さて、音について。バランス接続の方が中高音から高音が少し鮮やかになるような感じがする。また、バランス接続にすると音場の広がりが増す。同じことを逆の方向から言うと、アンバランスの方がマイルドで、中音域の聴きやすさがある。
これについても、M1sの内部で2つの出力で、フィルタ定数が同じなのか違うのか不明な分、バランス接続の効果と判断するのは難しいが、少なくとも音場の感じ方の変化は、バランスとアンバランスの違いであると予想している。
また、バランス接続の方が息の音やリップノイズがやや強くなり、ボーカルの明瞭さが増し、ボーカルが少し近づく。その分、サ行の刺さり等が強くなる。
バランス接続にした際に、最も利点(向上した部分)と感じるのは、先に書いた音場が広くなることと、シンバルのアタックの解像度の上昇だろうか。
〇それぞれのイヤホンを比較する
MONK PLUS→ASURA 2.0→ZENと、値段が上がるにつれて、中低音以下が厚く、低音がしっかり出て締まりが出てくる印象がある。
音源にもよるが、ZENは一聴して判別できる程、顕著に中低音~低音の質が高いし、音場の広がりも優秀。MONK PLUSよりASURA 2.0は、中低音が良く出ている一方、MONK PLUSの方が、バランスが中高音寄りで、バイオリンソロなどは抜けが良く、ホールの反響がより大きく出ているように聴こえ、これはこれで良い。
しかし、MONK PLUSの方が中高音以上のキツさがあり、表現もやや大雑把。この辺りは価格の差を感じるが、MONK PLUSが安価なことを考えると善戦している。ASURA 2.0はMONK PLUSより中低音の厚さがあり、ポップスやジャズなどでより良い結果が得られそう。
ここまではバランス接続で試したのだが、アンバランスに繋ぐと、どのイヤホンも音抜けが若干悪化して、ホールの反響などが出にくくなり、聴こえ方がやや狭く感じるようになる。その結果、善戦していると感じていたMONK PLUSとASURA 2.0の差が大きくなるように感じる。
以上のMONK PLUSとASURA 2.0の差に注目して考えると、aune audio M1sのバランス出力に繋ぐことで、イヤホンのポテンシャルが引き出される可能性があることが分かった。(アンプのフィルタ構成の差もあるため、断言できない)
それぞれのイヤホンを比較すると、価格順に中低音の厚さと低音の質が向上するのが確認できたが、MONK PLUSが低価格ならが良い結果が得られることが分かった。
〇気に入ったのは?
気に入ったのはZENだが、お買い得なのはMONK PLUSだと思う。
MONK PLUSをアンバランス接続で試すと、ややキツさはあるものの、5ドルとは思えないほどの全域の明瞭さとキレ、音抜けの良さがあり、3本の中で最もお得感が高い。
バランス接続すると、抜けが更によくなって、空間的な広がりが出るし、バランス仕様15ドルならば十分にお買い得であると思うが、その差額を払ってかつ、環境を整える手間とコストを考えると少し微妙かなとも思う。既にバランス出力の環境が整っているならば、変換ケーブルも手配して、比較してみる価値はあるだろう。
3本の中で、最も好みな物を選べと言われたらZENだ。ほとんどインナーイヤー型を試したことが無い私にとって、インナーイヤー型でここまで質の高い低音が出るのかと驚いたし、音抜けの良さや空間的な広がりがあってインナーイヤー型のメリットも活きているからだ。正直、結構高価だと思うが、インナーイヤー型ファンは注目してみても良いモデルだろう。
〇まとめ
いかがだったでしょうか? 実は、バランス接続に対してはやや懐疑的だったのですが、結構違うもんだなぁと感じています。もちろん、回路構成の違いという可能性も捨てきれないのですが、音の広がりの良さはバランス接続の効果だと考えています。
インナーイヤー型の使用経験が少なく、比較や評価が難しい所ですが、音抜けや音の広がりの良さがカナル型にはない良さだと感じています。いきなり1万円もするインナーイヤーの購入を勧めるのは気が引けますが、バランス接続でなくても、MONK PLUSの5ドルは試してみる価値が十分にあると思いますので、検討候補に入れて見てもらえると嬉しいです。
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