今回は(個人的には勝手に苦手意識を持っていた)インナーイヤー型のイヤホンです。試してみて、篭り感が少なく音場の広い鳴らし方が、ジャズのライブ音源などに合うと感じました。
この辺りを中心に見てゆきます。
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
中高音の音抜けの良さや音場の広さがあり、インナーイヤーの利点が活きる。ライブ音源への特性が高い。
〇Codio MEMT X6概観
〇Codio MEMT X6 レビュー
今回取り上げるのはこちら。今回は、Collection Audio様よりサンプルを提供いただきました。何度かやり取りをする中で対応も早く安心できると感じました。価格などはリンク先からどうぞ。なお、メーカはMEMTですが、Collection Audioさんが輸入して自社取扱いとしている都合でCodioとなっているようです。
■全体の印象
中高音あたりを中心としたカマボコ。中低音あたりがやや凹んでる感じもするので、ややドンシャリとも。普段は低音が出るカナル型を使っていると、ややハイ上がりな感じもするが最低限は低音が出ている。どちらにせよ特性の凹凸は小さめ。
定位や音場の感じ方が特別良いわけではないが、インナーイヤー型特有の空間的広がりや音抜けの良さがあり、シンバル、サックスや弦楽器の鮮やかさがある。女性ボーカルに少しクセが出る感じがある一方、ホール録音のインスト曲などでは、残響や先述の音の広がり、各楽器の鮮やかさでなかなか良い。
■各音域の印象
インナーイヤー型なのでカナル型の圧力のある低音の出方を期待すると違うので、いつもの楽曲を聴くと低音が薄く感じることがあるが、低音に迫力のある音源では最低限出ているように感じる。ぼやけている感じもない。バスドラのアタックはやや弱め。
シンバルや鉄琴のような金属音は鮮やかで音抜けが良い。潰れた感じもなくサスティーンも長め。細かなアタックも鳴らす。やや近く感じるがひどくはないし、刺さりもない。スネアやタムはやや柔らかく、アタックも弱め。
ボーカルの明瞭さはそれなり。やや柔らかく輪郭がやや柔らかい感じ。他の音域の鮮やかさのため、音程や声の質、他の楽器との関係によっては目立ちにくいと感じることがある。周波数特性の凹凸せいか、女性ボーカルにクセがあると感じることがあるが、特にひどくはない。サ行やパ行の刺さりも気にならない。
ギターのディストーションの表現は、エッジ感が出てなかなか良い。やや鋭さのあるディストーションの方が得意で、力強い感じは中低音がやや少なく、どちらかというと苦手。クラシックギターやフラメンコ系は、ややアタックが丸まってキレは控えめ。
トランペットやサックスは響きもあり鮮やかさもある。それぞれの楽器らしい音で鳴り、響きがあって良い。音抜けも良い。バイオリンは鮮やかでザリッとした成分や鋭い音も鳴らし、楽器由来の響きもある。ただ、細く尖った音は控えめで、神経質な感じの鳴りは控えめ。
ピアノは鮮やかでよい。アタックの明瞭さも響きもそれなり。どちらかというと明るい音を鳴らし、 重厚な感じよりも、軽やかな感じの方が似合う。ホールの反響などを鳴らす特徴とマッチしていて、ピアノソロやピアノを含んだ小編成のライブ音源などとの相性が良い。
付属のドーナツ型のスポンジフィルターを付けると、密閉度が上がって、音の広がりは少し抑制され、密閉っぽさが混ざってくる。低音の量、締まりも出る。高音の鮮やかさは少しスポイルされる感じ。音が逃げてしまう感じが無くなり、中低音に厚さが出るし、たまに気になっていた共振っぽい鳴りも無くなる。
大雑把な聴こえ方はミックスがボーカルが大きいのが前提で
ボーカル≒ピアノ&バイオリン≧シンバル>ベース>バスドラ
■その他聴こえ方
ソースの粗は分かりにくい。サーノイズは鳴らすが耳障りさは控えめ。(もちろん、音源に含まれるノイズの量や質にもよる。)音量も稼ぎやすくポータブル機やスマホに適する。
スポンジフィルターなしでは、生楽器を模擬したような打ち込み系の音源との相性が良くないように感じる。偽物っぽさが目立ってしまう印象。
一方、ホール録音やライブ録音のように、反響や環境音がある音源との相性が非常によい。ホールの残響も鳴らし空間的な広がりがある。音抜けや解放感、高音にかけての鮮やかさで、ピアノ、サックス、バイオリン、ドラム(スネアやシンバル)などによるライブ音源が上手い。いろいろ試していた時に、古い音源との相性が良いように感じる。(新しい音源が苦手という訳ではない)
高音の抜け、音の広がり、ボーカル域がよく出ていることから、動画鑑賞、特にアクション、カーチェイスなどは、ガラスの割れる音やスキール音などが鮮やかで迫力がある。
■お勧めできる人
インナーイヤーが好き、もしくは試してみようと思う人で、クラシックやジャズが好きな人へ。私は普段、ロックやポップス、ゲーム音楽などをカナルタイプで良く聴くが、ブラッドメルドーやパットメセニーなどを聴くときに『これを使おうかな?』と思うぐらい使い分けとして優秀。強い癖があるわけではないので、インナーイヤータイプが好きな人は受け入れられやすいだろう。
■お勧めできない人
カナル型の特徴でもある、圧力(圧迫感)のある低音や、ボーカル、シンバルの近さなどを求めると合わないだろう。インナーイヤーなので、音漏れや遮音性は高くは望めない(当たり前だが…)ので、そのあたりを重視する人は避けた方が良い。
■雑感
昔は多かった(というかカナル型が普及するまでは耳かけ型と2強だった)インナーイヤーだが、最近では選択肢が減っている。しかし、中華系には残っていたりして、このあたりのラインナップの差も興味深い。
さて、その昔、家にあった安いインナーイヤーへの苦手意識からチャレンジしてこなかったこのタイプだが、改めて向き合ってみて、これはこれの利点があると感じた。音場の広さや篭り感の少なさ、中高音にかけての抜けの良さなどだ。
これらの利点と、X6の特徴が上手くマッチして、先述したライブ音源などへのマッチングが良くなっているように思うし、このあたりを求める人にとっては、2500円程度の投資と見合ったものが得られるだろう。
ここまでのレビューでは中高音以上の良さについて多く述べたが、これは同価格帯のカナル型の多くに対して優位点があるからである。たしかに重低音は少なめだが、低音も楽曲を底支えするように出ているし、中低音もチェロなどを聴いてみると良く出ている。そのため、シャカシャカの軽い音にはなっていないので安心できる。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手 ☆☆☆☆★
お勧め度
一般 ☆☆☆★★
趣味人 ☆☆☆★★
コメント
お買い得度は2500円購入として判定。他イヤホンの評価と比較しながら判定すると☆3つあたりが妥当かと思うが、インナーイヤーに慣れている、先述したマッチする音源を良く聴く人なら☆4つ付けても良い。使い勝手としては、音量が取りやすく、小型でケーブルの取り回しも良いため、基礎点は高め。カナル型使用時の耳穴の湿気が気になる人には、インナーイヤーによってこれを避けることができ、長時間使用(例えば語学学習や動画視聴)へで重宝するのでは?と思い、高めに☆4つ。
個人的に良い物だと思いますが、一度落ち着いて、予算3000円でおすすめを聞かれて、これを最初に挙げるか?と問うと、それはなさそうと考えて☆3つ。やはり、主流のカナル型を最初に考えると思うし、その人が聴くジャンルとのマッチングもあると思う。そのあたりをカウンセリングできれば☆4つになるだろう。趣味人も同様で『インナーイヤー』や聴くジャンル、価格で絞り込みをかけるなら☆4つだが、それ無しでは☆3つが妥当と考える。
中華系メーカの場合は、購入の際は対応に高評価のあるセラーさんを選んだ方が良いです。他の商品について海外通販での値段と比較したりしましたが、価格差が小さいのも、お得感の高評価に繋がっています。
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