大阪・名古屋・東京、もっと言えばeイヤホンやヨドバシカメラが近くにある人は、試聴しやすい環境にあると言えます。
「試聴をあまりしていない」「試聴で気に入って買ったはずなんだけど…あれ?」「評判が良い物を試聴したけどピンとこない」など、そういう人に、自分なりに気を付けていることなどを書いてみます。
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〇試聴できるってすごいのよ?
ここまで様々なイヤホンを試聴できる環境になったのは、eイヤホンやヨドバシカメラ、自分はあまりお世話になっていませんがフジヤエービックなどの貢献が非常に大きいと私は考えています。eイヤホンが誕生した頃には試聴できるところなんてほぼ無かったはずですので。
基本的に、試聴して買えるというのは非常に大きなアドバンテージです。試聴して気に入って買うことを決めたら、その店舗で買ってあげるのが筋ってもんじゃないかな?と私は思っています。
〇試聴の難しさ
店頭やイベントでの試聴時の印象と、自宅などの普段使用している環境での印象が異なることは結構あります。その要因を列挙します。
・周囲の騒音環境
・試聴時の体調
・派手な方が良いと感じやすかったり
・試聴機のコンディション
・イヤピのマッチング
・試聴時間の短さ
・前情報のバイアス
・慣らしの不十分
こういう要因が重なると、購入前後で評価が変わることもあり得ます。考えられる(もしくは自分が経験がある)変化幅を 試聴時→購入後 とすると…
・超良い→超良いorそこそこ良い
・まあまあ→そこそこ良いorあんまり…
・全然ダメ→やっぱりダメ
当然、まあまあと思っていたら、超良かったとかあると思いますけど、ひとつの例として見てください。(全然合わないと感じたら、やっぱり何度試しても合わないのは真理だと思いますが…)
では、それぞれの要因について考えていきましょう。
〇周囲の騒音環境が印象に与える影響
先日、新幹線内でイヤホンを使用して音楽を聴いていた時に、自宅で静かな環境で使用している時よりも、解像度が低めに感じた、ということがありました。色々な要因はあるでしょうが、周りの騒音が遮音しきれずに入ってきて、体感上の解像度が下がっているのではないか?と感じました。
簡単言うと、細かな表現やキレが若干下がって、音に雑味を感じるような雰囲気です。
よって、騒がしい店舗などで試聴した場合、遮音性の高いイヤホンの方が、遮音性の低いイヤホンよりも高解像度に聴こえやすい(バランスも変わって感じているかも)可能性があります。
電車などでの移動時をメインにイヤホンを使用する人は、周囲が騒がしい状態で試しても普段使いと変わらないかもしれません。しかし、自宅で落ち着いて使うことが多い人は試聴時と自宅使用時に印象が変わる可能性は十分にあります。
〇試聴時の体調が与える影響
実際に自分も経験があるのですが、ぶっちゃけ疲れている時や色々と試聴した後では感じ方が変わります。
体調とは少し異なりますが、前後に試聴した物が評価に影響を及ぼすことは多いです。結構低音が出ているイヤホンやヘッドホンを立て続けに試した後に、それなりに低音が出るヘッドホンを試して『もうちょい低音が欲しい』と思いました。しかし後日試しなおすと『結構低音出てるやないか!』となりました。結構そんなもんです。
〇派手な音の方が試聴時に良く感じやすかったりする
個人的な経験則ですが、試聴時はドンシャリ強めの方が良く聴こえやすい傾向があるように思います。これは周囲の騒音環境で体感上の解像度がちょい落ちている状態で、低音や高音域がハッキリしている方が良いと感じたりする、というのが影響しているのかな?と思います。
また、AとBとCと…と細かく比較していくと、明確なキャラがあり、主張が強いイヤホンの方が良く感じてしまうという相対評価での難しさも含んでいるように思います。
〇試聴機のコンディション
TwitterのTLを見ていても感じますが、割と試聴機にトラブルを抱えている物が多いです。残念ながら。まぁ仕方がないと思いますけど。
店舗の問題だけではなくて、お客さんが雑に扱ったり過大入力をして調子が悪くなったり、と要因は色々考えられます。
〇イヤーピースとのマッチング
イヤピの選択は音に与える影響が結構大きいです。最近のeイヤホンでは、純正のイヤピ全サイズを備え付けるようになり、すげーなと感心しておりますが、1サイズのみが付けられているのが普通です。こうなると、イヤピ持ち込みで試さないと本来の音が出なかったり、その持ち込みイヤピとのマッチングが悪かったりすると…とか、付属イヤピがどうにもイヤホンに合っていないのでは?とか、いろいろあります。
この辺りは、やはり購入して試行錯誤して、なるほど、と思うまで評価が確定しにくいものです。
〇試聴時間の短さの問題
試聴時間が短いと、限定的なテストしかできません。Aのイヤホンと以前試したBで、Aの方が良いように感じるけど、試した音源が違って比較できない、なんてことは良く発生します。
この問題を回避するには、ある程度試聴時に使う楽曲を決めておくのも手です。もしくは、この楽曲が良く聴こえるイヤホンを探そう!という試し方ですね。それら『試聴時に使う楽曲』は色々なイヤホンで試しておいて、その楽曲で聴くポイントや、各イヤホンでの特徴を自分の中に蓄積しておくことも重要でしょう。
また、購入後にじっくりと試すことができたら、普段はあまり聴かない特定の楽曲(楽器)とバッチリ合って気に入る!とかいうこともあります。そういうパターンも漏らさないように、ある程度、試聴用楽曲のジャンルや雰囲気を散らしておくのも良いです。
〇前情報のバイアス
Twitterやネットでの前情報が良くて気になって試聴する、ということも良くあります。そうやって聴いてみても『あれ?』ということは結構多いものです。原因は好みの問題や使用DAPの違い、楽曲ジャンルの違いなど色々でしょう。
そうやって前情報がある場合は、どうしても評価がブレがちです。40点と感じた物が60点になることは稀ですが、60点が70点になることは十分にあり得ます。その高評価をしている人が自分が良く知っている人だとなおさらです。結構これがクセ物で、買うか買わないかの瀬戸際で、周りの評価が最後の一押しになって…ということも…。
こればっかりは仕方がないことですが、評価と違うと思っても当然と開き直るか、いったん保留して他の物を聴いたり、後日試しなおすなどするのもアリです。
〇慣らしが不十分だったり
店舗によっては結構気を使ってくれているようですが、それでも完全とは言い切れません。慣らし(エージング)の是非は色々あるのは承知していますが、個人的には『体感することが多いから有ると思って取り組んでいる』というスタンスです。
慣らしによる変化は様々だと思いますが、良くあるのは低音が出てくるタイプと、高音のキツさが緩むパターンですね。
〇試聴時に気を付けた方が良いと思うポイント
ここまでにいくつか挙げましたが、ちょっと繰り返しつつ、まとめておきましょう。
・試聴は参考になるけど絶対じゃない
・『めっちゃ良い』は控えめに評価して
『あんまり』は後で評価が上がるかも
・地味かも?と思ったらじっくり試す
・試聴機のトラブルの可能性も疑おう
・評価が高いイヤホンが合わないのは
機材とのマッチングの問題かも
・自分用イヤピは持ち込むのが吉
・試聴用音源を決めておく
・その音源のチェックポイント決める
・試聴用音源を決めておく
チェックポイントを決めておくと良い
・試聴用音源のジャンルを散らす
(あるジャンル特化を狙うなら不要)
・評判と違って合わないなんて普通です
・友人がそのイヤホンを持っているなら
借りてみるのも良いかも
(慣らしが進んでいる)
念のため書いておきますが、機材とのマッチングが悪い=自分の環境と合わない、であって、お前はそのイヤホンを使えないとかネガティブなことを言っている訳ではないですから(汗) ぶっちゃけ、あのイヤホンが良いって感じるのは派手な音を出すDAPを使っている人でしょ?とか結構あります。
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〇いろいろ書いたけど試聴してみよう
やはり試聴に勝る検討手段って少ないので、試してみることをお勧めします。それ以上の手段は『買って試す』なんですが、これはなかなか難しいですからね。
経験ゼロから試聴で一発で選ぶのは難しいです。やはり、いろいろ買って傾向とか試聴音源での音の出方とかの蓄積がある状態の方が試聴の精度は高まります。それが難しければ、機会を見つけてこまめに色々なイヤホンを色々な音源で試して経験値を溜めていくしかないように思います。
何度か店頭にいけるのならば、同じイヤホンを何回も試聴してみることで体調の違いによる変化も平均化できますし。
自分も、final E2000とE3000が同時に発売になった際に、自分はE2000の方が合いそうだと感じました。これは、前情報とかパッと聴いた感想とかでそう判断したと記憶しています。しかし、現在はE3000の方が好みです。そう判断するまでの間に、自分のイヤホンの好みが変わってきたことなどもありますが、1対1の比較でも完璧なジャッジを下せなかった一例に間違いありません。
☆final E2000レビュー
☆final E3000レビュー
まったく話題になっていないが試聴してビックリということもあります。現在、私が大好きなNUARLもそういうメーカです。そういう出会いを楽しむのも試聴の楽しみのひとつですので、今回例示した内容を参考にしていただけると幸いです。
↑現在レビュー用意中ですが、結構好きですね。試聴する機会がありましたら是非お試しください。