詳しく見てゆきましょう。
同シリーズNX310Aのレビューも追加しました
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
アコースティックな楽器のニュアンスが出て表現が上手く、厚みのある低音域とキレのある中高音域が高評価。
ただし、実力を発揮するためには十分な慣らしが必要。
〇NUARL NX30Aとは
NUARLはワイヤレスイヤホン、リモコン付きNEシリーズ、リモコンを排して音質を優先したNXシリーズとラインナップは豊富です。このブランドの面白い所は、採用の少ない技術を積極的に取り入れたり、使い勝手や自社ブランドの立ち位置をよく考えているところですね。音も好みで個人的に応援しています。
これまでに採用してきたドライバは購入品だったようですが、今回のNX30Aおよび同時発売されたNX310Aには、独自開発ドライバを投入してきました。ちょうど一年前だったかにそういう取り組みをしている、という話はNUARLブースでお聞きしていたので、ついに来たか!という気持ちです。
パッケージは各モデルに共通するイメージで作られており、上位のモデルにしては簡素かな、と思わないでもないです。(自分はどうでもよい) なお、マカロンタイプのケースが付属します。
NX01A2に近いざっくりと編まれたような質感のケーブルはクセが付きにくくて扱いやすいです。個人的には好みです。プラグ、分岐部の作りも良さそう。
イヤホンにはMが装着されてS,Lが付属します…が、素材や作りがMだけ違う…。自分はLを使うので良いのですが、これで合ってたのかな?
作りは良いです。特徴的なケーブルの取り出し部は、こめかみ付近を押さえる感じになって安定性が良いです。またこの形状は耳掛けでの装着も想定しており、それも良い感じ。
〇NUARL NX30Aレビュー
紹介する商品はこちら。価格などもこちらへ。
■全体の印象
最初に書くべきは、箱出しからしっかりと鳴らし込む必要がある点。慣らしにより低音域の量感と表現の上手さ、ボーカル域の透明感と定位の良さが出て、シンバルの刺さりも落ち着いた。
ドンシャリ。低音~中低音に大きな盛り上がりがあり、楽曲全体の厚みが十分に出る。高音、特にシンバル周辺にやや鋭いピークがある。ボーカル域は明瞭さがあり表現も上手いが、少し距離があって配置されるような独特な聴こえ方。
高音域(シンバル)は多少刺さるが表現が非常に上手い一方、良くない音源はそのまま鳴らすために刺さりを感じることも多い。この辺りは少し神経質さもある。空間的な広がりや表現の上手さが特徴。ピアノ、クラシック(フラメンコ)ギターとの相性が個人的に良いと感じた。
音量は取りやすい。
■各音域の印象
低音~中低音に大きな盛り上がりがあり、楽曲全体に厚みが出る。バスドラのアタックやベースラインは明瞭で、音圧の感じや圧迫感が上手く出る。締まりやキレはある方。超低音の再現能力は低め。
スネアやタムのヘッドを叩くアタック音は大きめに出る。シンバルはサスティーンが長く、金属的な鳴りが良く出る。音量も大きめ。シンバルの細かなニュアンスも良く出て上手い。刺さりは多少ある。(量が出ている割には少なめだが) また、刺さりも音源による差が大きい。
ボーカルは表現が上手く明瞭さがある。鮮明さと柔らかさは、少しだけ柔らかい方向性。複数人で歌っている時の鳴らし分けは悪くないが、たまに潰れてゴチャつく感じもある。息の音やリップノイズは適正量出る感じ。ボーカルと適正な距離がある感じで鳴る。
サ行やパ行の刺さりは少しある。ボーカルの男性・女性の差は少なめだが、どちらかというと低めの男性ボーカルとの相性が良いかもしれない。
エレキギターは全般的に上手い。ディストーションのエッジ感やキレが良く出る。どちらかというと太さや豊かさのあるサウンドの方が上手い。リバーブや空間系エフェクトの掛かりも非常に良く、この辺りもギターの表現の上手さに繋がっている。
個人的に気に入ったのはフラメンコギターとの相性の良さ。ピアノとの相性が良く、好きな楽曲が心地よく聴けた、というポイントもある。
ピアノは鮮やかさも響きの豊かさもあって上手い。軽快な感じから渋い感じ、暖かみのある感じの鳴らし分けが上手い。バイオリンは、弦をこするザリッとした成分が出る。楽器由来の響きと豊かさはそれなり。複数の弦が鳴っている時の分離も良い。高音域まで鮮やかで、空間的な広がりや表現の上手さもあって、ホール録音などを聴くと上手い。チェロなどもう少し低い音域の楽器も上手い。
トランペットやサックスなどの吹奏楽器は、鳴らし分けも上手い方で響きも出る。金属的な鋭さや鮮やかさも良く出る。楽器由来の響きや豊かさも出て相性が良い。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ベース≒バスドラ≒シンバル≧ボーカル≒ギター≒ピアノ
順番を無理付けると…という感じで、音源のベースやバスドラの音量によって大きく変わる。ボーカルが非常に弱いということではない。
■その他聴こえ方
サーノイズは鳴らす。録音の悪い音源はそれ相応に鳴るので、イヤホンの実力以上に悪く聴こえがち。ホールの残響や反響、リバーブの表現が上手い。全体的な定位も良い方。どちらかというとアコースティックな楽器との相性が良い。打ち込み系は低音域の量感と締まりのある表現、中音域以上のキレで相性は悪くないが、中音域の距離を持った鳴らし方と相性が悪いと感じることもあった。
音量は取りやすいし、駆動力による音のバランスの変化も小さめ。
空間的な広がりやドラムやピアノ、ギター、金管楽器など表現の上手さから、ジャズなどとの相性が良いと感じた。
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■お勧めできる人
ジャズやフラメンコ等のアコースティックな楽器の表現力が欲しい人。中低音の厚みと中高音のキレの良さからポップスやロックとの相性も良い。ボーカルの表現力も良いのが高評価。
■お勧めできない人
耳元で囁くようなボーカルを求める人。ボーカル周辺が響きのあるような表現があり、それが気になる人には向かないだろう。かなり低い低音の表現力はいま一歩。EDMなども中高音のキレや低音域の表現で悪くないが、ホール全体に響き渡る圧迫感のある低音を求めると違う。
■雑感
最初に書きましたが、このイヤホンは十分な慣らしが必要です。箱出しいきなりの評価だともっと悪い評価になります。
音源との相性が出やすいところはありますが気に入っています。ドラム(シンバルやスネア)、ピアノやアコースティックギター、吹奏楽器系との相性が良く、そのような楽器の表現力が活きる楽曲では非常に心地よいです。
録音の良い音源のシンバルは非常に上手くて唸ることもありますが、打ち込み系で音が良くないシンバルはキツく一辺倒になりがちで、評価が分かれそう。
作りの良さや、特定の楽器の表現力の高さのある音作りなど個性があって、個人的には好きな1本。音源との相性があるといっても、全くダメというほど悪くないバランスに収めている辺りも好印象。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手 ☆☆☆☆★
お勧め度
一般 ☆☆☆★★
趣味人 ☆☆☆☆★
コメント
お買い得度は約9500円で購入として判定。最低でも☆3を付けるだけの音質があり、ケース、扱いやすいケーブルで☆4と迷った。このイヤホン特有の良さはあるが、好みの差が大きそうで☆3止まり。
使い勝手は、装着感が良く作りも良い筐体で、扱いやすいケーブルと音量の取りやすさ、ケースなどを考えて☆4。装着感の良さと耳掛けにも公式対応しているところを高めに評価した。
お勧め度は一般には、十分な慣らしが必要な点を減点し、アコースティックな音源を好む人を基準に。☆4を付けるか悩んだが、良い音源や再生環境が必要だったり、音源の相性がそれなりにある点を考えて☆3。
趣味人には、ボーカル域の表現が合うかどうかがポイント。中音域のキレの良さと、アコースティックな楽器との相性の良さがハマれば十分に☆4の実力を持っている。
私の思うNUARLらしさをキチンと押さえている辺りが、開発陣のさじ加減の上手さや一貫性を感じます。
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