小型軽量で、できるだけ安価に仕立てたE1000は、オーディオに興味を持ち始めた人が買いやすい価格の商品を提供したいというポリシーの元に製作されたとのことです。音について詳しくレビューを見てゆきます。
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
初めてイヤホンを買おうという人に向けた基礎の良く出来た1本
もう一歩光る個性が欲しい、というのが正直な感想
〇final E1000を買ったきっかけ
E2000はE3000は2017年5月に発売され低価格帯において定番となっています。それぞれ価格は4500円と5500円で、付属品も考えるととてもお買い得な製品です。しかし、ちょっと良いイヤホンを買ってみようという人にとっては、5000円近いイヤホンは高く感じる、という感想もあったようです。
そこで、そのような声に応える形で更に低価格に抑えたE1000が開発されたということで、finalさんの心意気に共感しまして購入&レビューしようと決めました。
〇final E1000の外観
筐体サイズはE2000等とほとんど変わらず
良質なイヤーピースが各サイズ付属するのは流石
プラ成型色となることで工程を変えずにカラーバリエーションを揃えやすくなりました。プラ成型・組立の精度は良く、品質高く作られており安心です。
付属品するイヤーピースは、単品オプション品として人気な物で、それが各サイズ揃って付属します。これだけサイズがあれば、合わない人はいないのでは?と思います。また、E1000ではノズル部分が左右で別色となりました。色を見れば左右が分かり使い勝手が良いですね。
〇E1000のレビュー
今回取り上げているのはこちら。価格はリンク先からどうぞ。
■全体の印象
ボーカルからもう少し低い中低音域を中心としたカマボコ。高音にかけてやや強めに減衰している。ボーカルを中心としたバランスで、ベースやバスドラも明瞭でノリの良さが出る。ボーカルは柔らかい印象だがボーカルが大きいバランスなので埋もれたりしない。バスドラやベースラインは柔らかな印象。中音域の分離はそこまで良くない。
音量は取りやすいと判定できるギリギリのライン。通常使用ならば問題ないが、iPod touchの最大音量でもギリギリ鑑賞に堪える音量までしか上がらなかった。
■各音域の印象
ベース、バスドラのアタックは柔らかで音量はそれなり。楽曲のノリが出るだけ必要量出ている。どちらかというとバスドラの印象が強め。一番低い重低音は少ない。やや低めのタムやスネアは明瞭に鳴り、楽曲に迫力を出すように鳴る。シンバルは量は控えめながら細く鋭く鳴る。サスティーンは短め。
ボーカルが全体を通して最も印象が強い。全体的に柔らかい印象で、近い位置で定位する。近くで囁く感じではない。ブレスノイズやリップノイズなどは少なく、生々しさはかなり控えめ。サ行やタ行の刺さりは無く耳当たりが良い。
ギターのディストーションのエッジ感はやや丸まる。キレのあるサウンドは苦手で、厚みのある鳴り方をする。キレのある音で手数の多いギターだと少し分離感に欠けるところがある。ピアノはアタックがやや丸まり、太い感じに鳴る。ピアノ弾き語りでは、表現力がもう一歩あれば、と感じることが多かった。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル≧ベース≧ピアノ&ギター>シンバル
しかし、特に大きな差もなく、大小はほとんど気にしなくてよい。
■その他聴こえ方
ソースの粗は分かりにくい。ホールの反響などは出ず、空間的な広がりは出にくい。打ち込み系の表現はそれなりか上手いか迷う。ただ、キックのキレや締まりは控えめのため、この辺りを重視すると厳しい。
ボーカル域を中心として全体のバランスを上手く取っている。言い換えると、どこかが飛び出したり、やけに弱い音域がないため、付属品クラスのイヤホンから乗り換え先として良さを感じ取りやすい。
聴き疲れもかなり少ない。装着感も良く長時間の使用に適する。タッチノイズはやや気になる。
小音量の場合、鮮やかさが落ちてキレが物足りなくなる印象。音量を上げれば全体的に音に締まりやキレが出てくる。(が、定位などは悪化する。) 音量大きすぎによる弊害は出力の弱いスマホ程度では問題にならないが、スマホの出力で良さが出る音量まで駆動できるかは不明。
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■お勧めできる人
全体的に柔らかさとか聴きやすさを重視する人。空間的広がりは求めない人。付属品レベルからのステップアップに試してみたい人。
超得意なジャンルというのは例示しにくいが、超不得意なジャンルも少なく、どういう音が自分の好きなジャンルに合うか分かっていない人が第一歩として買うのに良い足がかりかもしれない。
■お勧めできない人
バスドラやタム、ベースラインの勢いを重視するような楽曲や、キックを強く出したい人。キレや鋭さを重視する人。空間的な広がりを重視する人。ボーカルの表現の上手さを求める人。
■雑感
全体的に厳しい記述になってしまったことは自覚している。ひとつひとつを詳しく検討すると(基準を低価格帯に置いても)やや厳しい内容が含まれてしまった感がある。念のため書いておくが、この価格でこの完成度であれば、決して悪いとは考えていない。むしろバランスに重点を置いて入念に作られた感じは伝わってくる1本だ。
E2000およびE3000とじっくり比較すると価格なりの差を感じる。もっとも性能差を感じるのがボーカルの再現力だろう。このなかではE3000が最も上手く鮮明なバランスで、E2000はE1000と同様に柔らかく感じやすい。E2000とE1000をじっくりと比較すると、E2000は柔らかながらボーカルの息遣いやニュアンスが良く出ている。
ここで問題は『E2000とE1000の価格差2000円と音質の差が妥当か』になるわけだが、これはものすごく難しい問題だ。4500円のE2000より(付属品は省略されているが)2000円安いE1000でこの音が実現できている点は、価格なりの性能が出ていると言って良いのではないか?と考える。
個人的にはもう少しだけ、何か得意な点があれば非常に良いと感じてしまった。どの点に注目しても『値段の割にまぁまぁ良いかな』という感じで、決して悪くないが、私のレビュー上でプッシュする点を見いだせなかった感じだ。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手 ☆☆☆☆★
お勧め度
一般 ☆☆☆★★
趣味人 ☆★★★★
コメント
お買い得度は2500円購入時で判定。お買い得度は☆3つ。音質は同価格帯で飛び抜けた物は無いが、全体の作りが良く、サイズが豊富で品質の高いイヤーピースが付属して、手厚い保障が付属するため。☆4と悩んだが控えめに。
使い勝手は、これだけイヤピのサイズが豊富なら合わない人もいないだろう、という点と、特に苦手となるジャンルも無さそうという考えから☆4。
このイヤホンのターゲット層となる一般へは、これから音楽鑑賞・オーディオに興味を持つ人の一歩目に十分なポテンシャルを持ち、買いやすい価格であると考えて☆3つ。☆4つを付ける程の説得力は感じなかった。
趣味人へは、サブ機としての役目はしっかりと果たしてくれるし値段なりの仕事はしてくれるだろうが、買って試すべきという明確なセールスポイントに欠ける。
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