私のための比較なので、各自の使い方や要求によって判定は大きく変わると思います。ですので、あくまで『そういう見方をすると、そういう判定になるのね?』という観点からお楽しみください。
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〇はじめに
実際に購入を決めるタイミングとなったら、今回は掲載していないインプレッサや、アクセラ、ゴルフなども比較検討のために試乗するかもしれませんが、現段階で興味を惹かれる、好みのメーカである、価格に手が届くなどの基準から選んだ選択肢が、最初に挙げた3車種です。この車種には、すでに試乗しています。
・スイフトスポーツ試乗記事
・カローラスポーツ試乗記事
・シビックハッチバック試乗記事
この記事では、それぞれについては細かく扱いませんので、詳しくは書く記事をご覧ください。
〇なぜこの3車種なのか?
まず、私が車に求めるポイントは、運転の楽しさと実用性の両立です。そして次に、価格が控えめであることです。
具体名を上げてしまえば『運転の楽しさだけならロータスエリーゼかマツダロードスターを買うのが手っ取り早い。でも荷物も載せたいし、3人以上で出かけたい。だからってBMWのM2は買えないね。』という感じです。どれぐらいの実用性が欲しいか(楽しさの追求に妥協するか)は、FRには拘らず、86(BRZ)が実用性のギリギリ境界線上かその外側、とイメージしてくれるとちょうど良いかと思います。
さて、候補に挙げたスイフトスポーツと残り2車種は車格が異なります。スイスポはBセグメント(コンパクトカー)で、カローラスポーツとシビックハッチバックは、それより一回り大きいCセグメントです。
私の独断と偏見で言わせてもらうと、Bセグで、運転の楽しさを味わえる車で、値段的に最もお買い得な(避けては通れない)のはスイスポだと断言します。
現在、ZC32S(いわゆる旧型)のスイスポに不便なく乗っている私ですが、サイズアップによる空間的なゆとりと、走行安定性に関するゆとりがあっても良いのかな?と考えることもあります。サイズアップすると選択肢が増えますが、比較的安価で運転する楽しさが期待できそうな車種は、カローラスポーツ、シビックハッチバックあたりかな?と考えました。(このあたりは要詳細検討です)
〇デザイン
デザイン面は、好みにより大きく評価がぶれます。私の独断と偏見です。
・スイフトスポーツ
私は旧型ZC32SユーザーなのでZC32S贔屓なのを考慮してください。外観は丸っこい路線から、直線的でマッチョな雰囲気に変わりました。比較的おとなしかった先代(先々代)から、速くて力強そうというイメージチェンジを図ったと思われます。個人的には旧型が好みですが、現行も悪くないです。
内装は、旧型の質素だが統一感とシンプルさで勝負したデザインから、挿し色を使った少し派手なホットハッチ風のデザインを取り入れました。個人的にはこれは大反対で、赤色のパネルを黒かマットシルバーに塗りつぶし、テカテカしたプラ表面をマットな質感に換えるべきでは?と思っています。
・シビックハッチバック
外観は、こういうのが欧州で受けるのだろうか?と思っていましたら、別にそういうわけでもないようです。写真で初めて見たときは『ホンダっぽいアクの強いのを出してきた』とか、『ストライクフリーダムの顔っぽい』とか『G-SHOCKのようだ』と感じました。
実物を見たときに、ローワイドな迫力のあるスタイリングで『癖は強いが思っていたほど悪くない』と感じました。好みとはちょっと違いますが許容範囲です。気になっている人は実車を見ることを強く推奨します。
引き合いに出したG-SHOCKのように、そのブランドらしさを前面に出した『それでなくてはならない理由』にもなりえますので、賛否はあるものの、これはこれで良いのでは?と思います。
・カローラスポーツ
私は、初期のアクア、ヴィッツのデザインが結構好き(あとシエンタも好き)で、カローラスポーツがその系統のデザインを採用したを歓迎しています。
特徴的なキーンルックは、複数車種に取り入れられるにつれて、顔と車両全体との繋がりが良くなり、有機的で流れるようなデザインとなってきました。
カローラスポーツは遠目では奇抜なところはないですが、よく見ると他社品には似ないデザインとなっており、ボンネットからリアへの流れもよく、上手くまとめられているように感じます。トヨタ車は興味なかったけどカローラスポーツは好きかも、という声はTwitterなどでも見られましたので、デザイン的には大当たりだと感じています。
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〇シート比較
スポーツシートとして比較すると、しっかりとした(スポーティーさのある)ホールド感はスイフトスポーツが一番です。伝統的にスイスポはシートが良いのです。
カローラスポーツは上位グレードのG"Z"のシートが素晴らしいです。ただし、カッチリとしたスポーツシートよりもラグジュアリースポーツのような『もっちりとした心地良い座り心地と高いホールド性』というシートになります。
シビックハッチバックは、(クラストップクラスの)スイフトスポーツのスポーティーなシートには負けますが、しっかりと固めのホールド感は悪くないです。(と同時に快適性はカローラスポーツの上位モデルのシートに負けます。) タイプRにスパルタンな素晴らしいシートが用意されている事を考えると、ハッチバックに用意されたこのシートは着地点としては上出来と言えるのではないでしょうか?
〇試乗の感想
それぞれの違いを明確に(そしてできるだけ短く記述)するために、より極端に書いています。また、それぞれに目指す姿や置かれた前提が異なるため、単純な優劣をつけることはできないと思います。その点をどうかご了解の上、話半分に読んでください。
☆街乗りでの快適性
構造上の問題として、直進安定性や路面の凹凸を揺れとして運転者に伝えないようにするには、簡単に言うとトレッドとホイールベースが大きいほうが有利です。その点ではスイフトスポーツは不利になります。
カローラスポーツは柔らかにマイルドです。特に、下位グレードの16インチのタイヤを着けたモデルはもっちりとして乗り心地が良いです。上位グレードの18インチのタイヤになると、少しコツコツと硬めの振動が伝わります。基本的に柔らかくマイルドですが、フワフワしたところは無く、足回りは良く動き、きっちりと受け止めているのを感じ取れました。
スイフトスポーツは高い運動性とコンパクトなサイズを両立しつつ、かなり高いレベルで快適な足回りに仕上がっています。旧型に比べてワイドトレット化したのが効いているのも感じます。足回りはしっかりと良く動き、ストロークは十分で、しかもバイパス路を走っても安定していました。これはちょっと驚異的です。
シビックハッチバックはこの3車種の中で、もっとも硬めの乗り心地で、18インチのタイヤによる影響か、コツコツと硬めの振動を強めに感じます。とはいえ、ストロークは十分に確保されているように感じましたし、よりスポーティーな車に乗りなれている人には乗り心地良く運転できるレベルにまとまっています。
乗り心地と運動性能の両立という観点だけで独断と偏見で選ぶなら、街乗りレベルでの足回りの完成度はスイフトスポーツが一歩リードしているように感じます。やや柔らかめが好みでしたらカローラスポーツが優位です。
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☆運転を楽しむ
想定しているであろう速度域はカローラスポーツがもっとも低いと予想されます。
カローラスポーツはちょっとした峠道で、車両姿勢を大きめに変化させて走り、その変化を楽しみながら運転するタイプに思えます。これは悪い事ではなく、ロールをばたつかせないように気をつけながら走るのは楽しく、また良い練習になります。もちろん、街中で走る分には不足は無いですし、フワフワで不安定、ということもなさそうです。
また、低回転域でのトルクが控えめで、スポーティーと言うには物足りないものですが、峠道で(レスポンスのよさが期待できるように)回転数を高く保ちながら走る楽しみはありそうです。(その代わり、普段より2~3速ほど落として走る必要はありそうです。)
想定しているであろう速度域が最も高いと予想されるのはシビックハッチバックです。スイフトスポーツもかなり高い速度域まで余裕でこなせそうですが、あえて切り分けるならスイフトスポーツはクイックで切れがある方向性に対し、シビックハッチバックはもう少し高い速度域でも安定性があって余裕のあるエンジントルクでしっかりと走れそうです。(足回りの印象からの予想ですが…)
どちらが楽しいかは『走りを楽しむステージ』によって変わりそうです。日本国内であれば、両方とも道幅のある快速路を楽しく運転できそうですが、細い道幅でタイトなコーナーが続く峠道ではスイフトスポーツのほうが楽しめるかもしれません。
車両に対するトルクの太さはスイフトスポーツのほうがあり(というか超軽量なボディーに1.4Lターボは反則クラス)、どこからでも加速する力強さは、大きく減速が必要なタイトでアップダウンのある峠道では有利に働くでしょう。シビックハッチバックも、さすがにスイフトスポーツほどの加速感は無いですが十分なトルクがあり、一速落とせば欲しいトルクが得られる楽しい車になるはずです。
高速巡航では、それぞれキャラの違いはあれど、Cセグ以下のクラスでは高いレベルが期待できそうです。この3車種の中ではシビックハッチバックがもっとも得意そうです。カローラスポーツはこの中ではパワー不足気味で、スイフトスポーツはBセグトップクラスの安定性は保証しますが、シビックハッチバックのワンサイズ大きいトレッドとホイールベースは非常に有利だと考えます。シビックハッチバックはトルクも十分で、100km/h巡航時も低めの回転数で巡航できます。
☆もう少しマニアックに
カローラスポーツ1.2Lターボは、あとの2車種に対して圧倒的に非力です。シビックハッチバックは導入元の英国では1.0Lターボが用意されているため、本来ならばこちらと比較すべき内容です。また、カローラスポーツのハイブリッドも、かなりゆったりとしたトルクの出方で、キビキビ走るというよりもゆったりとした長距離運転に適したタイプだと感じました。
シビックハッチバックとスイフトスポーツは、1.5Lターボと1.4Lターボで、最大トルクも近くなります。スイフトスポーツがワンサイズ小さくて非常に軽量なことを考えると、スイフトスポーツが非常にトルクフルなのは間違いありません。
シビックハッチバック(MT)とスイフトスポーツ(MT)をスペック情報だけから比較するのは難しいので、少し換算をして検討してみました。(減速比・タイヤ径・最大トルク・車重の比率から計算) 具体的には、最大トルクを出力する際の路面に伝えることができる駆動力を計算して、a=F/mで最大加速力を計算してみました。そうしますと、どのギアで比較してもスイフトスポーツの方が加速力が大きいという結果になります。ただ、回転数とトルクの関係が異なるのであまり参考にならないでしょう。
もう少し見ますと、スイフトスポーツの方が比較すると1速がロングで、そこからクロス寄りに上がってゆきます。シビックハッチバックは1速が(スイスポと比較すると)ショートで、ややワイドに上がってゆき、6速ではスイフトスポーツよりもロングな設定になっています。
このような設定により、100km/h巡航時にはシビックハッチバックは2320rpm弱、スイフトスポーツは2750rpm弱となります。現在私が所有するZC32Sスイフトスポーツも似たような回転数なのですが、100km/h巡航でやや回転数が高い印象で、ちょっと騒々しく感じることもあります。なので、やや低めの回転数でゆったりと巡航するのであればシビックハッチバック(MT)は魅力的に思われます。
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〇実用性も少し検討する
運転者と同行者1名、旅行鞄を2つ載せて、ロングドライブツーリングを楽しむのが前提ならば、スイフトスポーツで十分です。
運転者含めて3名以上を前提とするのであれば、カローラスポーツかシビックハッチバックが欲しいでしょう。スノーボード2名分(1名ならギリギリOK)や、ちょっとした家具を買って運ぶような場面ではスイフトスポーツは厳しいですから、車のサイズアップを考えたほうが良いでしょう。
運ぶ事ができるキャパシティは大きいに越した事はありません。ただ、小さいなら小さいなりに楽しめます。小さい車もなにかと便利ですし、私個人は困ったと思った経験は数える程度で、何とかなるといえます。
逆の視点から見れば、キャパが大きければ、そのサイズに見合った大きさのやりたい事も増える、とも言えるので、現在乗っているのがコンパクトカーならば思い切ってサイズアップするのもアリでしょう。大きめの車に乗っている人は(すでに大きいサイズを前提とした生活になっている可能性があるので)安易にサイズダウンすべきではないかもしれませんね。
〇最後に
他の選択肢を除外して、この3車種で考えるのであれば、運転する楽しさを優先するならばスイフトスポーツ、もう少し高速巡航やサイズアップによるゆとりを優先するならシビックハッチバックかな?と感じました。
カローラスポーツは必要十分なトルクがあり、大変良くできた車だと感じますが、私の求める『市街地走行での余裕のあるトルク』よりも下回っており、もう一声欲しい、という感想です。
この記事を書くにあたり、競合しそうなインプレッサとアクセラについてもネット見積もりをしました。どちらも(私が選びそうな内容であれば)シビックハッチバックよりも安い価格になる可能性がありました。ですので、本格的に購入を検討する際には、念のためゴルフあたりも含めて試乗や見積りを取った方が良さそうです。
一人の趣味人の感想ですが、なにかしらの参考になれば幸いです。具体的に検討する際には、ぜひ一度試乗の上検討してください。そうすると、私が『この点はどっちでも良いや』と無視したネガポイントが気になるとか『あのおっさん、こんな良い点を見逃している!』などあるかと思いますので。
※関連記事
・スイフトスポーツ試乗記事
・カローラスポーツ試乗記事
・シビックハッチバック試乗記事