このイヤホンは、2000円という低価格で高音質をどこまで追求できるか、ということをコンセプトに作られています。
私個人としては、このような試みは喜ばしいと感じますし、一部からは非常に高い評価がなされていましたので購入してみました。かなり刺激的なチューニングになっているように感じます。
詳しく見てゆきます。
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〇無理矢理一言雑感
明瞭な中高音域とキレのある低音域は非常に良い。
しかし、それを活かすには適切なフィッティングやイヤピ選択、それなりの機材が必要であり、価格から受ける印象と異なる『玄人志向』
〇ALPEX HSE-A2000とは
ALPEXはCDショップなどで販売されているイヤホンを手掛けたりしているメーカで、主に低価格帯のラインナップを揃えます。そんなアルペックスとイヤホン界隈では知らない人はいないeイヤホンがコラボし、低価格で高音質を目指したモデルとしてHSE-A2000をリリースしました。
ドライバはグラフェンを採用し、この価格でハイレゾ対応、というのがひとつの売りになっています。
パッケージは価格なりで、限界まで商品にコストを掛けている感じです。イヤーピースは筐体に付けられているM(?)とS/XSの3種類。色は、今回購入したシャンパンゴールドの他に、グリーン、シルバー、ガンメタ、エメラルドブルー、レッド、ヴァイオレット、カーキと多彩。シャンパンゴールドにしたのは他にあまりないカラーだから。
筐体はアルミ製で作りは悪くなく、ノズル部分が太めの作りになっています。ケーブルとの接続部分やケーブル、プラグ部分は安っぽさがありますが、元々安いので価格なりといったところ。
〇ALPEX HSE-A2000レビュー
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■レビューの前に
先にも少し書きましたが、私の評価としましては、このイヤホンは『玄人向け』です。特徴を活かせるように上手く使ってやらないと評価がかなり変わってしまいます。
☆装着性
以下に述べる印象は筐体をかなり奥側まで押し込んだ時の音になります。装着が浅いと低音が伝わってこず、高音過多な印象になりやすいです。その点で結構シビアな装着を要求されます。また、イヤーピースがやや小さめの物しか付属しない(のは、奥まで挿入しろという意思表示かもしれませんが)ので、耳が大きめの人は別途用意する必要があります。(fainal EタイプでLを常用する人でギリギリぐらい)
☆慣らし
慣らし時間は相当必要で、慣らしが短い状態でだと高音域、特にサ行やシンバルの刺さりやキツさが顕著です。なので、この状態では聴き疲れしやすくバランスも悪くて価格なりか、それ以下という判定になります。可能であれば丸4日(100時間)かそれ以上を推奨します。
☆機材
自分はiPad Proにて運用したりしますが、その場合は高音域の刺さりが気になりやすいです。低音はそこそこ出ますが…。これは機材側の駆動力の問題や音源の問題などが生じているように感じます。Opus#1Sなどでは、そのような問題を感じにくいです。そこそこ良い機材でも相性問題が出そうなので注意が必要です。
■全体の印象
中音域低めに窪みがあるドンシャリ。窪み自体は大きくはなく、緩やかにハイに向かって上がってゆく感じ。そこそこ高めの男性ボーカルおよび女性ボーカルは良く出ており明瞭で鮮明。低音域はベースラインが明瞭で、やや遠目に置かれた大きなウーファーでキレ良く鳴るような独特の鳴り方をして良い。音の傾向は、すっきりシャキッとした鮮明なタイプで、暖かみや豊かさは控えめ。音域全体でその印象が統一されている。シンバルを中心にやや刺さるところがありキツイと感じることもある。ボーカルが明瞭で分離良く、キレ良く鳴るギターにも埋もれないバランス。
■各音域の印象
低音の絶対量は多くないが、ベースラインが明瞭で、広い空間でキレ良く鳴るような独特の鳴りがあり、この点を評価すると高評価になる。バスドラのアタックの音量はそれなり。バスドラを叩いた時の音圧の感じは良く出ている。低音域に限らないが音の広がりが良く、広い場所で大きなスピーカーで鳴らしたような広がりのある聴こえ方をする。
シンバルは細く鋭く明瞭で金属的な鳴り。細かな表現もよく出る。厳しく判定するとシンバルは近くで鳴っているような感じを受けるし、刺さりや歪っぽところも少しある。(が、価格から考えれば妥当なレベル) スネアのアタックも明瞭で明るい音が得意。
ギターは明瞭で明るく軽やかな印象。かなりキレがある。ディストーションのエッジ感がよく出て、リバーブのような空間系エフェクトのかかりもよく、エレキギターの表現は全般的にうまいと言って良いだろう。暖かさや太さを求めると少し物足りなさもある。
ボーカルは明瞭で鮮明、暖かみや柔らかさ、豊かさは少ない。ボーカルとの距離は適正な距離感があり定位がしっかりとした印象。他の楽器との分離が良く、埋もれたり、他を邪魔をしないようなバランス。サ行やタ行の刺さりはある、と評価する。このあたりは機材や音源の差が大きい。厳しく言うと、ピークが女性ボーカルの高めの音程ぐらいにピークがあるようで、音程によって強弱が変わるようなところが少しある。
ギターにしろボーカルにせよシンバルにしろ、高めの音域にピークがあるようで、音程によって強めに聴こえたり近めに聴こえたりする事がある。そのように聴こえる時には定位が少し崩れ気味。
バイオリンは、弦をこするザリッとした成分を出し、楽器由来の響きも良くでて、豊かさが控えめなのを除けば悪くない。空間的な広がりがなかなか良いので、ホール録音の軽快なバイオリン演奏にマッチするところがある。緊張感のある曲調だと神経質になりすぎる感じもある。フラメンコギターなども結構合う。
金管楽器は明るい感じが良く出るし、やや細めの音ながら各楽器の鳴らし分けも悪くない。アコースティックな楽器に限らず、明るく軽やかな音との相性が良い。逆にダークなとか豊かさとか太さはやや苦手。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル≧ギター≧シンバル≧ピアノ>ベース&バスドラ
■その他聴こえ方
高音域が歪みっぽい音源ではキツさが出やすい。分離も良く、この価格では十分すぎる仕事をしてくれる。打ち込み系との相性も悪くない。ベースライン・バスドラの明瞭さとキレの良さ、中高音域の明瞭さが合う。音量は取りやすい。ただし、アンビエントのような深く響き渡るような低音域とはマッチングが悪い時がある。
残響感の表現は良く、空間的な広がりもある。
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■お勧めできる人
装着の追い込みができて、再生機材がそこそこ良くて、慣らしも根気強くできる人。で、その上で、中高音の鮮やかさやキレと、低音域の締まりのある表現を求める人。ボーカル域の鮮明さを求める人。明るく鋭いギターの表現が欲しい人。
■お勧めできない人
(個人的考えに基づくと、という前置きを置くが)初めて良い音のイヤホンを買ってみようと考えている人。低音域の量を求める人。暖かさや豊かさが欲しい人。各楽器やボーカルの近さが欲しい人。
■雑感
何度も書くが、このイヤホンの使いこなすにはそれなりに慣れが必要だ。
装着の具合によって音の変化が大きく、かなり耳穴の奥側でフィットさせてやらなければ、このイヤホンの良さの一つである低音の質の高さが楽しめない。奥側でフィットさせるにはそれなりにコツと慣れが必要だ。
また、十分慣らしが終わっていないと、シンバル、サ行、タ行の刺さりや歪っぽさが顕著で、低音も出きっていない感じである。機材、音源によって高音域の歪みっぽさが出やすかったりするので、そのあたりのマッチングの様子を見ながら運用してやる必要もある。
最後に、耳穴のサイズがいまいち分かっていないであろう初心者に対して、やや小さめのイヤーピースしか用意されていない(もし合わなければ別途買う必要がある)。
以上から、簡単に『初心者向けでお勧め』とは言いにくいのではないか?と感じる。
しかし、それらをクリアできるそれなりに慣れた人からすれば、非常に安価になかなか楽しめる音質が得られる。低音域の独特の鳴り方はなかなか得難い物があり、それが活きるように全体のバランスが取られているので好印象に感じる。また、ここまで明るく鮮明でキレのあるギターサウンドもなかなか少ない。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手 ☆☆☆★★
お勧め度
一般 ☆☆★★★
趣味人 ☆☆☆☆☆
コメント
お買い得度は約2500円で購入として判定。音量の取りやすさ、特に聴こえにくい音域の無いバランスなど基礎点は高め。ただ、価格なりの作りと、イヤーピースのサイズが小さめしか揃っていない点(耳穴が小さめの人なら良いが…)などで、高得点は付けにくいと考えて、お買い得度と使い勝手を共に☆3。
一般へのお勧め度は、☆2つ。ほとんど初めてイヤホンを買う人が、パッと箱から出して、きちんとフィッティングできて、それなりの機材と音源でこのイヤホンを使えるだろうか?という疑問がぬぐえないし、上手く使えないと、高音域がかなりキツイイヤホンになってしまうので、とりあえず買ってみてはどうか?とは言い難い。イーイヤホン実店舗もしくは送料なしで購入できるならお買い得感が高まるが、『送料プラスの価格で』と考えると、他にも選択肢が出てきてしまうように感じる。
趣味人へは、そのようなリスクを負った上で、きちんと使いこなせれば、他に得難い低音域の鳴り方と、中高音域のキレの良さが両立されており、一聴の価値がある。非常に安価であるため、一度試してみることをお勧めする。☆5つとしたが、最高の音質、という意味ではなく、試す価値有り、という意味なので誤解なきよう。
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