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2024/02/06

実検するおじさん

Umbrella Companyオリジナルのディストーション「#24」のレビュー

コアでギークなエフェクターの輸入を手掛けるアンブレラカンパニーオリジナルモデルであるディストーション「#24」を購入しました。
アンプっぽい挙動をしてくれるハイゲインディストーションで、モダン過ぎず、ヴィンテージにより過ぎていない、ちょうどよいサウンドキャラクターです。

特徴は、ローゲイン設定でも軽やかなオーバードライブサウンドが楽しめ、ボリュームの追従性も良いことです。




○操作系の説明


 ボリューム、ゲインに加えて、トーンとXというノブがあります。また、左下にデンシティー、右下にゲインの切り替えスイッチがあります。謎の操作系があるので音作りする際に操作する順に説明しましょう。

 最初にゲインの切り替えスイッチ。アンプのチャンネル切り替えをイメージしていて、真ん中でノーマル、右でクランチ、左でハイゲインです。チャンネルを選んでゲインとボリュームを調整して、トーンで音抜けを変えてゆきます。

 次がデンシティーでしょうか。イメージとしてはアンプのイコライジング設定をプリセットしてあるものを切り替える感じで、左で中低音が持ち上がり、右で中高音が持ち上がります。真ん中でその中間。これと共にXを変化させます。Xはかなり低い周波数帯で、アンプの箱鳴り感を再現するもののようです。

 

○やれることが多いディストーション


 このディストーションはやれることが多いです。といっても、フェンダー系とマーシャル系、VOX系なんかを切り替えるようなものではなく、あくまで「改造マーシャル系でできることをつめこんでいる」といったところでしょうか。

 ノーマルチャンネルは、カリっと軽やかな軽い歪みでそこそこ歪みます。このノーマルチャンネルでのローゲイン設定は結構好きです。クランチモードでもかなりハイゲインです。個人的にはこちらで十分なほど。クランチモードでローゲイン設定というのもなかなか良いです。



○サウンドのレビュー


 開発時はJC-120+レスポールで音作りをしたそうです。JC-120の鋭い高音に合わせてか、エッジは立っていないサウンド。(と当初思っていたのですが、検証の結果、ヴォリュームが大きく影響を及ぼすことが分かったので、以下を書き換えました。24年2月17日)

 エッジが立っていないのはボリュームを下げたとき。ボリューム9時だとモコモコします。12時以上だとエッジ感とかプレーン弦の鋭さが持ち上がってきます。ハイとプレゼンスが上がる感じ。MAXだとかなり芯があり、周りに歪み感が乗っかります。これはハイゲイン設定にしても維持されます。ただし、爆音になるので音量を下げるための何某かを挟んでやる必要があります。

 全体的な印象としては、ビンテージ系ではないがモダン過ぎずといった印象。トーンは全体的な印象を変えずに、エフェクター側のゲインやモードの切り替え時に変わる特性に合わせてや、ギターとアンプに合わせて調整する用途で、思いっきりキャラが変わる感じではないです。自分は12時以上しか使わないかな?と思いました。

 #24のキャラであるハイゲインな設定にすると、80年代以降のハードロックからメタルに合う感じで、中音域が残って良い意味で古臭い感じ。厚みもあります。アンプ側を極端に設定すれば強烈なドンシャリも出ることは出ますが、それをやるなら分離感がもっと良く、イコライザーが強力なモダンなエフェクターに任せた方がよさそう。とはいえ、かなりハイゲインに設定しても音が潰れ切らず、音の芯が残っていて使えるサウンドで、音の分離感は良好と言えるでしょう。


 個人的に気に入った点は、ノーマルかクランチチャンネルにして歪ませつつ、ボリュームを絞ったときに鋭さのあるローゲインディストーションになること。これが良い。アンプっぽさがあります。ハイゲインモードではクリーンまで落ち切らない感じですが、これはこれで良い。

 ちなみに、ノーマル、クランチ、ハイゲインでイコライザー設定が変わるような印象を受けます。実際はゲインアップで増幅するところで特性が変わってしまうのかもしれませんが。ゲインが上がるにつれて、中低音域が強くなって厚みが出ます。そういう意味でもクランチチャンネルの抜けの良さが好みです。

 デンシティーはノーマルか中高音タイプにするのが好みでした。これは、自宅用途で小音量かつJC-22の特徴に合わせたものです。大音量でマーシャルとかJC-120を使うなら、中低音を持ち上げるモードにした方が厚みが出て良いかも。

 Xは、自分の用途ではわずかに雰囲気を変えるイメージ。小出力+小径スピーカー+小音量のアンプでは大きいアンプを鳴らした雰囲気を若干醸し出す印象ですが、これの真価は大きなアンプでならしてこそでしょう。

 アンプっぽいと言いましたが、アンプライクか?と問われるとそれなりといったところ。ボリュームへの追従性の良さはアンプライク。歪み方は整っていて、古い真空管アンプのような荒々しさや暴れ感のある雰囲気ではありません。歪みの立体感とかもそれなり。これは厳しめに書いています。最近、歪みの質が良いアンプっぽいペダルを多く使っているので、そのせいです。平均値から比較するとアンプライクと言ってよいと思います。


○そのほかの機能


 ゲインを稼ぐ回路が特殊で、ゲインチャンネルを切り替える際に増幅段が多段になったり1段になったりと切り替わるそうです。さらに、クランチやハイゲインモードで入力が無い場合は増幅段が作動せず、入力があると増幅を始めるそうです。

 そのため、ハイゲイン設定でも入力が無い場合はノイズが非常に少ない。一方、そのオンオフの切り替わりによって、「ジャーン」とロングトーンで消え入る間際に「フッ」と音が消えるような感じになります。そこだけは使う際に要注意です。ハイゲイン設定でそういう使い方をすることもないかな?と思いますけれど。

 裏蓋を開けると、この増幅のオンオフの閾値を決めるトリマーが付いています。常にオンになるようにしておけばこのような問題は回避できますが、ノイズが多くなるのでお勧めしません。また、Xの効きを変更するトリマーもついています。


○気になった点


 先述の多段増幅の切り替わりのせいか、クランチ/ハイゲイン状態で前段にブースターを置くこととの相性が良くないように感じました。発振することがある。また、ノイズが入力されてしまって常に増幅オンになってノイジーになりがちです。

 また、#24の消費電力が大きく、150mA必要です。これは、内部にコーセルの電源モジュールを積んで24Vに昇圧しているからだそうです。

 使い方の注意点としてはブースターを置くことを避けることと電源問題ぐらいです。ここで、機能として追加を希望することも書いておきましょう。先に書いたように、チャンネル切り替えが付いていて、どのチャンネルも良さがあります。ゲインの使える幅も広いので、例えば、ゲイン9時ぐらいでノーマルとクランチを切り替えても両方使えるサウンドになります。なので、可能であればボタンを追加するか、フットスイッチ増設の入力を用意して欲しいところ。そうすると前段にブースターも必要なくなって、使える範囲がぐっと広がりそうです。Ver.2とかグレードアップ版でなんとかなりませんかね? あーでも、そうするならフットスイッチが3つ必要か。それも難しいな。