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2019/04/24

実検するおじさん

HIFIMAN RE800 Silverは低音の締まりとキレ ボーカルの明瞭さが両立されて非常に良い[レビュー]

HIFIMAN RE800シリーズとして登場していたRE800 Silverを購入しました。
RE800 Silverはアルミ製筐体・ケーブル交換不可という仕様として、RE800Jより価格を抑えたモデルとなります。


※追記
 RE800Jのレビューもあります[レンタル品]


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レビューに関する決め事はこちら


〇無理矢理一言雑感


厚めの低音域と鮮やかな中高音域で、聴いていて楽しいバランス
低音域のキレ、ボーカルの表現力、中高音域の分離なども高評価


〇HIFIMAN RE800 Silverとは


 RE800JはRE800のリケーブル対応版で、RE800 SilverはRE800の素材変更版(価格は少し安い)という関係になります。RE800および上位機種のRE2000で搭載されたHIFIMANオリジナルのトポロジードライバーが採用されています。解説冊子が付属していますので、そちらを読むとよりこの商品への理解が深まります。(英語ですけど)

 担当さんに話をしましたら、内容を紹介しても良いとのことで少し要約して。

 端的に言うと、トポロジードライバーとは、ナノレベルの薄膜技術をダイヤフラムに応用したドライバーだとのことです。ナノレベルのコーティングを振動版に幾何学模様に配置することで、音を発生する際のディストーションを減らし、入力に対して正確に応答するドライバを実現したとのことです。

作りは悪くありませんが、定価6万円ということを考えると物足りない感じ。少なくとも見栄えがするタイプではありません。自分も定価で買ったわけじゃないことと、RE800Jが豪華な雰囲気があったので余計にそう見えるのかも。
イヤピ欲張りセットが付属するのは良心的で、何とかここからフィットするものを探して良い音で楽しんでくれ!という心意気を感じます。


 装着感は良いです。ケーブル、というより構造上、タッチノイズが伝わりやすい。イヤーフックが付属しているのでそちらを利用すれば問題ないですね。ケーブルはちょっとクセが付きやすいかな、という感じ。

 今回購入した理由は、2019年4月に大幅な割引があって販売されていることと、RE800Jをレビューした際に良い印象であったこと、RE800JとSilverでは違いは有れど大違いではないという感想を他の人から得たこと、いろいろお借りしているのでHIFIMAN製品をひとつぐらいは買おうと思ったこと、などになります。



〇HIFIMAN RE800 Silverレビュー

2019年4月現在、HIFIMAN公式主導で大幅な割引で販売中です。



■全体の印象

 きついピークのないドンシャリ。ボーカルも明瞭で表現も上手い。なので、フラットなバランスから、中低音域を大きめに持ち上げて中高音域に向かってなだらかに持ち上がっている感じ。シンバル等の高音域は超高音に向かってなだらかに減衰している感じ。急峻なピークは無さそう。
 高音のキツさや刺さりがほとんど無く優秀。機材や音源の荒さは出るので、刺さりを感じたら機材と音源を一度チェックしても良いかも。
 バスドラやベースラインが大きめに鳴って締まりもあってノリが良い。量自体は少ないがかなり低い所まで再生する能力がある。低音が強い音源でも中音域との分離が保たれて見事。


■各音域の印象

 ベースラインやバスドラが大きめに聴こえて、締まりやキレもなかなか良く、楽曲全体にノリが良い。中低音が厚く、重低音は量的には少し控えめ(弱くはない)が、かなり低い所まで再生する能力はあり、重低音の厚い音源やイコライザー調整でも難なく再生できるポテンシャルがある。その状態でも中高音域以上に影響を与えず分離が保たれる点も良い。
 スネアやタムは明瞭。特にシンバルは、ドラムの上手いプレーヤーによる良い録音の音源を聴くと、細かなニュアンスの違いやアタックまで表現し非常に良い。(実機での比較が必要だが、RE800Jの方が上手かったような記憶はある…。) シンバルは音量が特段大きい訳ではないが明瞭でバランスが良い。


 ボーカルは明瞭で、生っぽさや艶っぽさがあって表現も上手い。ブレスノイズやリップノイズは適量出る感じ。柔らかさと鋭さは中庸かほんの少し柔らかい方向。その他のパートも明瞭だが、ボーカルが埋もれたりすることがない。サ行やパ行の刺さりも気にならない。

 バイオリンは明瞭。弦をこするザリッとした成分はそれなりに出る。鮮やかとか鋭い方向性。楽器由来の響きはそれなり。チェロだと、もう少し太さや豊かさが欲しいと感じる。
 ピアノは鮮やかで軽快でアタックも明瞭に出る印象。厚みとか響きとかも良く出るし、弦鳴りの感じが出やすくて弦楽器感が強めに感じやすい。なかなか相性が良い。

 エレキギターは、ディストーションのエッジ感が出て非常に良い。厚みのあるサウンドからキレのあるサウンドも両方得意だが、どちらかというと厚みのある感じの方が得意に感じる。(リアハムぐらいの感じ 伝われ)

 吹奏楽器の鳴らし分けも上手い。鮮やかで金属的な鳴りも出る。厚みとか楽器特有の響きとかはやや少ない。

大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、

ボーカル>ギター&ピアノ≒シンバル>ベース>バスドラ

パートごとの音の大きさのバランスを変える程の大小は無いので、音源のマスタリングによって大きく変わりそう。

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■その他聴こえ方

 気になるのはRE800Jとの比較だろうが、私が自分のRE800Jのレビューを読みながらSilverと比較した感じでは、レビューの言葉の幅とか選びのブレとかで吸収されてしまいそうな差だと感じる。(実機での比較が必要) ただ、若干中低音域がSilverの方が弱めですっきりとした印象。RE800Jならケーブルとイヤピの選択で差が埋まってしまいそうな感じ。定位は悪くないがRE800Jの方が良かった印象。

 RE800 Silverは(単品で検討すると)全体的に、自分と適正な距離を持って配置されたような聴こえ方をして、その奥側には広くて空間的な広がりを感じる。残響や反響、リバーブの表現も上手い。


 音量は取りやすく、iPod Pro(イヤホンジャック付)でも必要十分(個人的には十分に合格点)な鳴りが得られる。また、音量を小さくしても空間的広がりやボーカルの明瞭さが失われにくく、ポテンシャルの高さを感じる。音源の粗は出るが極端には目立たない。シンバルやサ行などの歪みが大きかったり、極端に出力が弱い環境では刺さりが出たりする。
 逆に大音量でも歪みが出にくく、実質的な耐入力が大きいと感じる。また、バランスの破たんもなくてドライバの出来の良さを感じる。(体感で、大型のヘッドホンで爆音で鳴らすぐらいの音量でも破たんが無かった)

 打ち込み系との相性は良い。低音域の締まりのある表現や中高音の鮮やかさがマッチする。かなり低い音の表現力もあるので、EDMなどもマッチする。ただし、打ち込み音源によるシンバルで、あまり音が良くないと偽物っぽさが強く出がち。(個人的に気にならない)



■お勧めできる人

 ポップス、ロック、打ち込み系全般など良く合う。全体的にノリ良く元気よく表現するので、そういうのが好みならマッチする可能性がある。
 ノリ良く元気なのを許せれば、ジャズも分離良く、クラシックも分離と空間的な広がりを楽しめそう。


■お勧めできない人

 全体的に温かみや豊かさを重視する人。全体的にノリ良く表現するので、ゆったりとした音楽を好むなら合わないかもしれない。重低音の強さを求める人。再生する能力はある(高い)が絶対的な量は多くない。
 また、ボーカルとは適正な距離があるタイプであるので、耳元で囁くような表現を求めると違うだろう。


■雑感

 RE800Jのレビューと比較されそうだが、あの当時からかなり時間が経っており、文章の構成能力や使う言葉も変わってきているので、文章を突き合わせると逆に混乱しそう。(ごめんなさい)
 箱出しではボーカルがやや柔らかい感じだったが、150時間を経過してボーカルの明瞭さが出ている。RE800 Silverで一番気に入っているのは、バスドラなどの締まった表現と厚み、中高音の鮮やかさが両立されていることだ。また、極端に鋭いピークが無くて特性が比較的なだらかに変化してゆく点も良い。
 元は8万円のRE800系から派生し、Silverとして6万円程度で販売されているモデルと考えると、これぐらいのポテンシャルは持っておいてほしいという感じもする。しかし、かなり大胆なセールになっている状況を考えるとバーゲンセールと言って良いだろうし、これで同価格帯の製品に負けるならHIFIMANとしては大問題だと言って良い。その点はさすがHIFIMANといったところで問題ないので安心してほしい。



〇買い物かごの中身の評価


大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。

お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手  ☆☆☆☆★
お勧め度
  趣味人 ☆☆☆★★

コメント

 ひとまず6万円で判定。6万円にしてはケーブル・分岐部分・プラグが素っ気なく、もうちょっと凝ってくれても良いのでは?と感じる。音質も価格なりに価値があるレベルを達成していると感じる。イヤピがたくさん付属する点も加味して☆3つ。RE800Jの豪華さを見た状態だと、正直に言うと☆2を付けたい気分。
 使い勝手は、音量が取りやすく、特に苦手とするジャンルもなくて、イヤピがたくさん付属する点を評価した。RE800Jよりも軽量という点も使い勝手が良い。リケーブル非対応なのはチューニングの観点で惜しい感じもする。☆4。
 趣味人には、この価格で十分に価値がある音質が実現できており、検討の価値がある。RE800Jと比較検討しても良いかもしれない。

 さて、2019年4月現在のHIFIMAN公式主導によるセールにて、約2万円になっている訳なので、これをベースに判定すると、お買い得度☆5 使い勝手☆4 おすすめ一般☆5 趣味人☆5だ。2万円という価格を忘れて、中音域以上の表現力や低音の締まった表現、重低音への追従性は唸る物があるので、これが2万円で購入できるのは非常に魅力的に感じる。購入を煽るのは好きではないので、安いから買うというのは全く推奨しないが、RE800Jに良い印象があったのなら買って失敗した気持ちにはならないのではないか?と感じる。(RE800Jと悩むという選択はあるかもしれないが)


※追記
 RE800Jのレビューもあります[レンタル品]




ちなみに、2017年5月に行われました関西ファンミーティングにて、HIFIMAN社長とお話しさせていただいた内容を、対談形式にまとめてありますので、こちらもどうぞ。

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