KZ ZSEです。20ドル以下(ZS5でも30ドル以下)という価格帯を得意とするKZですが、さらに低価格の10ドル以下という価格帯にぶち込んできた新作です。
個人的に中高音の抜けが良くて、かなり気に入りました。
おすすめのイヤホンですので、レビューもどうぞ。
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
低価格なりの荒さはあるものの、中高音、ボーカルの音抜けの良さが良く、音の広がりも良い秀作。
ただし、タッチノイズ大なので要注意。(回避策有り)
〇KZ ZSEとは
KZは20ドル以下(ZS5でも30ドル以下)という価格帯を得意とするメーカですが、ZSEはさらに低価格の10ドル以下という価格帯にぶち込んできた新作です。
ダイナミックドライバ2発という構成で、イヤピ裏に1機、それに並列に1機と横長の筐体となっています。ちなみに、裏面から見えているドライバですが、ここは透明の樹脂で蓋をされていて、写真だと耳側に穴が開いているように見えなくもないですが、密閉されています。さすがに穴が開いているとは思いませんでしたが、『まさかね?』という思いと、他に少ない構造、KZの新作ということで購入してみました。
逆側(背面側)はメッシュになっていて開放となっています。これのおかげで音抜けや広がりが良いのかと思いますが、音漏れは結構あります。
ケーブルはすべりが悪く、服に引っかかるしタッチノイズも大きくて、クセも付きやすいと、お世辞にも取り回しが良いとは言えない感じ。本体は小型で装着感も良いので、非常にもったいないなと感じます。LRチャンネルが入れ替わっても良いなら、シュア掛けする手もあります。
〇KZ ZSEレビュー
紹介する商品はAliexpress WooeasyEarphonesではこちら。
easyさんのAmazon店はこちら。
■全体の印象
ドンシャリ。重低音が少な目で中高音周辺、鋭いギターの印象が強く、中高音をピークにしたかまぼこと評価するか悩むが、ベースが強めに聴こえることが多くドンシャリとした。
中高音の音抜けが非常に良く、鋭さやキレが非常にあって、空間的な広がりもあって全体的に分離が良いため、(超)低価格帯において少ないキャラを持った製品であり存在価値がある。
ボーカル、ギター、ピアノが明瞭で音抜けが良く、ベースもそれなりに強さがあって、ボーカルに聴感上の変なクセも特にないため受け入れられやすいだろう。特に、エレキギターで鋭く、キレのあるサウンドを重視するなら、かなり適性が高いと感じることがあり良い。
■各音域の印象
ベースラインはそれなりに明瞭で、バスドラはそれなりに量は出ているが締まりやキレはそれなりで、やわらかいと評価するか悩む。中低音よりちょっと低いぐらいの音域から凹んでいるようで、ベースラインが明瞭というよりもう少し低い所で響いている感じ。重低音がズンズン響いたり、ベースラインがくっきりはっきりではないが、パッと聴いた印象よりも重低音は出ているように感じる。ファズなどを聴かせたベースは音抜けが良い方に入って明瞭さが出る。
スネア、タムはやや柔らかい。シンバルは派手に鋭く音抜け良く鳴る傾向で量も多く印象が強い。派手に連打するような曲だとキツく感じやすいが、刺さりはそこまでひどくなく優秀。シンバルの細かなアタックも鳴らし、サスティーンも中庸から長め。過度の期待は禁物だが分解能も良く潰れも気にならない。
ボーカルは男性女性問わず明瞭でクリアで音抜けも良い。ただし、男性ボーカルでも低めの音程だと凹んでいる音域に入って、ベースとギターやシンバルに埋もれがちになるし、若干歪みっぽさが出る時がある。(入念な慣らしで若干緩和された。)全体的に分離が良く、特にボーカル周辺の分離が良く、価格を考えると非常に優秀。女性ボーカルは線のハッキリしたキレのある表現。息の音はそれなりに出る。生っぽさも控えめで温かさや豊かさも控えめ。
エレキギターは、ディストーションのエッジ感が出ているし音抜けが良い。どちらかというと、明るくキレのある音の方が得意。好みの話で恐縮だが、ストラトやテレキャスの乾いた感じの音とのマッチングが良いと思い、私の好み。さらに好みで申し訳ないが、Thee Michelle Gun Elephantでアベフトシのアンプがマーシャルに変わってからの、キレのあるギターに非常によく合う。かなり鋭さが出て、キツイと感じる人もいるかもしれないが、空間的な広がりと、マーシャルを大音量でフルドライブした時のキツイぐらいの鋭さが合うと判断した。
アコースティックギターも明るく、キレのある感じになるし、ギターのボディーを叩いた時の響きやクラップも良く出る。ボーカルとの分離が良くフォークソングも良いし、キレの良さを生かしてフラメンコなども良い。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル&ギター≧ピアノ≧シンバル>ベース&バスドラ
■その他聴こえ方
録音の粗は感じにくい。古い音源を聴いた時にありがちなサーノイズなどによる神経質さは特に気にならなかった。
この価格にしては、という前置きは忘れないでほしいが、各パートの分離、定位、空間的な広がりが優秀で、それだけで買ってみる価値がある。そのため、音数が多い楽曲もこなすし、古典的なバンド編成では分離の良さが良い評価につながる可能性がある。
■お勧めできる人
低価格で中高音域の抜けや分離を求める人。この価格にしては空間的な広がりも良く満足できるだろう。普段、ギターのキレに不満を覚えている人は、気軽に買える価格帯であるため試してみてほしい。
空間的な広がりが良いため、ホール録音やライブ音源を好む人も合うかもしれない。
■お勧めできない人
全体的に豊かさや温かさを重視する人。低音の力強さや迫力を重視する人。ベースラインの明瞭さを重視する人。バスドラのキレや締まりを重視する人。中高音のキレがキツイと感じやすい人。
音漏れに対する要求が厳しい人。タッチノイズに対する要求が厳しい人。
■雑感
半分遊びで買ってみたがアタリで驚いている。というか、好みにはまったと言うべきか。低価格帯は中高音の抜けや空間的広がり、分離に弱点があるイヤホンが多いと常々感じている自分にとっては、その点をクリアしているZSEはお勧めしやすいと感じた。
中高音以上がキツい印象を受けやすいという好みの問題は横に置いておいて、ZSEの明確な欠点は、タッチノイズの大きさと音漏れの大きさだ。音漏れは許容できるかどうかだが、タッチノイズはもう少し何とかならなかったのかと感じる。先にも書いたがLR反転でシュア掛けすれば装着感も非常に良くてタッチノイズ対策になって良いのだが。
このイヤホンを個人的に高評価しているのは、比較的少ない手法(並列2DD)を採用し、低価格に抑えて、ありきたりでないバランスをしっかり作っている点を評価するためである。なんというか、設計開発にポリシーを感じ、ポリシーを失わずに低価格で量産にのせるモノづくりに拍手を送りたい。
個人的に高評価だし好きなのだが、中低音に荒っぽさがあり、豊かさや温かさはあまりないので、好みの分かれる音だということは留意してほしい。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆☆★
使い勝手 ☆☆★★★
お勧め度
一般 ☆☆☆★★
趣味人 ☆☆☆☆☆
コメント
お買い得度は1000円弱で購入として判定。好みが分かれるので好みに合えば!という前提を理解いただきたい。他に少ないキャラを持っていて、それが強みになっている点を高評価し☆4。Amazonで1500円購入としても、ぎりぎり☆4かと思う。使い勝手は、タッチノイズの大きさと線が絡みやすい点、音漏れが大きい点を減点して☆2つ。LR反転シュア掛けが許されるなら☆3~4でも良い。
一般向けには、好みが分かれる点と扱いにくさの点を減点し、入手販路が限られる点から☆3つ。有力なAliexpressセラーがAmazonに出品しているので、個人的には入手性が良いと思うが、国内正規流通が無いのでちょっときびしめに。
趣味人には、同じKZでもZS5とか最新のZS6よりも、こっちに注目してみなよ!という思いを込めて☆5つ。個人的見解を言わせてもらうと、KZ ZSTよりも好みで、さらに安価と言うことを考えてこの点数に。正直、甘めの評価だと思うが、突撃し慣れている人はついでに買ってみて損はない1本だ。