〇買ったきっかけ
秋間さんのことをfunk ojisanのYoutubeチャンネルで知り、その知見の深さとご本人のキャラクターから興味を持っていました。(秋間さんについて)また、もともと「アンプに詳しい、アンプを作っている人が作る歪みペダルは良い」という勝手な思い込みがあり、そういう意味でも興味を持っていました。
さらに、最近の自分の好みは「クリーンなアンプに、アンプっぽい挙動をするエフェクターを置いて、それをアンプとして扱う」というもので、Heat Engineはピッタリの製品でした。
〇特徴
クリーンアンプに接続することを前提としたペダルです。秋間さんが著書の中でも語っていますが「歪ませたアンプをプッシュしても歪みが増すだけで音量はアップせず、潰れて音量が小さくなったように感じる場合もある」ということの対策が打たれたペダルになっています。ON-OFFとブーストスイッチがあり、EQとゲインで音を作っておいて、ブーストスイッチで音量と歪み感の両方を持ち上げる機能を持っています。
コントロールはゲインと3バンドEQ、通常状態のボリュームと、ブースト状態のボリュームです。これによって音量差を簡単につけることができます。ブースト時のゲインはメインのゲインに依存していて、そこからプラスアルファといったところです。音量差を大きくつけると歪み具合が変わるかどうかは分かりませんでした。
商品説明を読んで想像すると、昇圧電源+オペアンプでイコライジング、ゲルマニウムトランジスタによる歪みを作るメインの回路があり、ブースト回路がメイン回路の出力をそのまま大きくしている、という感じでしょうか。ブースト段にもう一発ゲルマニウム系の歪が入っているか、ゲルマニウムトランジスタで増幅しつつ歪ませているかもしれません。
〇サウンドのレビュー
基本の歪の質は、ゲイン12時あたりでバリバリジリジリとしたゲルマニウムファズのテイストがあります。トレブルを上げるとバリバリ感が顕著に出ます。ローゲイン設定だとブチブチとした滑らかではない成分も出てきます。(以前はこのブチブチを気にしていたのですが、アンサンブルでは気にならないんだろうなと思い直し始めました。) ゲインを上げていくと鋭さと中高音域の明るさのある抜ける歪みが際立ってきます。このあたりはゲルマニウム系の歪の特徴です。イコライジングで中高音域を目立たせたのとは異なる、ゲルマニウム系らしい繋がりの良い、突き抜けるようなサウンドがあります。
ブーストオンで、これらの特徴そのままに音量と歪み感を増しています。
サウンドの幅が結構広く、ミッドを持ち上げて厚みのあるドライブサンドから、ドンシャリにしてゲインを上げるとモダン系のメタルサウンドの領域に踏み込んできます。これには驚きました。秋間さんの好みなのか、EQを12時設定にするとキレと抜けのあるサウンドになります。このテイストを活かすために、アンプ側も高音域がしっかり出る設定の方が良いです。
そして驚きなのが、ボリュームに対する追従性の良さです。ハイゲイン設定で少しボリュームを下げるだけで一気にクリーン近くまで下がってきます。これにより、音量自体はそれほど下げずに音色を変化させることができます。
ドンシャリサウンドが気持ちよく、ドンシャリ設定+レスポールでとても楽しく遊ぶことができました。一方、ミッドとベースを上げると6弦でブーミーになりがちな印象がありました。低音をすっきりとさせる対策もかねて前段にTS系を置いた場合がすごく良い。クリーンブーストでも軽く歪ませてブーストさせても良し。ハイゲイン設定をブーストすると、かなりモダンで強烈なメタルサウンドになります。厚みがあり、歪みの質が複雑で「これほんとにJC-22から出る音かよ!!」という感動があります。
レスポールとストラトでの愛称について、個人的にレスポールの方がマッチするように思いました。ローゲインでスムースな歪みが得られるタイプではないので、どうしてもしっかり歪んだサウンドにしたくなり、そうなるとレスポールの方が好みでした。秋間さんはハムバッカーしか使わないらしいので、それが反映されているのかも。