フジゲン製の日本製G&Lは作りも良く、正直言って人気も無いので中古価格がこなれています。フジゲン製は流石に作り慣れている感があって、しっかりとしたベースであり、スタイルが好みならば狙い目な一本です。
まずはG&Lについて。G&Lは、ジョージ・フラートンとレオ・フェンダーによって設立されたブランドです。レオ・フェンダーはFender社を立ち上げたレジェンドで、ジョージ・フラートンもFender社の創設メンバーであり、Fenderでやりたかったことを実現するために立ち上げたブランドだと言えるでしょう。
そもそもレオ・フェンダーはベースギターと呼ばれる現在のエレクトリックベースを産み出した人物です。これって意外と知られていませんけど。こちらのTC楽器さんの動画を見ていただけると、レオ・フェンダーの功績が良く分かります。
レオ・フェンダーがFender社を手放した後にキャリアの最後の方にG&Lを立ち上げたのですが、十分に生活できるだけの資産があったはずなのに新しいモデルを産み出そうとし続けたことになります。素晴らしいバイタリティー。
様々な名機を産み出したレオ・フェンダーが、新たなアイディアやミュージシャンの要望を取り入れて作られたのがL-2000です。L-2000は同じくレオ・フェンダー設計のMusicman StingRayと共通する設計思想を持ちながら、新しい取り組みが見られます。
StingRayと共通点のあるハイパワーなハムバッカーを二発装備し、初期のStingRayに近い2バンドイコライザーとアクティブ回路が搭載されています。プレべ系のボディーデザインにロングスケールでナット幅がプレベに近い約43mm(手持ちの日本製モデルで実測)という構成になっています。ちなみに、日本製モデルは本家USAと同じハードウェアを使用しているという売り文句のようです。
特徴が「できることが多い」「ちょっと複雑な」コントロール部分です。
上から、POTはボリューム、ハイカット、ローカットで、スイッチが3つも有ります。スイッチについて説明しましょう。スイッチポジション左側から順に書くと…
上:フロント・ミックス・リア
中:シリーズ・パラレル
下:トレブルブースト・アクティブ・パッシブ
なお、日本展開されていた個体で古いもの(黒澤楽器扱い)は、中:シリーズ・タップ・パラレルとなっています。黒澤楽器が指定していたらしく海外ではK-Modなどとも呼ばれています。(SCM:Single Coil Modeとも呼ぶ) G&LでもK-Modに対応するコイルタップありのピックアップが発売されています。
リンク:G&L USA公式サイト
電池切れの状態でもパッシブで出力可能です。ローカットとハイカットも効きますが効きが弱く、こちらも積極的に使うならば電池が必要と考えた方が良いでしょう。
ベース経験は非常に浅いので、その点はご了承ください。ネック幅はプレベ近似ですのでオーソドックスな感じ。日本製とUSA製の比較はできていません。購入時に触った他ブランドのジャズべタイプなどと比べても馴染む印象で、特殊なところはないと感じています。
アッシュボディーと堅牢なブリッジで重量感があります。重量バランスは悪くなく、抱えていてもズレ落ちる感じは特にありません。
L-2000やStingRayはバキバキなサウンドというのが有名です。確かに、アクティブやトレブルブーストですとバキバキ感が強いです。ハムバッカー使用のため基本的にパワーがあり、音抜けがすごいです。ムキムキなアメリカンな感じ。StingRay同様にスラップが格好良くて気に入っています。このあたりはハイエンドベース系のキレイなサウンドや、太く柔らかいサウンドとは異なります。
ただ、この個体はローズウッド指板でサウンドは柔らかい方向になりますし、コントロール類や再生環境を整えてやるとスムースで厚みのあるサウンドにも対応できるように感じます。バキバキといってもローが無いのではなくてハイが強いと認識すべきでしょう。他のモデルと比較するとパワフルなのでしょうが、それゆえに扱えないということはないのでは?と思っています。メイプル指板モデルだと相当なバキバキ感になっているのかもしれませんね。また、K-Modのようにタッピングができると更に幅広いサウンドが作れるんだろうなぁと感じるのも事実です。
私は基本的に技術者としてレオ・フェンダーのバイタリティーが好きだという背景があります。そのレオ・フェンダーがキャリアの最後に作ったベースと考えると、彼が新しい時代にマッチするものとして考えつくした結果がL-2000ではないか?と私は感じて興味を持ちました。
また、基本的にレオ・フェンダーは電気屋であり、その観点からL-2000を見ると納得感があります。というのも…
・大音量を出すためにアンプで大きく増幅する必要がある
→センサー部分(PU周辺)のノイズは少なければならない
→ハイパワーなハムバッキングの採用 +アクティブ回路によるノイズに強い構成
・多いものは後で削れるが、無いものは足すことができない
→大出力+これまでのベースよりも高音域も出る仕様
(増幅するとノイズも増幅される)
・トラブルがあっても演奏は続けられるロバスト設計
→パッシブでも鳴らせるコントロール
といったところです。また、これまでの経験から振動を逃したくないと考えたのか、超重量級のブリッジがボディーを彫り込んで埋め込みによって搭載されています。ベースの部品に詳しいわけではありませんが、ここまでの重量級ブリッジは他に見つけられませんでした。
ちなみに、運動量保存の法則から、一体となった物体に力が加わったとき、重い方が動かず、軽い方が大きく動きます。野球のバットが軽いと手に伝わる反動が強く、重いとボールを前に飛ばしやすいことをイメージしてみてください。そのため、指で弦に与えた力が弦を揺らすために存分に使われるわけです。重いアッシュがボディーに使われていることも同じ狙いでしょう。
以上のように、L-2000は技術者目線で納得いくところが多く、その設計思想に共感したため選びました。同じように、設計思想に共感できる人に強くおすすめできます。
サウンド面も、以下の動画を見ればわかるように様々に対応可能だと感じています。
L-2000は基本スペックはそのままに、いくつか変遷があります。分かりやすいのがネックのジョイント部分です。日本製のモデルに限定して、現在のネット情報をまとめると大まかに以下となります。
・1990年頃? TRIBUTE 三点止め
・1995年頃? TRIBUTE L-2000 BASS表記 四点止め
・2000年頃? PREMIUM 六点止め (USA 1999年には六点止め有)
ネックジョイントはUSAの仕様を同じタイミングで日本でも採用していると予想して記載しています。
シリアルと製造年の情報はネットでは見つけられませんでしたが、シリアルからのなんとなくの予想と、各種仕様から1999年の四点止めの最終ぐらいというのが妥当なところではないでしょうか?
G&Lのネックが弱いとされているのは半分正解で半分は間違いです。G&L USAは独特な構造によってハイ起き補正のためのアイロン処理にて問題が起きやすいとされています。
※参考
しかし、日本製あるいはインドネシア製の個体は一般的なネックの裏側からトラスロッドを仕込む構造となっていて、問題が起きた際の修正の心配はそれほどありません。また、日本製はフジゲン製ということもあり、G&Lが特別にネックが弱いということは無いと考えています。もしダメなら日本全国で様々なネックが反りまくってますよ。
USAが絶対にダメというわけではありませんが、参考にするのが良いと思います。
プレイヤーが触る部分であるネックやボディー、弦の弾き心地については、先に書いたようにオーソドックスなスタイルであり弾きやすいです。サウンドはそのままだとじゃじゃ馬なところがあり、積極的なサウンドメイクが求められます。「無いものは足せない」との電気屋的視点から見ると納得感があり、良いと感じています。いろいろと考えるとレオ・フェンダーが技術者としてミュージシャンにやってやれることはすべてつぎ込んだと考えてよいでしょう。
一本目のベースに選ぶにはひねくれているとも思いますが、その設計思想はプレシジョンベースやジャズベースから発展してきたものであり、突飛なものではないと感じています。その点に共感できるのであれば、選ぶ価値がある一本だと感じています。
〇G&Lを立ち上げたレオ・フェンダーの功績について
まずはG&Lについて。G&Lは、ジョージ・フラートンとレオ・フェンダーによって設立されたブランドです。レオ・フェンダーはFender社を立ち上げたレジェンドで、ジョージ・フラートンもFender社の創設メンバーであり、Fenderでやりたかったことを実現するために立ち上げたブランドだと言えるでしょう。
そもそもレオ・フェンダーはベースギターと呼ばれる現在のエレクトリックベースを産み出した人物です。これって意外と知られていませんけど。こちらのTC楽器さんの動画を見ていただけると、レオ・フェンダーの功績が良く分かります。
〇G&L L-2000について
レオ・フェンダーがFender社を手放した後にキャリアの最後の方にG&Lを立ち上げたのですが、十分に生活できるだけの資産があったはずなのに新しいモデルを産み出そうとし続けたことになります。素晴らしいバイタリティー。
様々な名機を産み出したレオ・フェンダーが、新たなアイディアやミュージシャンの要望を取り入れて作られたのがL-2000です。L-2000は同じくレオ・フェンダー設計のMusicman StingRayと共通する設計思想を持ちながら、新しい取り組みが見られます。
StingRayと共通点のあるハイパワーなハムバッカーを二発装備し、初期のStingRayに近い2バンドイコライザーとアクティブ回路が搭載されています。プレべ系のボディーデザインにロングスケールでナット幅がプレベに近い約43mm(手持ちの日本製モデルで実測)という構成になっています。ちなみに、日本製モデルは本家USAと同じハードウェアを使用しているという売り文句のようです。
〇L-2000のコントロール部について
特徴が「できることが多い」「ちょっと複雑な」コントロール部分です。
上から、POTはボリューム、ハイカット、ローカットで、スイッチが3つも有ります。スイッチについて説明しましょう。スイッチポジション左側から順に書くと…
上:フロント・ミックス・リア
中:シリーズ・パラレル
下:トレブルブースト・アクティブ・パッシブ
なお、日本展開されていた個体で古いもの(黒澤楽器扱い)は、中:シリーズ・タップ・パラレルとなっています。黒澤楽器が指定していたらしく海外ではK-Modなどとも呼ばれています。(SCM:Single Coil Modeとも呼ぶ) G&LでもK-Modに対応するコイルタップありのピックアップが発売されています。
リンク:G&L USA公式サイト
電池切れの状態でもパッシブで出力可能です。ローカットとハイカットも効きますが効きが弱く、こちらも積極的に使うならば電池が必要と考えた方が良いでしょう。
〇L-2000の弾き心地とサウンド
ベース経験は非常に浅いので、その点はご了承ください。ネック幅はプレベ近似ですのでオーソドックスな感じ。日本製とUSA製の比較はできていません。購入時に触った他ブランドのジャズべタイプなどと比べても馴染む印象で、特殊なところはないと感じています。
アッシュボディーと堅牢なブリッジで重量感があります。重量バランスは悪くなく、抱えていてもズレ落ちる感じは特にありません。
L-2000やStingRayはバキバキなサウンドというのが有名です。確かに、アクティブやトレブルブーストですとバキバキ感が強いです。ハムバッカー使用のため基本的にパワーがあり、音抜けがすごいです。ムキムキなアメリカンな感じ。StingRay同様にスラップが格好良くて気に入っています。このあたりはハイエンドベース系のキレイなサウンドや、太く柔らかいサウンドとは異なります。
ただ、この個体はローズウッド指板でサウンドは柔らかい方向になりますし、コントロール類や再生環境を整えてやるとスムースで厚みのあるサウンドにも対応できるように感じます。バキバキといってもローが無いのではなくてハイが強いと認識すべきでしょう。他のモデルと比較するとパワフルなのでしょうが、それゆえに扱えないということはないのでは?と思っています。メイプル指板モデルだと相当なバキバキ感になっているのかもしれませんね。また、K-Modのようにタッピングができると更に幅広いサウンドが作れるんだろうなぁと感じるのも事実です。
〇L-2000を選んだ理由とおすすめポイント
私は基本的に技術者としてレオ・フェンダーのバイタリティーが好きだという背景があります。そのレオ・フェンダーがキャリアの最後に作ったベースと考えると、彼が新しい時代にマッチするものとして考えつくした結果がL-2000ではないか?と私は感じて興味を持ちました。
また、基本的にレオ・フェンダーは電気屋であり、その観点からL-2000を見ると納得感があります。というのも…
・大音量を出すためにアンプで大きく増幅する必要がある
→センサー部分(PU周辺)のノイズは少なければならない
→ハイパワーなハムバッキングの採用 +アクティブ回路によるノイズに強い構成
・多いものは後で削れるが、無いものは足すことができない
→大出力+これまでのベースよりも高音域も出る仕様
(増幅するとノイズも増幅される)
・トラブルがあっても演奏は続けられるロバスト設計
→パッシブでも鳴らせるコントロール
といったところです。また、これまでの経験から振動を逃したくないと考えたのか、超重量級のブリッジがボディーを彫り込んで埋め込みによって搭載されています。ベースの部品に詳しいわけではありませんが、ここまでの重量級ブリッジは他に見つけられませんでした。
ちなみに、運動量保存の法則から、一体となった物体に力が加わったとき、重い方が動かず、軽い方が大きく動きます。野球のバットが軽いと手に伝わる反動が強く、重いとボールを前に飛ばしやすいことをイメージしてみてください。そのため、指で弦に与えた力が弦を揺らすために存分に使われるわけです。重いアッシュがボディーに使われていることも同じ狙いでしょう。
以上のように、L-2000は技術者目線で納得いくところが多く、その設計思想に共感したため選びました。同じように、設計思想に共感できる人に強くおすすめできます。
サウンド面も、以下の動画を見ればわかるように様々に対応可能だと感じています。
〇G&L L-2000の製造年と仕様および購入した日本製TRIBUTEの製造年の予想
L-2000は基本スペックはそのままに、いくつか変遷があります。分かりやすいのがネックのジョイント部分です。日本製のモデルに限定して、現在のネット情報をまとめると大まかに以下となります。
・1990年頃? TRIBUTE 三点止め
・1995年頃? TRIBUTE L-2000 BASS表記 四点止め
・2000年頃? PREMIUM 六点止め (USA 1999年には六点止め有)
ネックジョイントはUSAの仕様を同じタイミングで日本でも採用していると予想して記載しています。
シリアルと製造年の情報はネットでは見つけられませんでしたが、シリアルからのなんとなくの予想と、各種仕様から1999年の四点止めの最終ぐらいというのが妥当なところではないでしょうか?
〇G&Lってネックが弱いって言われているけど本当ですか?
G&Lのネックが弱いとされているのは半分正解で半分は間違いです。G&L USAは独特な構造によってハイ起き補正のためのアイロン処理にて問題が起きやすいとされています。
※参考
しかし、日本製あるいはインドネシア製の個体は一般的なネックの裏側からトラスロッドを仕込む構造となっていて、問題が起きた際の修正の心配はそれほどありません。また、日本製はフジゲン製ということもあり、G&Lが特別にネックが弱いということは無いと考えています。もしダメなら日本全国で様々なネックが反りまくってますよ。
USAが絶対にダメというわけではありませんが、参考にするのが良いと思います。
〇おすすめかどうか?を改めて
プレイヤーが触る部分であるネックやボディー、弦の弾き心地については、先に書いたようにオーソドックスなスタイルであり弾きやすいです。サウンドはそのままだとじゃじゃ馬なところがあり、積極的なサウンドメイクが求められます。「無いものは足せない」との電気屋的視点から見ると納得感があり、良いと感じています。いろいろと考えるとレオ・フェンダーが技術者としてミュージシャンにやってやれることはすべてつぎ込んだと考えてよいでしょう。
一本目のベースに選ぶにはひねくれているとも思いますが、その設計思想はプレシジョンベースやジャズベースから発展してきたものであり、突飛なものではないと感じています。その点に共感できるのであれば、選ぶ価値がある一本だと感じています。