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2018/06/13

実検するおじさん

[レビュー]安くて軽くて面白い!AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

新しくレンズを買って撮影をステップアップしよう!と考えた時、自然写真や星空を撮らない人は広角レンズは後回しにしがちです。
AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR
初心者向けお勧めレンズ紹介記事などを見ても、単焦点や望遠レンズ、マクロレンズがお勧めされていることが多く、私は、広角レンズに対して玄人向けっぽいイメージを持っていました。

もし、同じような先入観を持っているならもったいないです。私は、このAF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRを使ってみて、買って良かったと思える面白さを感じました。

広角レンズを使うことで、自分は視野が広がって撮影の幅が広がったのを感じます。このレンズに興味を持たれた方には、記事を読んでいただいて、少しでも『面白そう!』と思っていただけますと幸いです。



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〇このレンズを買ったきっかけ


 私は桜の写真やレビュー用写真を撮るために標準マクロであるAF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G(レビューしています)を使ったり、望遠側に長いズームレンズを良く使っています。一方、超広角をカバーするレンズを持っていませんでした。

 標準マクロや望遠域に踏み入ったレンズであれば、被写体を真ん中に大きく写るように置いて撮ってやれば、それなりに良い感じに写せるわけですが、広角で広く写すという感覚に慣れておらず、また20mmより短い超広角の領域は未体験でした。

 そこで、価格も安く手が出しやすくてNikon純正で小型軽量というAF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRが登場したのを機に、購入の機会をうかがっていました。


〇AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRとは


 換算15mmから30mmと、超広角から広角(ギリギリ標準)ぐらいをカバーしたズームレンズです。明るさ(F値)はそれなりで、キットレンズとほぼ同じぐらいです。広角レンズですしF値も4.5までなのでボケ量は期待できません。

 2017年6月末発売の2018年5月現在では比較的新しいレンズです。定価も税込4.5万を切っており、実売も4万円を切る価格で推移している低価格帯のレンズになります。

 これはNikonDXフォーマット(APS-Cサイズ)用レンズとなっていますので、FXフォーマット(フルサイズ)には適しません。(使えますが、カメラの最高性能は出せません) それなりのスペックで、ズーム域も10-20mm(換算15-30mm)と欲張らず、小型軽量安価で購入しやすいレンズをコンセプトとしているのが良く分かります。

 一点注意としては、このレンズはAF-Pのシリーズとなっており、古いボディーでAF-Sのシリーズしか対応していない場合は使用できず、もう少し新しい物でも一部機能が制限されてしまいます。詳しくはニコン公式へ


実使用で気になるスペックはこちら

最短撮影距離     0.22m
最大撮影倍率     0.17倍
寸法     77.0mm×73.0mm
重量       230g
マウント   プラスチック製

↑の写真を見てもらえれば分かりますが、先端部が大きくなっています。鏡胴は比較的細く軽量なレンズですので取り回しはとても良いです。先端が大きく、フードも大きい(というか広い)のでケースなどに入れて持ち運ぶのは、ちょっとケースを選びます。


〇AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRを使ってみた


 しばらく使ってみました。先に印象を書くと、写りはそこそこだけど超広角の領域で遊べるのはとても楽しく、広角の使い方の基本を学ぶのにちょうど良いと思います。
AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR作例
広角の効果で桜の木が覆いかぶさってきているように見えます。
AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR作例
道路のパース(手前から奥にかけて細くなってゆく)のが強くかかっています。サイドの建物が斜めに生えているように写っています。これも広角の効果です。
大阪のグランフロントにて。

以上は10mm側で撮影した物です。また、Lightroomにて鮮やかくっきりに補正していますのでご了承ください。


〇おすすめポイント


 このレンズは、写りに関しては十分に価格なりの性能を持っていると判断しています。実売4万円を切っていて十分に使える超広角レンズというのは貴重です。買いやすい価格で、軽量で、まだ持ち運びやすいサイズに収めてある点は良いと感じています。

 100mmとか200mmとかの望遠側は、いざとなればトリミングして抜き出してやれば同じような効果が得られます。(その分、画質は落ちますが) なので、超望遠が必要な野鳥撮影などをしない私には、望遠側は後処理の力で対応できる余地があります。
 しかし、広角側は切り落とされてしまっているものは取り戻せないので、広角の写真を撮りたければ広角レンズを使うしかありません。ですので、とりあえず広角の世界を試してみたいと考えている自分にとって、この10-20mmは買いやすく、使い勝手の良いレンズであり、とても気に入っています。


 広角レンズを使ってみて、自分が変わったと感じたのは『頭の中の風景の切り出し方の選択肢が増えた』ことです。例えば桜を撮影しに出かけて、標準~中望遠ぐらいを多用していたこれまでは、一輪の桜や枝に注目していました。しかし、広角レンズを使う様になって、もっと広く見て、全体を超広角で切り出したら面白そう、とか、引いて撮ってみようなどと考えるようになりました。
こういう視点は、これまでの標準~中望遠しか持っていない時は思いつかなかった構図ですね。
無駄に広角で撮ってみたり。
もっと単純に『あ!綺麗!』と思ったら目の前のもの全部残しておくような撮り方もできます。

 また、このレンズは結構寄れます。これがなかなか便利です。
20mm(換算30mm)で出来るだけ寄って、文字盤のロゴにピントが合うようにしました。あと数センチ寄れたかもしれませんが、ピントが合ったり合わなかったりになるので、実用上はこれぐらいが限度だと思います。この時計はMWCのベトナムウォッチで、36mm径の比較的小さな時計ですので、そのあたりを目安にしていただければ結構です。
10mmで中心の花に出来るだけ寄ってピントを合わせようとしています。風が吹いていた日なのでピンボケ+ブレがあります。後でも述べますが、若干色ノリがいまいちで、特に赤色の鮮やかさが控えめです。(特にこの桜は赤みの強い種類なので、それでこれですので)

街角スナップでこれぐらい寄れれば、広角を活かした寄った被写体が盛り上がった感じの表現も期待できますし、換算30mmであれば比較的標準に近い画角で被写体との位置関係を気にせずに撮ることもできます。


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〇ちょっといまいち


■周辺部の解像度はいまいち

 仕方ありませんが写りはそれなり、だと思って良いです。中心部分は悪くないですが、画面の端部分は画像が流れてます。出力されるJPEGはボディ内で補正されていますし、Photoshop Lightroomなら補正がかけられます。
↑Lightroomで補正後↑

この桜の写真は、作例1枚目に出した桜の写真の右下を切り出した物です。画質は褒められたものではありませんね…。この辺りまできれいな写りを期待するならば、かなりの投資が必要だと思いますし、広角の写真の隅っこを凝視するような構図って???と思わなくもないです。


■色の鮮やかさがいまいち

 いざ写真に撮ってみると、案外色が鮮やかでなくてガッカリするということがあります。これには3つ理由があります。

 1つ目が空の青さが足りないというパターンです。空は太陽を背にして撮った方が青さが良く出るという原理があります。しかし、このレンズで10mm状態ですと107度の画角があるため、逆に太陽を避けることが難しくなってしまいます。そうすると、どうしても空の一部が白くなってしまいがちです。


 2つ目は光源が入ってしまってコントラストが下がるパターンです。レンズは光源の光が直接入ると性能が出にくいという特性があります。この場合の光源は色々ですが、一番考えやすいのが直射日光(1つ目のパターンにも関連してくる)で、次がビル窓に反射した太陽でしょうか。


 3つ目はそもそも色乗りが悪いという理由です。40mmマクロが比較的こってりとした色合いのようで、2本で撮り比べた時に色の違いに驚きました。

 このように不利なポイントが多いので、青空が青く、クッキリハッキリを好むのであればLightroomなどで補正してやることをお勧めします。
↑Lightroomカメラスタンダード レンズの色収差の補正だけを有効にした写真です。悪くはありませんが、真っ青くっきり、を期待するとあっさりしています。
 先ほどの桜に寄った写真も赤の彩度が低めに出ている感じがしますので、そのあたりも参考にしてください。


■近接撮影はいまいち

 このレンズの特徴のひとつは、そこそこ寄れることですが、その際の解像度はいまひとつです。物を寄って撮りたければもっと適したレンズがあるのでそちらを選択すべきです。このあたりは住み分けなので、近接撮影がいまいちだからダメというのは、価格から考えても厳しすぎる評価だと思います。

 参考までに、この価格帯では近接撮影最強のAF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8Gで先ほどのMWCの時計を撮影したのが下の写真です。だいたい同じぐらいのサイズになるように離れて撮影しました。
注目すべきは文字盤の文字のクッキリ度合いです。また、色も濃く出ています。(処理は先ほどの時計の写真と同じにしています。)

 あくまで『寄っても撮れるレンズ』とお考えください。何度も言いますが、このレンズの美味しい所は、超広角での遠景撮影を低価格で、しかもなかなかのクオリティーで楽しめる点です。さらにさらに寄れて小型だからお得ですね!というレベルです。


〇最後に


 このレンズを買って良かったです。これは自信をもって言えます。写りが十分に良いことも評価できますが、撮影の幅が広がったとか、カメラを向ける前に自分の頭の中で切り出す引き出しが増えたとか、そういうスキルの向上に役立っており、買って良かったと感じています。

 解像度も価格なり以上に高く、超広角でしか味わえない広大さとか特殊効果を比較的手軽に試せることが非常に良いです。AF-SシリーズであったAF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G EDの半額以下でこれを楽しめるのですから 、AF-Pに対応しているボディーを使っている人には、非常に安価で魅力的だと感じます。


 ご家族の写真を撮ったり、カフェでのテーブルフォトや花の写真を撮るだけなら、なかなか手を出しにくいジャンルのレンズであるのは分かります。しかし、もし広角の覆いかぶさってくるような効果や、スナップショットに興味があるのでしたら、ぜひお試しください。写真撮影の奥深さを味わえて良い経験になると信じております。


 一点注意しておきますと、かなり本格的に星空(天体をクローズアップするのではなくて星座など)や、北海道の雄大な自然を撮影するための広角レンズを検討するのであれば、性能が物足りないと感じるかもしれません。かなり高価になりますが、最初から解像度の面では頭何個分も飛び出ているAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDとフルサイズカメラのほうが、結局は安くつく可能性があります。

 ↑そのかわりめっちゃ高いです。


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