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2018/04/14

実検するおじさん

[レビュー]S500 Universalはクッキリと鮮明なボーカルとキレのある表現でロックやポップスに合う

RHAの低価格帯で既に評判の高かったS500がS500 Universalとしてリニューアルしました。トピックスとしてはリモコンが標準装備となった点です。
S500もしくはS500iが定番となっていて扱うか悩んでいたのですが、リニューアルを機に扱おうと決めました。

理由は、低価格帯の中ではボーカルが鮮明で鋭い表現が良いと感じたからです。

詳しく見てゆきます。


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レビューに関する決め事はこちら


〇無理矢理一言雑感



ボーカルの鮮明さとキレのある表現が良く、小型軽量で使いやすさが良い。
また、イヤーピースの付属が豪華で、作りも良くてお勧めできる。


〇RHA S500 Universalとは


 低価格帯から高価格帯まで幅広くラインナップし、評価も高いイギリスのRHAのイヤホンです。RHAはラインナップが豊富ですが分かりやすいラインナップです。というのも、MAやCLといった先頭のアルファベットで形状や音の傾向がある程度決まっており、そこを分かっていれば選択の際に目安となりやすい、という特徴があります。
 で、このSシリーズは現在はS500 Universalのみの展開で、RHAの他のラインナップとは異なる細い円筒状のハウジングを持ちます。音の傾向は後で述べてゆきますが、イベントで担当者さんと話していると、ロックやポップスのような軽快な音に照準を合わした物ということで、一聴してそのコンセプト通りだなと感じます。
 現在は終売のS500とS500i(リモコン付き)が、S500 Universalとして再登場した形です。S500iは値段が落ち着いた後も6000円を超えていたことを考えると、S500 Universalは5000円程度とかなり戦略的な価格設定です。

アフターパーツとしても人気のあるRHAのイヤーピースが各サイズ2セットずつ付いてくる太っ腹具合です。付属と同じセット内容では販売していませんが、ざっと見積もってこれだけで1500円ぐらいになりますからお買い得度も高まります。


リンク先はSサイズなので購入の場合は要確認です。

 ケーブルは、筐体から分岐点まではすべりがよく復元力も強めのビニール系、分岐点からプラグまでが布巻のケーブルとなります。プラグは細い金属製で質感も良く、純正採用のプラグ、特に低価格帯としては格好が良く、コストがかかった仕様です。

 RHAをお勧めしやすいポイントとしては、低価格帯商品にも3年間の保証が付いてくることです。これはすごい。壊してしまったらもったいないから5000円ぐらいの物を買うのを躊躇う、という人にも魅力的に見えるのではないでしょうか?

 小型軽量でイヤーピースの品質も高いため装着感も良いです。サイズ感と重量はfinal E2000あたりと近似と思って良いです。


〇RHA S500 Universalレビュー



紹介する商品はこちら。価格などもこちらへ。

楽天で買うなら、送料込みになるJoshinが良さそう。


■全体の印象

 パッと聴いた感じはドンシャリだが、特に凹んだ音域も無い印象。イメージとしては、重低音は控えめで中低音域からボーカルよりもう少し高い音域までなだらかに落ちながら出て、シンバルあたりのかなり高い音がぐっと持ち上がっている感じ。全域で鮮明で、やや細い鳴らし方でキレのある印象が、実際の特徴よりもドンシャリっぽい印象を与えているのかもしれない。
 響きや豊かさは少なく、ロックやポップス、打ち込み系の軽快な感じにぴったりはまる。その分、アコースティックな楽曲(生楽器録音のクラシックやジャズ、情感豊かなピアノ弾き語りなど)は、表現にもう少し幅が欲しい感じがして物足りなさもある。金属的な鳴りとの相性が良く、キレとか鋭さがあるが、聴き疲れのようなキツさは押さえられている。音量は取りやすい。



■各音域の印象

 中低音は多めに出て、バスドラのアタックやベースラインが明瞭。低音域の締まりは中庸で、音源の特徴に依る印象。低音域の量は音源による差が大きい印象で、低音控えめであっさり聴かせると思っていたら、しっかりと厚みのある重低音を鳴らす曲もあるので、各人の環境や好みで判断が分かれそう。バスドラのヘッドを叩くバチンという音が強めの楽曲では、その音が強めに出てキレや締まりがあるように感じやすい。高めの音を使うベースラインではより明瞭に感じる。

 スネアやタムはどちらかというと明瞭。パンッというヘッドを叩く音は大きめに聴こえる。シンバルは細く鋭くて金属的な音を鳴らす。細く鋭いがキツくは感じにくい。細かな音まで鳴らすが、細かなニュアンスはあまり出ない印象で、良く言えば上手くコンプが効いている感じ。シンバルのサスティーンは長め。

 ボーカルは鮮明で明瞭。細く鋭い音を鳴らし、豊かさとか暖かみは控えめ。息の音やリップノイズは少な目で、生っぽさも控えめ。ボーカルの鮮明さはこの価格帯の中では高いレベルにある。これは、ボーカルの暖かみが控えめな分、ボーカルの輪郭が際立っているような印象。同様に、ボーカルは近い立ち位置に感じる。サ行やタ行の刺さりは、高音が鋭いながら控えめ。

 エレキギターは、ディストーションのエッジ感が出て良い。どちらかというと鋭くキレのあるサウンドの方が得意。中域が薄いわけではないので、太めのサウンドも悪くないが、ディストーションの鋭さがより目立ってキレが出る感じ。分離も良く、他の楽器の音と混ざって隠れたりしにくい。かなり鋭い音作りのギターだとキツく感じるかもしれない。同様に、ディストーションのエッジ感が押し出される感じで、かなりきつめに歪ませたギターでは主音が目立ちにくくなることもある。

 バイオリンは、弦をこするザリッとした成分は多少鳴らし、楽器由来の響きはそれなりだが、豊かな感じは控えめでやや細い感じ。空間的な広がりが控えめ。ピアノは明るく軽やかだがアタックや控えめ。アコースティックな楽器が中心となるクラシックやジャズでは、表現にもう少し幅が欲しいと感じやすいが、バイオリンにせよピアノにせよ、明瞭に聴こえるため、ポップスなどでストリングスやピアノが印象的に入っている楽曲ではそれらが明瞭に聴こえて、楽曲全体の鮮やかさを表現するのに一役買っている。


大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、

ボーカル≧ギター≧シンバル≧ピアノ>ベース&バスドラ

シンバルは細く鋭いので楽曲によっては音量、というより印象が強い印象。低音域が強い楽曲だと、ベースも強く感じやすい(他のイヤホンより印象の差が大きい)印象。



■その他聴こえ方

 サーノイズは大きめに出る。録音の粗は分かりにくい方。
 打ち込み系との相性は非常に良い。響きが少なく、キレがあって鋭い感じが良く合っているように感じる。その分、ホールの残響感はあまり出ず、空間的な広がりは控えめ。全体的に近い所で鳴っている感じ。
 手数の多いエレクトロニカなども分離良く追従している感じで良い。


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■お勧めできる人


 ボーカルをとにかくハッキリクッキリ聴きたいと考えている人。ロックやポップス、打ち込み系全般をノリ良く聴きたい人。ギターの音を、キレが良くて鋭い感じで聴きたい人。古いアーケードゲーム音楽とかそういうのとも相性が良いように感じた。


■お勧めできない人

 楽器由来の響きとか豊かさとか、生楽器の表現の細やかさとかを求める人。また、空間的な広がりを求める人。全体的に暖かさとか太さを求める人。音の特徴から考えても、ジャズやクラシックには合わせにくい。(RHAの本国担当者もそんな風に言っていた。)


■雑感

 ボーカル主体、という観点だけでいえば、final E3000とこの価格帯では争うように感じる。しかし、かなりキャラの違う2本でありE2000とも差が大きい。S500 Universalは全体的に鋭くキレがあってボーカルの輪郭をくっきり強調した印象がある。E3000はもっと柔らかさがあり、他の音域を穏やかにしているのでボーカルが浮き上がった感じ。変な例えだが、ギターアンプならS500 UniversalはトランジスタアンプでE3000は真空管アンプみたいなイメージ。(いや、もちろん、アンプの味付けによって変わるので何となくのイメージだ。)
 ノリや勢いのある楽曲にぴったりはまり、打ち込み系に非常に合う。生楽器の音を模擬した音も、偽物っぽさがあまり目立たず良い印象。また、ボーカルがここまでくっきり明瞭なものは5000円以下の価格帯では少な目に思うので、そういう点でも価値がある。
 凹んだ音域も少なく、ピアノにしろ、吹奏楽器にしろ、バイオリンにしろ、篭ったり聴こえにくかったりすることはなく、そういう意味では汎用性が高い。しかし、楽器由来の響きや豊かさは少なく、アコースティックな楽曲では表現がマスクされたような感じに鳴り物足りなさがある。少なくとも、ゆったりと情感豊かな楽曲を聴きながらリラックス、というイメージとは少し異なるように思う。

 アコースティックな楽器の表現が苦手と何度も書いて、RHAのキャラがそのような感じとは思わないでほしい。RHAはMAシリーズ、しかもS500と同じ価格帯にMA390を用意していて、こちらは豊かさとか空間的な広がりが良い1本であり、上手い役割分担をしている。S500 Universalが鋭すぎると感じたらMA390を試してみることをお勧めしたい。


〇買い物かごの中身の評価



大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。

お買い得度 ☆☆☆☆☆
使い勝手  ☆☆☆☆☆
お勧め度
  一般  ☆☆☆☆☆
  趣味人 ☆☆☆★★

コメント

 お買い得度は約5000円で購入として判定。お買い得度は☆5。音質だけなら☆3だが、ロックやポップスに合わせるとして☆4。そこに、良質なイヤーピースが予備を含めて付属する点と手厚い3年保証が付く点、全体的な作りの良さを加点して☆5とした。元は6000円を超えていたS500iと比べてもお買い得と言えるだろう。使い勝手も、ロックやポップスとの相性が良い点は多くの人に受け入れられやすいだろうし、音量が取りやすい点、ケーブルの質が良い点、小型軽量な点、良質なイヤーピースが付属する点を考えて高めに☆5。
 一般へのお勧め度は、保証も手厚く、ボーカルが鮮明で、各種楽器も明瞭なこと、ロックやポップス、打ち込み系の相性が良い点などを合わせて考えて、このぐらいの価格帯の1本目に勧めやすいと考えて☆5つ。趣味人には、低価格帯でボーカルの鮮明さが良いことや、特に弱い音域も少ない点で楽しめると考えて☆3つ。
 全体的に、作りや保証の面で加点要素が多く、高めの評価となった。注意してほしいのは、同価格帯の他の☆3や4と評価したイヤホンに対して、飛び抜けて音質が良いわけではないということだ。(負けているとは思わないけど。) そういう意味でRHAは、良質なイヤホンに、種々の付加価値を付けて満足感を高めるような商品展開の上手さを感じる。


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