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2023/06/02

実検するおじさん

funk ojisan SILVER VALVE (GOLDEN VALVE)の性能を引き出すACアダプター

Youtubeでの知名度も高いfunk ojisanのSILVER VALVEを購入して電源の重要性を認識したというお話です。
funk ojisan SILVER VALVE(GOLDEN VALVE)の電源について
funk ojisanのSILVER VALVE (GOLDEN VALVE)は一般的なエフェクターよりもアンプに近い設計思想であるようで、電源電圧も相当に自由度があります。公式のYoutubeでも電源電圧によるサウンドの違いが紹介されていますが、電圧だけではない違いを感じ取ったので記事にします。

どういうことかというと、SILVER VALVEではトランス式非安定化ACアダプターだと音がすごく良い!ということです。私が購入したものと共に傾向を紹介します。



〇funk ojisan SILVER VALVEとGOLDEN VALVE


 funk ojisan SILVER VALVEとGOLDEN VALVEは兄弟機となっており、内部の回路はほぼ同じで、チューニング違いとなっているそうです。チューニングが絶妙なのか、かなり印象の異なる2つとなっております。

 大雑把にGOLDEN VALVEは中音域が持ち上がってダークでロックなサウンドであり、ミッドを持ち上げたJTM45がイメージとしては近いかもしれません。SILVER VALVEはあっさりと高音域が煌びやかで、例えるならDeluxeをフルアップしたようなイメージです。それぞれ、大雑把な比較なのでご容赦ください。歪み方は共に、若干バリバリとしたダーティーさがあり、これがアンプっぽいサウンドを演出しています。


〇SILVER VALVEの特徴は電圧によるサウンド変化が大きいこと


 funk ojisan公式Youtubeにも実験動画がアップされていますが、SILVER VALVEとGOLDEN VALVEは、共に電源電圧を変化させるとサウンドが大きく変わることが特徴です。

 私はこの動画を見て、GOLDEN VALVEよりもSILVER VALVEの方が前段に別のエフェクターを置いた際にマッチしやすいと考えてSILVER VALVEを選び、24V 1.5Aのスイッチング電源を使って楽しんでいました。


〇でも動画みたいな音が出ない?


 24V 1.5AとSILVER VALVEのポテンシャルを引き出すのに十分かつfunk ojisanからOKをもらった(購入時にメールで聞いた)電圧で試しているにもかかわらず、歪みが潰れた印象で奥行きが無く、歪み量もちょっと少ない印象でした。なぜだ????

 ここで、別の動画でACアダプターの違いによるサウンドの変化が取り上げられていました。
 動画の前半ではトランスタイプのACアダプターを使用して良いサウンドを楽しんでいますが、後半でスイッチング電源に切り替えると、まったくサウンドの傾向が違うということが実験によって示されていました。こちらの動画ではディレイですが、もしかして歪み系でも違うのでは?と考えました。


〇トランス式9V非安定化タイプのACアダプターで使用


 家にあったトランス式9V非安定化タイプのACアダプターで試してみました。定格9Vとはいえ非安定化タイプなので14V程度が出力されています。それでもスイッチング電源の24Vよりも電圧が低く、これまで使用していた電圧よりも低いことになります。

 しかし!! 音が全体的に整い、音に深みがあって立体感が出ました。全っ然違うのよ!と叫びたいぐらい。スイッチング電源ではニュアンスが出にくく、低音の歪み方が汚くて潰れがちです。ですので、当初はかなり低音をカットして使用していました。トランス式を使用すると、この傾向が無くなって非常に素直です。動画で紹介されていたサウンドにぐっと近づきました。

 この違いは自宅での小音量でも分かるレベルなので、スタジオレベルの大音量では相当な違いが出ると思われます。今すぐにでもスタジオに行きたい…。


〇SILVER VALVE用にトランスタイプのACアダプターを購入


 これは、追加で検証しなければならない。急いでトランスタイプの電源を探しました。

 購入したのはアイコーのVSM-1561。トランスタイプは昨今は流行らないので15Vまでしか売っていませんでした。このアダプターは非安定化で無負荷時には22V程度出て、負荷がかかると15V程度まで下がるものです。いわば不安定。

アイコー VSM-1561をエフェクターで使う


〇ACアダプターや電圧によるSILVER VALVEのサウンドの傾向


色々と試しましたので順番に説明してゆきます。
※少し追記:ボリューム小だと差が出にくいです。ボリュームを大きめにして比較しています。

・スイッチング式 9Vピッタリ
 これを基準とします。歪み方がやや荒い。奥行き感が少ない。

・スイッチング式 24Vピッタリ
 全体的にハリが出た。歪み方が荒く、突然ブチブチと歪む傾向。ゲインMAXでも歪む感じが薄く、12F1-3弦あたりだと歪んでいる感じが無い。ゲインを上げると低音が持ち上がって歪みにかぶさる。6弦全部を使うコードでいろいろなポジションで試すと、潰れた感じがあって和音に汚さがある。立体感も乏しい。

・トランス式非安定化 9V→14V程度
 全体的にすっきりとして見通しが良い。高音域がキレイ。歪み方も滑らかにつながる印象。立体感が出た。歪みやすさがある。

・トランス式非安定化 15V→22V程度
 トランス式9Vよりも歪みにくいものの、歪まない領域から歪む領域に自然に繋がる印象。低音の主張が弱めで立体感がある。ゲイン、BASS、TREBLEを全部フルでも音が破綻しない。高音域の綺麗さは健在。12F1-3弦あたりでは芯がありつつ歪みを伴ったサウンド。6弦を使ったコードに柔らかさがあり、和音の綺麗さが出ている。


 回路を解析したわけではないですが、おそらく電圧が上がると歪みにくくなる構成だと思っています。それを考慮に入れても、歪みの質や歪みやすさがスイッチング式とトランス式で全然違うんですよね…。


〇他のエフェクターでも比較した


 トランス式非安定化9Vのアダプターを使って、古典的な(14Vぐらいかかっても大丈夫な)エフェクターで比較したところ、低音の変な主張が減って、すっきりと見通しが良くなり、ギターのサウンドに旨味が載るような変化を感じました。何なの?これ?


〇理由を考察する


 私も電気系をかじった身なので「そんなん、所定の電圧が出ていれば変わるわけないだろ????」と思っていたのですが、事実を突きつけられて混乱しています。

 その違いを検討しますと、電圧の違いというよりも、電源の出力インピーダンスが違うことが影響しているのではないか?と考えています。トランス式はトランスで降圧された交流をダイオードで整流した後にコンデンサ等で平滑化しているわけです。トランスは一般的に数オームの抵抗を持っています。ですので、一気に電流が出ても調整できず、コンデンサにチャージされる間だけ電圧が低くなります。また、ショートするような大電流が流れても止める術がなく、金属筐体に接触させたりするとパチッと火花が出たりします。

 一方、スイッチング電源は、トランジスタのON-OFFで所定の電圧付近を出した後にコンデンサ等で平滑化しています。出力インピーダンスとしては非常に小さく、しかも、電圧が変動すると直ちにトランジスタのON-OFFが調整されて変動を小さくしているわけです。ただし、ショートするような急激な電流出力があった場合は安全機能が働いて、それ以上は出なくなります。火花が出たりすることも(ほぼ)ないですね。


 これを総合して、トランス式の方が電源の出力インピーダンスが高いのか低いのか、正直分からないのですが、不安定さが「ギター用エフェクターとしては」マッチしている可能性があります。


〇ACアダプターでこんなにも音が違うのか


 参りました。奥というか沼が深すぎます。ギター怖い。

 SILVER VALVE自体のレビューは別の記事に譲りますが、JC-22と組み合わせてSILVER VALVEでアンプサンドを作ったうえで、前段にオーバードライブをONするだけで最高のドライブサウンドが作れます。おすすめです。購入の際は、様々なACアダプターでもって比較してみてください。一緒に沼に入りましょう。

ギター屋funk ojisanは国分寺駅から徒歩7分の楽器修理、ハンドメイド機材、中古販売、機材貸し出しのお店です。真空管やアルニコなど音色にこだわった商品開発など主行っております。