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2022/02/04

実検するおじさん

オールラウンダーなLeqtique Berylは、2010年代の傑作のひとつになるか?[レビュー]

Leqtiqueの各モデルは「それぞれのモデルにしっかりとした個性がある」のが特徴です。その中で、王道を行くODがRedやRochといった構成になっています。

これに対し、今回のBerylは、Leqtiqueの技術を駆使して作られたオールラウンダーで「何にでもなれること」が個性であると言えます。


Leqtiqueらしくないようにも思えますが、イコライザーの効きやゲインアップ時のキャラクターの変化など「変わって欲しいところがキッチリ変わる」あたりはLeqtiqueらしい仕上がりの良さだと感じます。





○Leqtique Beryl


 新作が出なくなって久しいLeqtiqueですが、Berylはその中では比較的新しいものになります。2018年頃に発売されたようです。

 それぞれのモデルに明確なコンセプトを持ち、新しい試みを取り入れてきたLeqtique。『○○年代のXXXXの音!』みたいな売り文句を使わず、技術(電子回路)からのアプローチによって良いサウンドを生み出そうとする姿勢が、技術者の端くれとして格好良く思っていた次第です。

 また、従来のモデルははっきりとしたキャラを持ちつつ、使い勝手の良いモデルが多かったです。RedとかRoch、MATあたりはまさにそうですね。言うなれば「サウンドの方向性としては特化型だけど使い道は広い」方向性でした。

 そんなLeqtiqueの中で、異色とも言えるのがBerylで、完全なクリーンブーストからオーソドックスなオーバードライブ、エッジの立ったディストーションまで対応可能なオールラウンダーであることがコンセプトのようです。





 レビューの前に、自分は普通とはちょっと違う環境でチェックしていますので断っておきます。キャビシミュレータのAMT CN-1とヘッドホンでサウンドチェックしていますので、エフェクターのクセが分かりやすい環境です。なお、ギターはテレキャスターを使用しています。
ギタースピーカーであるキャビネットを模擬した音を出すキャビネットシミュレータのAMT エレクトロニクス CN-1 カメレオンCABを買いました。これをヘッドホンアンプとして使用しています。エフェクターの音の違いが分かりやすく、非常に便利です。




○Leqtique Berylのレビュー


 ボリューム、ハイカット、ゲインの3ノブと、小さなローカットのボリュームの合計4ノブ構成。

 ローカットとハイカットおよびゲインを全閉でボリュームを上げるとクリーンブースターになります。ここからゲインを少し上げると、シャキッとエッジの効いたハイファイなオーバードライブになります。この辺りが私の好みなポイント。


 ゲインを上げてゆくとキンキンしはじめます。Leqtiqueはどのモデルでも「ノブがどの組み合わせでも破綻しにくい」ことも特徴だと感じていましたが、Berylにはこれは当てはまりません。
 実際に、Shun Nokinaのインタビューでもそのようにコメントしています。

 ゲインを上げるにしたがって、ローカットとハイカットは12時ぐらいにしたいところ。ローカットは低音だけをカットしている感じではなく、ちょっと中音域にも影響を与えるのか、ローカットを弱めると、歪みの質感にキレが出るような感じです。

 別の言い方をすると、ゲインをアップすると、ハイもローも持ち上がってくるんですね。これを「各人の都合の良いようにハイカットとローカットで削ってください」というのがBerylの付き合い方だと思われます。


 自分のレベルでは、ローカットの方はサウンドが破たんしないように、変にならない程度に削っていくような使い方になります。ハイカットの方は非常に絶妙な味付けで、耳が痛くなる刺さりを軽減しつつ、歪みの質を穏やかにするように働きます。


 様々なサウンドが作れるので、一概に歪みの質に言及することが難しいですが、全体的な感想として「歪みの質は粒が細かめながらエッジは立っている」といったところ。いろいろなセッティングを試しましたが、全体的にキレがあり、スッキリしたサウンドが特徴です。

 また、ローカットとハイカットの効く帯域とか効き方が絶妙で、残って欲しい美味しいところは削らないようにうまく設計されていると感じました。


○最後に感想


 LeqtiqueはL'を中心にですが色々と試してきました。それらを総合して、Shun Nokinaは狙ったところに着地させるのが上手いと感じていました。そんな彼が作った『オールラウンダー』のBerylは、なんでもできるからと無難にまとめるのではなく、魅力あるサウンドを出してくれます。

 その上で、対応範囲の広いコントロール類の設計や、効かしどころを押さえたハイカットとローカットの設計はLeqtiqueのこれまでの集大成のひとつと言えるのではないでしょうか?


 人気があっただけではなく、安易なリメイクやオマージュに逃げることなく、新たなサウンドと技術の創出にチャレンジし続けたことがLeqtiqueのすごさだと考えています。その観点から、このBerylは2010年代の傑作のひとつと言っても良いのではないか?と考えています。