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2022/01/03

実検するおじさん

LeqtiqueのL'シリーズの5種類を比較した[PV, CLD, MAT, Kigen, 10/10]

エフェクターの一時代を築いたと勝手に思っているLeqtiqueが贈る、ハイコストパフォーマンスラインのL'が安価に流れているので買い集めました。
PV, CLD, MAT, Kigen, 10/10の5種類を買いまして、大雑把に比較したいと思います。それぞれ特色があり良い物ですが、クセも強いので、興味のある方の参考になればと思います。



○今更だがLeqtiqueが手掛けるL'を買い集める


 良質な小型オーバードライブで名を馳せたShun Nokina Designが、作りやすいサイズ感でコストパフォーマンスを高めたラインとして発表したのがLeqtiqueで、Leqtiqueの人気モデルをさらに量産に向いた仕様でコンパクトに落とし込んだのがL'です。


 Shun Nokina Designが2009年頃から活動を本格化させており、Leqtiqueが人気を集めたのが2012年以降、L'の登場は2016年です。

 L'は、Shun Nokinaが考える「良いサウンド」が得られるエフェクターを、お金が無い若い世代でも買える「手ごろな価格で」「いつでも買えるように」提供するのが目的(意訳です)だったそうですが、供給が多すぎるのか2020年頃から大幅に値崩れしてきました。


 それすらも低価格化のための手段だったとしたら拍手しかないのですが、こんな価格で買えるなら一通り集めてみようと買い始めました。


 自分はLeqtiqueに結構思い入れがあって、就職してお金ができてきてMARを買って感動したまでは良かったのですが、そこからギターを触らなくなり、「ギターを復活させるならLeqtiqueを買い集めよう…」と買いもしないのに情報は追いかけたりしたのでした。



○買ったL'のエフェクター


2021年12月時点で持っているのはこちら。

 左奥からPV、CLD、MAT、Kigen、10/10です。これ以外のラインナップとして、9/9、Roger、Roch、Redが存在します。半分ぐらい買ったことになりますね。

 それで、右手前からよく歪んで、左奥に行くほど歪みにくくなるように並べました。MATとKigenは歪みの質が違うので、どっち!と明言することが難しいですが、大雑把にこんな感じです。すべてを並べるとすると、

PV→CLD→Roch→MAT→Kigen≒Red→9/9→10/10

といった並びになると思います。RochからRedまでは参考程度で、あまり意味がある順位付けではありません。


 それぞれ、Leqtiqueのモデルをベースに、「ダウンサイジングで音が変わってしまった部分」と「修正」の二種類の変化があります。私が簡単にですが比較した感じや、他の人のレビューを見る限り「厳密には違うが、実使用上は変化無し!」と判断して良さそうだと考えています。



○比較した環境


 あまり一般的でない環境で比較しているため、以下のレビューを読む際は注意してください。私はギターから各種エフェクターに繋いで、アンプを通さずにキャビネットシミュレータであるAMTエレクトロニクスCN-1 カメレオンCABからヘッドホンで音を聴いています。

ギタースピーカーであるキャビネットを模擬した音を出すキャビネットシミュレータのAMT エレクトロニクス CN-1 カメレオンCABを買いました。これをヘッドホンアンプとして使用しています。エフェクターの音の違いが分かりやすく、非常に便利です。

エフェクターの特徴が分かりやすい反面、アンプの歪みの影響が出ません。アンプの歪みを重ねると、よりキレのある、歪みに奥行きが出ることが多いです。ですので、この比較では、比較的に大人しく判定されやすいです。



○L' PV


 音の変化が無いクリーンブースター。といっても、ボリュームを上げるとキラッとした成分が増えているように思うが、その他のエフェクターで歪みが増えているだけのようにも思う。

 なんだかんだ持っていると心強いブースターです。部品や作りが一級品なブースターが非常に安く買えるのでオススメ。


○L' CLD


 説明しにくいエフェクター第一位、代えが効きにくいエフェクター第一位のCLDです。Leqtique版はCLHDで、ちょっとハイファイさが落ちるのでCLDとのこと。
 ゲインを低めに使うと、クリーントーンのギターの美味しいところを持ち上げてくれる感じで、ゲインとデフィニションを上げるとローゲインオーバードライブになります。歪みの質は比較的丸い感じで、ゲインを上げると丸いながら飽和した感じが強くなります。

 デフィニションは、左に回すと原音のうちでギターの美味しい所を持ち上げたサウンドが強くなり、右に回すとローゲインオーバードライブのサウンドが強くなるもので、非常に大雑把に言うと原音とODサウンドの分量を変えるようなイメージです。

 クリーントーンを補正するもよし、エフェクターの前に置くも良し、最終段に置いてアンプライクに使うもよしと、万能そうですが使いこなすのが難しいです。自分も良く分かっていません。ひとつ言えることは、CLD単体で歪みを得るのではなく、ある程度サウンドを作ってCLDで補正するのが良さそうです。

※追記
 CLDの前段にブーストが得意なOD等を置いて、ブーストした大入力を突っ込むと、アンプのハイゲインチャンネルを大音量でドライブしたような、複雑かつ厚みのある歪みが得られます。これは結構すごいっす。


 CLDの注意点は12V-18Vが必須であることです。9Vで駆動すると最初はバリバリ言って動かないし、音のハリを出すにも12Vは欲しい。ここがネックかな?

 一番安く出回っているのも特徴で、たぶん電圧問題と分かりにくさが原因だと思います。ハマると代えられない特徴があるので、こればっかりは試してみるほかないかと。



○L' MATとLeqtique Maestosoの比較


 たぶん、一番わかりやすいサウンドで古典的オーバードライブに近いMAT。
 L'版のMATはボリューム、ゲイン、トーン、ローカットの4ノブです。LeqtiqueのMaestosoは3ノブで、低音をカットするローカットがありません。

  MaestosoおよびMATは、かなり低音が出るのが特徴で、ギターや使用環境によっては過剰と思えるところがあります。なので、MATでローカットできる点は非常に有用で、Maestoso買うならMATの方が良いです、と私はお勧めします。
 サウンドは、TS系をもっと歪むようにして低音が出るようにした、という"ワガママサウンド"。ゲインを低く、ローカットを強く効かせることでいわゆるTSサウンドに近づきます。
 ハイゲインの轟音にするとファズっぽくなるので、これはこれで良いです。


○L' Kigen


 少し歴史を追いかけます。Shun Nokinaが名声を高めたのがSNDのRedemptionistをToshin Abashi氏に手渡した頃のことです。ここから、LeqtiqueではSNDのRedemptionistをベースにもう少し硬めのサウンドに仕上げてLeqtiqueのRedemptionistをリリースしました。このLeqtiqueのRedemptionistをL'版にしたのがL'のRedです。そして、SNDの最初のRedemptionistを再現しつつ、Toshin Abashi氏の要望を取り入れたのがKigenだそうです。

 分かりにくいな(苦笑)

 なので、KigenとRedは、直接に比べると違うが、他社エフェクターと比べたりする中では似たサウンド、というぐらいになります。


 それでKigenです。かなり中音域に集まったスムーズなオーバードライブです。Abashi氏が多弦ギターの名手なので、低音域にレンジが広いのが特徴で、ベースにもマッチするかも。

 たぶんこれ、ちゃんとしたアンプで、そのアンプの性能が発揮できる大音量で鳴らしてこそ、な印象があります。音量が大きくなると抜けが良くなる傾向がありますから。
 試奏時にサウンドがとても気に入って買ったのですが、自宅では意外と使い勝手に困っているところがあります。たぶん、アンプで鳴らしてこそなんだろなぁ。一度、しっかりとした環境で試してみたいところ。ヘッドホンだと、三音ぐらいのパワーコードなら良いのだけど、6弦使ったコード引きだと分離が悪く感じてしまったり…。何か使い方とのマッチングが良くない気がする。

 また、トーンの効き幅が狭く、サウンドを変えるというより、Abashi氏が機器や環境に合わせて微調整する用を想定しているのでは?と感じます。自分だと全閉か全開か、みたいな使い方になりがちです。

 これらから考えると、Kigenならではの魅力があり、エフェクターとしては価値があるのですが、一般的にはRedの方が対応範囲が広く、好まれるように思います。




○L' 10/10


 分かりやすい人。とにかく歪みます。ゲインを絞り切ってもかなり歪みます。

 歪みの質は鋭く、エッジが立っています。また、低音がかなり出るため、JC-120のようなアンプでも厚みを出しやすいのが特徴です。

 人気の9/9との比較は、10/10の方が歪むことと、9/9より10/10の方が鋭く、高音の抜けが良い点です。Youtubeなどを確認すると、9/9をかなりハイゲインにするとやや抜けの悪さがあると感じて10/10にしました。

 マイナス要因としては、9/9もそうですが、ギターのボリュームを絞って歪むか否かぐらいに調整した時にスムーズさに欠けるというか、バリバリと嫌な雰囲気が出る点ですね。そういうオールラウンダーを狙わず、ハッキリシッカリ歪ませて使うのが合っているようです。



○買ってないけどRoshとRoger


 試奏した後に買おうと思ったけど買い損ねたRosh。MATとならんで使いやすいODサウンドです。トランスペアレントと言われていますが、中音域に集まったサウンドで、TSっぽく使えるように感じました。

 ODの範疇(=9/9と10/10を抜いて)では、一番明るい音が出るかな?と思います。MATもトーンを上げれば鋭くなりますが、それとはちょっと違う明るさがあります。

 ちなみにRogerは粘りのあって厚みのあるパワフルなサウンドです。また、Leqtique版がゲインが高すぎたようでL'では少し大人しくなっているらしいです。Leqtique版も修正されているかもしれませんが…。




○どれを選ぶ?


 いずれのモデルも強い特色があり、好みによるところがあります。一番使いやすい所を考えると、PVは質の高いブースターなので別枠として、MAT、Red、Rochあたりでしょう。MATはL'版ならローカットがあるので、Leqtique版と悩んだらL'にしましょう。

 自分は比較のためにMATを買いましたが、通常使用ならRochの方が良かったかな?と最近感じています。そのうちに買い足すかもしれません。

 一番対応範囲が広いのはLeqtiqueのBerylなのですが、それはまた別のお話で。