先日記事にしたとおり、4年半使用したパナソニックの自動車用バッテリー「カオス」を、新品に交換しました。
高性能で長寿命なバッテリーとして有名なカオスですが、実際のところはどうなんだろう?と考えて、劣化具合を調査する実験を行いました。
交換時の記事は以下です。
〇バッテリーの劣化とは?
車用の鉛バッテリーは、化学反応によって電気を発生させています。詳細は省略しますが、電気を発生させる反応によって電極が消耗して電解液の成分が変わってゆきます。使い切ったら終了です。それでは問題なので、その真逆の反応が起きて、充電時には 電極と電解液が最初の状態に戻ります。うまく出来ています。
化学反応しやすいということは、ある意味で不安定であるとも見ることができます。燃えやすいアルコールよりも、水の方が安定していると思いませんか?
バッテリー内の状態は、放電方向も充電方向も行き来することができるので、ある意味で安定さに欠けています。ちょっとしたことで化学反応しますから。この状態で、じわりじわりと「安定状態になって、反応したくなくなったやつ」が現れ始めます。これが、硫酸鉛であり、サルフェーションと呼ばれるものです。
こうなると、発電も充電も出来ないため、バッテリーが劣化した!と言われる状態となります。(内部の破損などは今回は無視)
〇カオスバッテリーの劣化やバッテリー上がりの原因
そもそも、バッテリー上がりとはどういう状態でしょうか?
エンジンをスタートすることができない状態ですので、以下の3つが考えられます。
・充電不足
・劣化による出力不足
・低温による出力低下
実際には、これら3つが組み合わさって発生しているはずです。これらが重なれば重なるほど、始動不良=バッテリー上がりとなる可能性が高くなります。
〇カオスバッテリーの劣化具合を調べた
セルモーターが回る仕組みをおさらいしましょう。車のスイッチをオンにすると、バッテリーとセルモーターが繋がって電流が流れます。モーターの発揮する力は電流と比例し、流れる電流は大雑把に言うと電圧によって決まります。
バッテリーが劣化すると、電流をドカンと流すと電圧が大きく低下するようになります。これが、劣化によってバッテリーの内部抵抗が大きくなった状態というものです。(簡単に書いています) これを厳密に扱おうとすると、結構難しいです。
そこで、「相対的にならば比較できる!」と以下を考えました。
1.エンジンオフ後、十分に時間をおいてから電圧を計る
2.エンジンオフ、ACCオン、ルームライト&ヘッドライトオンで
電圧を計る。
最近はLED化が進んでいて消費電力が少なくなりましたが、古典的な車の場合は、2の状態で結構な電力を喰うはずです。
〇カオスバッテリーの劣化を実験で調べた
実験結果は以下となります。気温はほぼ同じ条件で測定しました。
無負荷時では、劣化した物と新品で、それほど差を感じない電圧を示しています。しかし、負荷があると差が広がっています。
車の中で、バッテリーに対して最も大きな電気的な負荷は、セルモーターを回すことだと言って良いでしょう。ライト類だけでこれだけの差がでたので、劣化したバッテリーでセルモーターを回した時は、電圧の落ち込みがさらに大きくなっています。
電圧が落ちればセルモーターを回す力も弱くなります。最終的にバッテリー上がりとなるわけですね。
〇最後に
単純にバッテリー電圧を計るだけでは、カオスバッテリーの真の劣化具合が分からないことが確認できました。4年半使っても無負荷時の電圧がここまで高いとは驚きました。このあたりが『昨日まで大丈夫だったけど、急に動かなくなった!』という突然死のように見える状況を生んでいるのかもしれません。
この結果は「〇〇Vまで大丈夫!」などと言うための物ではありません。参考値として見ていただけると幸いです。
高性能なバッテリーは、ぎりぎりまで踏ん張って、ついに力尽きるようなバッテリー上がりが多いようですから、早め早めの交換をお勧めします。