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2021/03/13

実検するおじさん

[レンタル品]HIFIMAN TWS800は低音域の魅力はあるが音源との相性がシビア

今回は、HIFIMAN JAPANさん(Twitter:@HIFIMAN_JAPAN)より、トゥルーワイヤレスのイヤホン(TWS)である、TWS800をお借りしてのレビューです。
HIFIMANとしてのTWS初作TWS600の評判は芳しくなかったので、期待半分、心配半分といったところです。

他の人の反応を見ていると、酷評している人もいれば、そこまで悪く言うほどでもないのでは?という人までそれぞれでした。実際に使ってみると、バランスも表現も悪くないものの、どうにも相性が悪い楽曲があると感じました。


〇無理矢理一言雑感


高級価格帯TWSの比較の舞台に立てるだけのポテンシャルはあるが、コストパフォーマンスは良くはないので、値段勝負となると難しい戦いとなる。音域バランスは取れていて、低音域の質の良さでノリ良く聴かせてくれる。楽曲やマスタリングとの相性がシビアで、マッチとアンマッチの差が激しい。


〇HIFIMAN TWS800とは


 HIFIMANによる2020年12月に発売の完全独立タイプのトゥルーワイヤレスイヤホンがTWS800です。HIFIMAN独自のトポロジードライバーを搭載しているのが特徴となります。このドライバーが150Ωとハイインピーダンスなので、それを駆動できる力強いドライバを搭載しています。

 先日紹介したDEVAが、鳴らしやすい平面振動板を開発してワイヤレスに仕立てた点が、製品のコンセプトとして優れていると感じていました。これに対して、TWS800はかなり力技な手法を取ってきました。技術的には器用だけど生き方は不器用なところは、なんともHIFIMANらしいというか…。

 HIFIMANのアンプは性能や評価が高いのが有名であり、超小型DAPのSuperminiで駆動力が必要な自社のイヤホンに対応すると表明(実際にサイズの割にパワフルだった)したり、超弩級の真空管アンプを提供するなど技術を高めてきました。その技術がどのように活かされているか、後半で確認していきます。

装着時の向きが分かりにくい筐体。分かりにくいと言うより、ケースに収まっている向きと装着の向きのイメージが合わないのか、どちら向きが正解なのか最初は確実に迷います。装着できてしまえば装着感は悪くないのですが、それなりに耳穴が大きい人でなければ保持に難が出る可能性も有ります。



〇HIFIMAN DEVAレビュー


■全体の印象

 やや高い所にピークのあるドンシャリ。低音域がそこそこ低い領域まで出ており、表現も悪くないので、ノリ良く楽しめる。ボーカルは明瞭。ただ、マスタリングなのか声質なのか、悪くない表現の場合と、クセや刺さりが気になる場合に大きく分かれた。
 トポロジードライバを採用したRE800やRE2000が、低音域の表現の高さが特徴的であり、TWS800でもその片鱗が感じられる。どちらかというと生音録音の音源の方が相性が良かった。


■各音域の印象
 
 キックのキレや締まりは良い。ベースラインも明瞭。トポロジードライバはかなり低い所まで再生能力がありそうで、小音量時にも厚みのある音を鳴らす。しかし、大きな音量ではアンプ部のパワー不足が出やすい領域でもあり、歪みっぽさが出始める。シンバルに歪みっぽいピークがあるのは気になる。(←特に打ち込み音源の場合) 楽曲によって、このピークが楽曲のキレを出す要因となって、良い方向に作用していることもあった。逆となると相性の悪さが目立ちやすくなる。シンバルのサスティーンは良く出て、ニュアンスも出る。ドラムの表現の上手さは、このイヤホンのセールスポイントだろう。
 
 ボーカルは明瞭で、鮮明な表現。暖かみや柔らかさは控えめ。ボーカルが最も楽曲による表現の差が出やすい。相性が良いと明瞭でキレがあるが、相性が悪いとサ行の刺さりなどのキツさを感じやすい。

 エレキギターは鋭いディストーションやファズのエッジが出る。エッジだけでなく、低音の厚みも相まって相性が良い。アコースティックな楽器との相性も悪くない。ピアノは少し線が細いと感じる。
 
 
■そのほかの聴こえ方
 
 マスタリングのやり方というか、クセというか、それらとの相性がクッキリとあらわれる印象がある。似たような楽曲でも、こちらは良いが、あっちは合わないといった具合で差が激しい。相性が悪い場合は、ボーカルの音が何かに反射したようなクセを感じたり、キツさが気になったりする。相性が良ければ、ごく普通に楽しく聴かせてくれる。この気になりやすい部分は、中高音の狭い範囲で、楽曲によっては軸となる音域だったりするので、目立ちやすいのかもしれない。
 ホールの反響や、空間系のエフェクトとの相性は悪くない。
 
 打ち込み系、生音収録でない音源の場合に、相性問題が出やすいように感じる。アコースティックな楽器で構成された音源で相性が悪いものは特に見当たらなかった。
 相性が悪い場合は「なぜだか分からないけど、やけに悪い」印象となってしまうので、ここにたまたまぶつかってしまうと、評価がかなり苦しくなってしまうのも頷ける。

 接続は、発信側の性能にもよるが安定しており、ワンルームマンション内なら途切れもないのでは?と想像する。遅延は音楽ゲームには厳しいと感じるレベルだったが、Bluetooth5.0に対応していないので、環境を整えてから判定すべきだろう。


■お勧めできる人

 TWSで、低い音域までの表現が欲しかった人。ドラムの表現にこだわりがある人。残響やリバーブの表現が上手いように感じたので、そのあたりの表現が気になる人。
 

■お勧めできない人


 『こういう楽曲』と指定できないのがもどかしいが、試聴してみて『何か合わない!』と感じたら、楽曲との相性問題にぶち当たっている可能性がある。


■雑感

 良いところはあるのだけど、かなり伝わりにくい1本。ベースラインやドラムの表現は好みでした。ただ、高評価かと問われると厳しく、相性問題がシビアなところは減点対象でしょう。 相性が良い楽曲だけをより集めれば高評価なんですが…。
 HIFIMANはTWSタイプにも何らかの手ごたえを得たのでは?とも思います。前作の評判が悪かったので、それを見て、本作や、これから出てくる新作も「ダメ」と決めつけるのはもったいないので、機会があれば試してみてほしいところです。

〇買い物かごの中身の評価


大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。

お買い得度 ☆☆★★★
使い勝手  ☆☆☆☆★
お勧め度
  一般  ☆☆★★★
  趣味人 ☆☆★★★

コメント

 お買い得度は約3300円で購入として判定。1.5万円前後や、1万円以下の商品がずらっとならぶ群雄割拠な中で、3.3万円であるのはそもそも厳しい戦いである。使い方が全く違うが、音の満足度の高かったDEVAも3.3万円であることを考えると、☆3は付かないと考えて決定。使い勝手は、装着感は悪くなく、接続も安定していたため☆4。ただし、人によってフィット感に難が出るかも。
 お勧め度は一般、趣味人共に☆2。音源による相性問題がシビアなので、単純なおすすめとして挙げにくい。音域のバランスや低音域の表現など、TWS800の良さがあるので、試して好みであれば選択肢に入れるのはありだろう。