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2024/07/06

実検するおじさん

Gibson Flying V (2000年代製)のレストアとメンテ[その1 フレット編]

ギター趣味を復活させているとか、ギターのメンテが楽しいと周りに言っていると、なんだかんだ嬉しい話をもらったりします。他の人にも聞いたことがあるので、たぶん「あるある」の部類になるのではないでしょうか?
この度、使っていないというGibsonのフライングVを譲り受けました。とはいえ、かなり消耗している上に使いっぱなしで状態も良くなく、メンテ以上レストア未満なぐらい手を入れる必要がある個体です。
何回かに分けてメンテ記事をアップしてゆきたいと思います。



〇ギブソン フライングVのレストアとメンテナンスの開始


 今回入手したのはギブソンのフライングVで2000年頃の個体です。定番のマホガニーボディー・ネック製で、2ハム、2ボリューム1トーン。仕様としては「67タイプ」ということになるようです。形状のせいか、素材のせいか、結構軽量な印象。その分、なんとなく全体的に柔らかい印象で、音も中音域に寄っていてリアの音は非常に太い。フロントも甘くて良いですが太すぎてブーミーな印象がぬぐえません。

 かなり弾きこまれており、フレットの頭が削れてフラットになっており、高さもアンバランスです。ローフレット側が減っていてハイフレット側が高く、音詰まりがします。
指板がめちゃくちゃ汚かったので、キレイにしてから作業開始。

〇フレットの状態を知り、高さを合わせる


 最初に、ネックを真っ直ぐにして定規を当て、高いフレットをマークしてゆくのが王道です。ただ、この「ネックを真っ直ぐにする」ということが素人には難易度がかなり高く、ネックが反っている状態ですり合わせをしてしまうと変なことになります。さらに波打ってしまった状態だと悲惨です。というわけで、フレット単体の高さを測ってそこでだいたい合わせ、弾きながらネックの反り具合を合わせてゆく方向にすることにしました。
使用するのはHOSCOの工具。

これを使いながら高いフレットをマークしてゆきます。大体できたらマスキングして、紙ヤスリを貼り付けたブロック(底面が10cm×6cmぐらいの長細いものを使っています)で削りつつ、測っては削り…を繰り返して高さをだいたい合わせてゆきます。ハイフレット側に向かって僅かに低くなってゆくぐらいが適性のようです。(弦が逃げるスペースを作る。) 今回は弾いているうちにローフレットが削れて音詰まりになっていくだろうと考えて、少し削っておきました。紙ヤスリは800~1200番ぐらいでやるのが、一部の削りすぎ防止となって素人には良いと思います。実際は600番とか400番でざっと仕上げるのがスピードアップの秘訣のようです。


〇フレットの山を削って作る


 今回のフライングVはフレットの山が完全に削れて四角になっています。このまま弾くと、抑えている側のフレットの角に弦が当たりつつ、逆側の角、あるいは上の面に弦が触れてビビリ音が出たり、音詰まりの原因となってしまいます。そこで、ヤスリを使って山を出してゆきます。

 マスキングした後にフレットの頂上部分にマーカーで色を塗ってゆきます。これが山を削り出す際の目安となります。
はい。塗れました。ご自身のギターと見比べてもらえると分かると思いますが、フレットが四角いです。写真以上に実物は四角い。これでは弾くのが大変です。これをヤスリを使って山を作ってゆきます。専用の山型ヤスリが販売されていますが、フレットが低いと削れてゆかなかったりして意外とうまくいきません。そこで私はこれを使っています。
本来は、フレットの端を丸めるためのものです。使い方のイメージとしてはこちらのページを参考にしてください。工具がマッチしていないのか、腕が無いからか分かりませんが、めちゃくちゃ大変です。

 作業写真を撮りたいところですが、手は真っ黒で残念ながら助手も居ませんので省略。細いヤスリのサイドを上手く使いながら形を作ってゆきます。参考ページのような美しい稜線を生み出すことはできませんが、なんとか山を作ってゆきます。最後に、紙ヤスリでヤスリの後を消しつつ角を丸める(凸部をならす)ようにザザッと削って、研磨剤を使ってフレットを磨いて完成です。

う~ん。マシにはなっていますが、写真で見るとまだまだ山がきれいに出ていない……。実物を見るともう少し丸みが出ていると思うのですが……。とはいえ、スタミナも限界なのでこれぐらいにしておきます。

なお、実際の作業では安い弦に張り替えた後、少し弾いてフレットの具合をチェックしつつ、テールピースを外して弦をどかせ、削っては弦を張って弾いて…と繰り返しています。

次回に続く。