高級キーボードとして有名なREALFORCEのR2-JPV-IVを購入しました。
旧モデルREALFORCEや高価な他のキーボードを持っている人にはあまり参考にならないかもしれませんが、そんなに高いお金を出してキーボードを買う必要があるの?みたいなところを中心に述べたいと思います。
※追記
長期使用で感じたことを別記事に書いています。
[長期使用レビュー]REALFORCEを買って良かったと実感しています[5ヶ月]
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〇REALFORCEとは
REALFORCEとは、Topreが製造販売する静電容量無接点方式のサードパーティーキーボードです。詳しくは省略します。Topreは、高張力鋼材のプレス技術を活かして業務用機器の入力装置も手掛けており、特に業務用キーボードのシェアが高いことが知られています。例えば、銀行のデータ入力用端末のシェアが非常に高いとか、セブン銀行のATMの数字入力用キーボードはTopre製だ、とか『プロ向け』という逸話に事欠きません。そういう中で、一般向けに販売されているのがREALFORCEなわけです。このREALFORCEには業務用で培われたノウハウが込められており、こと耐久性や信頼性においては非常に高いことが知られています。
〇買ったきっかけ
REALFORCEを知ったのはもう10年も前の話ですからきっかけ定かではありません。ただ、当時の自分には自由に使えるお金も少なく、キーボードに2万円払う根性が私には有りませんでした。というわけで、当時PCショップを巡ってそれなりのメンブレンキーボードを5000円ぐらいだったかで購入し、10年近く使ってきたわけです。しかし、約1年ほど前からこのブログを始めて入力数が増えてきたこともあり、REALFORCE熱が再燃しました。
そういうタイミングで、REALFORCEは2017年秋に16年ぶりのモデルチェンジを行いました。16年です。これだけモデルチェンジのサイクルが長いのであれば、今回の新作も相当気合の入った商品に仕上がっているはずとの期待感と、10年迷っていたんだからこの先10年また迷うだろうと考えて購入するに至りました。
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私はアイボリーを買いました。黒もありますが、印刷がアイボリーの方が丈夫という情報がありましたので。キー荷重は、アイボリーは変荷重タイプ、黒はALL45gとなっており違いもあります。
〇REALFORCE R2-JPV-IV
写真だけ見れば『80年代のCOMPAQに付属のキーボードだ』と言ったら信じてしまうかもしれません。いや、COMPAQ付属のキーボードと言って2018年現在にそれを知っている人はREALFORCEも知っている可能性が高いか…
それぐらい、普通のキーボードです。
キーのタッチなどは他の項目に譲るとして、外見と簡単な特徴など。裏にはキーボード奥側を持ち上げることができる折り畳み脚があります。これにより、次の写真のように持ち上げることができます。ここまでは良くある仕様なのですが、この脚が頑丈で、ガタつきが無く、ロックもパチッと明確で、脚先にはゴムの別体滑り止めが付けられています。
キーの触り心地は、サラサラとしていて滑りが良いです。確かに気持ち良いのですが、これがタイピングに良い影響を与えているかは不明ですし、そのうちサラサラが削れてくるかもしれません。キーだけではなく、少なくとも表面部分は(多少は違えど)サラサラなタッチで、全体的な作りの良さ(ひずみの少なさやエッジが綺麗な点など)と、後述する重さも含めて、とても丁寧に作られているのが伝わってきて、『良い物だ』という印象は十分に受けます。
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〇変荷重キーについて
私が購入したR2-JPV-IVは、変荷重モデルです。変荷重とは、人差し指よりも小指の方が力が弱いことに着目し、人差し指の担当範囲よりも小指の担当範囲の方が荷重が軽くなるようにチューニングされたモデルです。等荷重で、キーのストロークを調整できる仕組みが採用されており、静音タイプというモデルもありますが、さらに高価です。
さて、この変荷重モデルですが、少し使ってみて『小指の方が軽い』というよりも『どの指で使っても同じような荷重に感じる』と表現した方が近いかもしれません。小指は力が弱い分、荷重が軽く設定されているので体に感じる負荷は同等、というイメージで、そこまで小指が軽い!という印象はありません。
〇良くできていると感じる点
最初に、初めて高価なキーボードを購入した人が手に取って驚くのは重さでしょう。このキーボードはとても重いのです。これには理由があり、キーの底に鉄板が入っており、これによりキーボードのヨレを防止し、しっかりとした打感を出しています。私も、丈夫な鉄板入りのキーボードばかり触っていて、たまにセット販売デスクトップPC付属の安いキーボードを触ると、その頼りなさに驚きます。それぐらいこの剛性というやつは重要です。
試しにREALFORCEを捩じってみましたがビクともしませんでした。これまで使用していた『それなり』のキーボードでも捩じったら想像以上に歪みましたので、REALFORCEの剛性の高さが良く分かります。
次に、滑り止め部分です。非常に丈夫そうなゴム部品が貼り付けられています。また先に書いたように、折り畳み脚も非常に頑丈で、ガタなくロックはしっかりとしています。滑り止めのゴムも別部品で取り付けている手間のかかり様です。
もちろん、ここまでの内容だけではそこまで高価にならないでしょう。やはりキーにお金がかかっています。詳しい構造は他の方の紹介記事に譲りますが、使うにつれて良さを感じるキーに仕上がっています。
〇キーのタッチの詳細
打ち始めて気が付くのは、キーストロークが非常に滑らかであることです。
キーを押す際の抵抗は、大別すると、ストロークする部材の摩擦とラバーやバネによる反力が主なところでしょう。(ラバーによる減衰力は置いておきます。) 摩擦とは擦れによる引っ掛かりや重さのことです。低品質なキーボードですと、ゴリッとというか、引っ掛かりを感じることがあります。
しかしREALFORCEでは、多少斜めから力を掛けようが、サクッとしたわずかな摩擦しか感じません。その結果、少々荒っぽくタイプしようが、ゆったりとまったりとタイプしようが変わりなく打ち込むことができ、打ち込みが非常に安定します。
また、反力は軽いのですが軽すぎず、といったところです。他のキーボードの場合、最初はほんの少し重く、ある荷重を超えるとペコっと凹む感じが強い物が多いですが、REALFORCEの場合はその差が小さく、どちらかというと変化なくスムーズに押し込まれてゆくような感じがします。
この辺りは好みが出るところでしょう。クッと抵抗があってパチンと入り込むようなタクタイルフィールを好む人もいれば、REALFORCEのようなメリハリの少ないスムーズなタイプを好む人もいるでしょう。少なくとも、スムーズなフィールのなかでREALFORCEは非常に高いレベルにあると言えます。
最後に感じるのは、底突きのシッカリ感です。REALFORCEの静電容量無接点方式は底突きまで打ち込む必要が無いのですが、非常にスムーズで軽いので、軽い力で普通に打ち込めば底突きするのではないか?と思います。その時に、非常にしっかりと明瞭な底突き感があり、まさに『底を叩いている』感じがするのです。底突き時にゴムか何かが挟まっているような感じが有ったり、筐体の弱さに起因するであろうヨレとか逃げを感じるような物とは一線を画します。
底突きがシッカリしていることは、私が購入前まで予想していた以上に重要なポイントだと使い始めて感じました。というのも、タイプする上でのメリハリといいますか、どこまで打ち込んだら底を突いているかが分かりやすいので、無駄に力を入れることがなく疲労感の低減につながっていると感じるからです。底突き状態は、反力が無限大だと言い換えることができるため、REALFORCE特有の軽い反力→底突きによる無限大の反力と大きく変化します。ですので非常に明快でそれ以上力を加える必要が無いことが良く分かります。一方、底突き感が曖昧な場合は、どこまで力を入れれば良いのか不明瞭になるので、無駄に力んだりする場合もあります。
〇REALFORCE使用によるメリット
REALFORCEのキータッチのレベルの高さは、好みの差はあれど誰しも認められるものだと思います。ただ、問題は『このキータッチの良さが購入したあなたにとってどのようなメリットとなるか?』です。
入力デバイスとは言えないかもしれませんが、考えを形に起こすもので筆記用具があります。筆記用具、例えば万年筆の場合(私も一時期ハマりましたが)、書き味の良さを求めて色々と試したりします。(万年筆の場合はデザインの美しさも評価対象ですが。) 言い換えると、一文字一文字を書く際の心地よさに価値があります。
キーボードの場合も、タクタイルフィールの心地よいタイプのメカニカルキーボードやREALFORCEのようなシルキーなタッチで、文字を打つたびに『買って良かった』と感じる事はひとつの価値です。そういう意味で、REALFORCEの軽く、引っ掛かりの無いタッチは他では味わうことができず、価値があると言えます。
また、REALFORCEは、引っ掛かりの無さや入力時の反応が良くて素早い入力に追従することなどから、使用時のイライラを低減する効果が見込めます。さらに、軽いタッチと不要な力を必要とせず、明確な底突きによる『力はここまでで良い』と分かりやすいタッチは、長時間使用での疲労の低減につながり、1日に多量の入力が必要な人にとっては買う価値に繋がると考えられます。
もう一点のメリットは、主張のないニュートラルな使用感が使用時の思考の邪魔をしない点です。入力デバイスは、考えを文字情報に置き換えるツールですが、このツールの使用感に主張があると、考えを情報に置き換える時にワンクッション存在することになってしまい、考えから情報への変換機としてはマイナス点となります。これは、最初に書いた『心地よさ』と若干矛盾するところではありますが、REALFORCEの使用感がニュートラルで違和感を与える点を可能な限り減らした(軽快なフィールと変荷重キー等)ように思われるため、REALFORCEの設計思想はそこにあるように思います。そういう意味で、REALFORCEは極めて普通で非常に良くできた入力デバイスです。
※これを書いたのちに、久しぶりに情報を漁ったのですが、大昔に読んだ記憶のある猫のキーボードルームさんで3つめのメリットに近いことが書かれていました。もしかしたらこれが頭の片隅にあったのかもしれませんのでリンクしておきます。
あとは、製品寿命から考えればまだまだ短期間の使用ですので断言はできませんが、非常に定評のある耐久性もメリットのひとつでしょう。
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〇仕方ないけどデメリット
重く、滑り止めがシッカリしているので、キーボードをずらす際にはちょっと面倒です。少し持ち上げる必要があります。それだけ動きにくいということですが…
また、軽いキータッチのため、ぼんやりと書くことを考えていたら『あああああああ』と勝手に入力されていた、ということが増えました。この辺りは慣れとかクセづけが必要そうです。
※追記
長期使用で感じたことを別記事に書いています。
[長期使用レビュー]REALFORCEを買って良かったと実感しています[5ヶ月]
〇最後に
極めて私的な感想を言わせていただくと『さっさと買っておけばよかった』と思いました。それほどの使い心地の良さや疲労感の低減、満足感があります。
REALFORCEは一文字打ち込むたびに『良いな』と思わせる心地よさもありますが、どちらかと言うとストレスの無さを重視したモデルのように思われます。この軽い打ち心地が最高だ!と言う人ももちろんいると思いますし、私も同感するところです。しかし、REALFORCEの神髄は、長時間使用後に『そういえば疲労感が薄い』とじわじわと良さを感じる商品であることである、と私は考えます。そういう商品は、初見ではとても普通で、パッと触って『すげー!』という感動は薄めです。しかし安心してください。実際にじっくりと使ってみて、粗探しをしようとしても見つからない良くできた商品ですので、長く使えばその良さがジワジワ分かってきます。
どうしても試す機会が無い!と言う場合も安心してください。セブンイレブンに走ってください。セブン銀行のATMはTopre製でタッチがかなり近いです。ATMで無駄にポスポス叩いていただいて、不審者扱いされてください。
↓楽天であれば以下のお店が送料無料+ほぼ最安値です。値段の変動もちょこちょこあるみたい。
私はアイボリーを買いました。黒もありますが、印刷がアイボリーの方が丈夫という情報がありましたので。キー荷重は、アイボリーは変荷重タイプ、黒はALL45gとなっており違いもあります。