写真は、ちょうどVE&aune audio Review Tourでお借りしていたauneのM1s(レビュー記事)と。EN120と共に七福神商事扱いの商品になります。aune M1sがスッキリ系なので、EN120との相性も良いように感じました。
それでは詳しく見てゆきます。
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レビューに関する決め事はこちら
〇無理矢理一言雑感
ボーカルの明瞭さとギターのキレが素晴らしく、音抜けの良さは同価格帯随一。
〇EARNiNE EN120とは
EARNiNEは、開発兼販売を手掛ける七福神商事(TSH Corporation)(Amazonストアフロント
EARNiNEは自社でバランスドアーマチュアを開発するという意欲的なメーカであり、自社開発だからできる、きめ細やかなチューニングと低価格の両立をメリットとして挙げています。
以前、七福神商事さんがレビュワーを募集しており、正式発表の少し前に詳細な情報(価格も)は伏せたままで商品を送っていただいてレビューするという形でPRの協力しております。正式発表で初めて値段を知ったのですが、え!かなり安いな!と思わせる完成度がありました。この辺りは詳しく後に書きます。
提供品について絶賛すると、怪しい感じが出てきてしまって嫌なのですが、これは自分で買いたいと思える商品でしたし、試聴だけでもしてみて!と言いたくなる商品に仕上がっております。
サイズ感は、大雑把にfinal Eシリーズ近似と思ってもらって構いません。(EN120の方が一回り大きいですが実用上変わらないと思います。)また、ノズル系もfinalに近く、イヤーピースが使えます。汎用性の高いサイズなので、他も色々使えますね。(ついでにイヤーフックもジャストフィットでした)
ケーブルは細くツイストしたタイプで、非常に取り回しが良いです。すべりが良くて絡みにくいですし、復元力も高めで良いです。
〇EARNiNE EN120のレビュー
紹介する商品はこちら。価格などもこちらへ。
■全体の印象
中高音を中心とした緩やかなカマボコ。同価格帯のカナル型に比べれば低音は少なめだが、必要量出ているので低音控えめのフラット系と言っても良い。高音はキレも量もあって、細く、芯のある質。
ボーカル域は男女問わず非常に明瞭で、バランス的に最も印象が強く、ボーカルのキレや鮮明さを求めるなら買って損はない。聴感上の鋭いピーク(音程による大きな強弱差)は小さい。音抜けが良く、音場が広く、ホールの残響感も出る。全域を通して音のキレや明瞭さがあり、ボーカル、ギター、ピアノの音抜けの良い明るい音色が好きならば試す価値がある。音量は取りやすい。
■各音域の印象
ベース、バスドラは印象が弱め。バスドラのアタックやベースラインはキレや締まりのある音で鳴らし十分に聴こえるが、圧力や響き渡る重低音は無い。中低音の出方も関係して、ディストーションを掛けたベースのエッジの感じが明瞭。きつめのファズが掛かったベースは、エッジが目立ちすぎると感じることもある。
高めのスネアの音は明瞭で音抜けが良い。低めのタムはやや弱いが、アタックは明瞭な方。バランス的に前面に出てこずに、ボーカルやギターよりも弱めに聴こえる。
シンバルは明瞭で音抜けが良く、鋭くて、やや近い。また、細かなアタックなども鳴らすが、そこまで分解能(または超高音にかけての伸び)が良いわけではない。細く、鋭い音を鳴らし、サスティーンは中庸から長め。量の割に刺さりは少ないが、刺さりに対して敏感な人や、高音域が鋭い音源を聴く人は、刺さると評価する可能性がある。
ボーカルは男女問わず非常に明瞭でクリアで、最も印象が強い。男性ボーカルは、太さや力強さは若干落ちるが悪くない。女性ボーカルはクリアであり、音抜けやキレが非常に良い。ボーカル域(特に女性ボーカル)のクリアさを求めているなら買って損はない。サ行やパ行は刺さるかどうかギリギリのところ。ブレスノイズやリップノイズは出すが、生っぽさは控えめ。
エレキギターの歪みのエッジ感や音抜けが非常に良い。キレのある乾いた音が得意で良い。一方で中音域に集中した太いギターサウンドが少し細くなる。その場合も、キレが前面に出て、勢いはあるので、ノリの良さやスピード感から大きなマイナスにはならなさそう。
ギターのセッティングが、細く、かなりエッジが立った音かつ激しいカッティングをするような曲だと、刺さりがキツイという感じもするので、好きなアーティストの傾向とのマッチングは試したほうが良い。上手くマッチすれば、音抜けの良さで高評価につながる可能性が高い。
ピアノは明瞭で、響きがありクリアさがあり上手い。特に中~高音側の煌びやかさはなかなか良い。バイオリンは音抜けが良く、ザリッとした音も鳴らし、空間的な広がりがあり良い。響きも出るが、暖かみがあまり出ず、やや神経質な感じになりやすいため、好みの差が出そう。
大雑把な聴こえ方は普通はボーカルが強いことを念頭に置いてもらって、
ボーカル≧ピアノ&ギター>シンバル≧ベース&バスドラ
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■その他聴こえ方
サーノイズが多めだったり中高音に寄った古い音源だと、中高音の抜けやキレの良さが災いして、キツさが出て少し神経質な感じとなって、相性が悪いと感じることがあった。ただし、高音一辺倒なタイプではなく、中音~中高音にかけて十分な量が出ているので、多くの場合は問題にならない。
キレのある中高音に注目しがちだが、ピアノソロなどを聴くと低音域まで出ているのも分かる。また、バスドラのアタックやベースラインが聴こえているから、楽曲全体がスカスカした感じにならないバランスを保っている。逆に、イヤホンに低音を中心としたパワフルさを求めると良いとは思えないだろう。このような重低音~低音に対する要求量の差が、このイヤホンを高く評価するか否かの差になる。
ホールの反響は鳴らし、空間的な広がりがある。低音や中高音のキレにより、打ち込み系の表現は上手い。
■お勧めできる人
ボーカルの音抜け、クリアさを求める人。今使っているイヤホンのボーカルが篭っているように感じて不満に思っている人。キレのあるギターサウンドを求める人。
音のバランスが高音側に寄った音源はきつくなりすぎる傾向があるが、ジャンルで見れば苦手と思われるジャンルは少ないと考えている。
■お勧めできない人
重低音の量を重視する人。EDMなどはキレがあって表現は悪くないが、響き渡る低音などは足りないと感じる人も多いだろう。表現の暖かみを重視する人も、キレがありすぎて合わないと感じるかもしれない。具体的には、ボーカルの温かみや中高音の厚さを重視する人や、ボサノヴァなども悪くないのだが、もう少し暖かみがあっても良いのでは?と思わなくもない、などである。
■雑感
最初に聴いた時、好みのタイプが来た!と驚きと喜びがあった。一方で、低音の量不足で減点する人もいるのではないかな?とも思った。
使っているうちに、音のバランスだけでものすごく大雑把に分類すると、私が所有していて気に入っているAKG K612 PRO(レビュー記事)に近いジャンルになるのではないかな?と思うようになった。実際に2つを比べてみて、形式が全く違うので似ているとは言わないが、AKGのKシリーズが好きならEN120も好きになるのでは?と予想している。ちなみに、K612 PROの方が低音が出ており、EN120の方が中高音の鋭さがある。
先に、finalのEシリーズを引き合いに出したが、例えばE3000は低音が豊かで、やや柔らかな表現に対し、EN120はキレと抜けを重視したチューニングとなっており、方向性がかなり違う。(ダイナミックとBAという差があるから当たり前だが。)この2つであれば、豊かな表現が欲しい時と、ギターやボーカルのキレが欲しい時で使い分けが効くので、そういう観点から試してみるのも面白い。逆の見方をすれば、中音域の厚みや温かみを重視すると全く評価できないイヤホンとなりがちなので、このあたりは好みや希望と合っているか考えておくべき。
確かに、低音は控えめな部類だが、もう少し低音を出そうとして中高音の抜けが悪くなるぐらいだったら、このままの方が良いと断言できる程、明確な長所があるイヤホンなので、そこが自分に合うか合わないか、というところを購入基準にすればよいと思う。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆☆★
使い勝手 ☆☆☆☆★
お勧め度
一般 ☆☆☆☆★
趣味人 ☆☆☆★★
コメント
お買い得度は5500円購入時で判定。音質、作りが良く、この価格帯で少ないキャラクターを持つという存在価値があり、お買い得度を☆4つ。コンパクトさや音量の取りやすさ、ケーブルの取り回しの良さがあり、使い勝手を☆4つ。ただし、LRの判別のしにくさは減点対象。
お勧め度一般向けは、女性ボーカルの音抜けの良さを求めている人は結構多いと思うし、ライバルの少なさは置いておいても単純に良い物なのでお勧めしやすいので☆4つ。
趣味人には、キレと抜けの良さがこの価格で得られる点は優位であり、試す価値は十分にある。ただ、シングルBAの弱点は出ているので、その点は考慮して、試してみて気に入れば購入を検討してみては?という判定で☆3つ。
かなり好みな1本です。買ってください、とまでは言いませんが、お店で見つけたら試すだけでもお願いしたいな、と思っております。
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