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2018/06/21

実検するおじさん

パナソニック単焦点レンズ20mmと25mmを比較する[LUMIX][マイクロフォーサーズ]

※2018年6月21日 大幅に加筆修正しました

マイクロフォーサーズ規格を展開するパナソニックLUMIXシリーズには、低価格で魅力的な単焦点が多く展開されており、もう少し予算を出せばライカ銘のレンズも選べるなど、なかなか悩ましいです。
LUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.とLUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.の比較画像

しかも、おなじマイクロフォーサーズ規格を採用するオリンパスからも同様なレンズが多く展開されており、さらに悩ましいです。

そこで、私が所有している焦点距離がかなり近い20mmと25mmの2本の単焦点レンズであるLUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.とLUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.と比較してみました。似てると言えば似てるが、結構違う、ということが分かってもらえればうれしいです。

LUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.のレビュー記事を別に用意しました。
検討されている方はこちらもどうぞ。


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※書いてから読み直して思ったのですが、当たり前のように用語を使っていたので、分かりにくいかも、と思いました。少し用語を説明しておきます。


★寄れる
 撮影対象に近づける事。
 近くの物にピントが合うこと。

★絞り
 値が小さいとボケやすく、明るく撮れる
 F値としてあらわされる

★最大撮影倍率
 どれだけ物を大きく写せるかを示す
 寄れればその分大きく写せる

★ボケる
 ピントが合っていない部分がぼやっとボケる様
 スマホでもそういう機能が搭載されていますよね?



〇LUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.


 私が買った初めての単焦点レンズで思い入れがあります。マイクロフォーサーズ初期に登場したレンズです。他に標準単焦点が少なかったため、ボケた写真を撮るならこれしかない!みたいな取り上げられ方をしていました。正確には私が所有するのは初代で、現行はIIですが、写りに差はないそうです。ではここでざっくりとした仕様を書いておきます。詳しくは公式サイトへ。

撮影可能範囲:0.2m~∞(撮像面から)
最大撮影倍率:0.13倍(35mm判換算:0.25倍)
最大径×長さ:約φ63mm×約25.5mm
質量    :約87g

 長く使っている私の考える特徴を書きますとこんな感じ

・F1.7で明るく、ボケが得られやすい
・比較的寄れて使いやすい
・小さく軽くて持ち運びに便利
・AFはちょっとうるさくて遅い
・換算40mmはちょっと広く取れて面白い
・結構ボケる



〇LUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.


 パナソニックの単焦点ラインナップの中では比較的新しいレンズです。パナソニックでは、低価格で25mm=換算値で50mmという王道の標準レンズはこれが初めてです。こちらも大雑把なスペックを書いておきます。詳しくは公式サイトへ。

撮影可能範囲:0.25m~∞(撮像面から)
最大撮影倍率:0.14倍(35mm判換算:0.28倍)
最大径×長さ:Φ60.8mm×約52mm
質量    :約125g
付属    :レンズフード


 こちらも私が思う特徴をまとめますと、

・十分コンパクト
・比較的寄れて使いやすい
・換算50mmの画角は自然な見え方で使いやすい
・F1.7で明るく、ボケが得られやすい



LUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.のレビュー記事を別に用意しました。
検討されている方はこちらもどうぞ。

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〇焦点距離の違いによる影響


 それでは、ダンボーを被写体に焦点距離の違いによる写りの違いを見てゆきましょう。ダンボーは350mlの缶ぐらいのサイズです。
 最初に、同じ設定で同じ場所からダンボーを写します。明るさが若干違うのは雲により太陽の出方が微妙に変わっているからですので無視してください。すべて、撮った写真をPhotoshopLightroomに取り込んで、処理なしで書き出した物です。


最初に、ちょっと絞ってF5.6としました。1枚目に20mm、2枚目25mmです。
当然ですが、1枚目の20mmの方が小さく、25mmの方が大きく写っています。背景の屋上のヘリの部分のボケ方は、25mmの方がボケて(詳細が見えにくくなって)います。

 このままだと良く分かりませんので、25mmの方を離して、同じぐらいのサイズに写るようにしてみました。比較のために、1枚目に先ほどの20mmの写真をもう一度掲載します。2枚目が25mmです。
細かい差ですが、2枚目の25mmの方が少しボケていること、足元の台が、1枚目の20mmの方が上から見たような、面積が広く見えていたり、屋上のヘリが20mmの方が広くといいますか、広がりがあるように写っています。

 これは、20mmの方が少しだけ広い範囲の物を写真に押し込めているからで、もっと広角なレンズを使うと差が分かります。この差を『実用上の差は無い』と見るか『違いが大きい』と見るかでレンズ選択が大きく変わります。単純なことを言えば、25mmの方が、被写体をまっすぐに見ている感じに写りやすく、近くの物を撮るには使いやすいと言えます。

 今度は逆に、20mmを寄って、最初の25mmの写真と同じぐらいのサイズで写るようにしてみます。1枚目が20mmです。2枚目が25mmです。F値は5.6のままです。
先ほど説明したことが起きておりますね。1枚目の20mmの方がアゴ下が大きく写っており、また、足元の台も大きく写っています。これは逆に言うと、写真の中心が盛り上がったように写りやすいということです。
 20mm(換算40mm)であれば、さほど問題にはなりませんが、20mmと25mmではこれぐらいの差が生じてしまいます。


 最後にボケ方を見てみましょう。すべて開放のF1.7です。1枚目に離れて撮った20mm。2枚目に寄って撮った20mm。3枚目に離れて撮った25mm。4枚目に寄って撮った25mmです。
当然ですが、25mmの方が大きく撮れますので、25mmは、20mmと同じぐらいのサイズに撮るために、さらに離れて撮影しています。

ボケの原理は詳しくはこちらに書いてありますが、簡単に言えば、

・焦点距離が長い方がボケる
・F値が小さい方がボケる
・被写体に寄った方がボケる

という3つの関係があります。それを考えますと、ダンボーが大きく写った2枚の方が、よりボケる条件で撮影したことになります。2枚目の20mmの寄り写真が一番ボケているようにも思います。おそらく、焦点距離の20mmと25mmという差よりも、被写体に寄っていることがボケに効いていると考えられます。


〇2本のレンズを物撮りで比較する


 マニュアルフォーカスにして最短のピント位置にして、カメラを動かしてピントを合わせるようにして撮影しました。ピント位置は、Steinhartのロゴに合うようにしましたが、多少の誤差はお許しください。被写体はSteinhartのOcean One Vintage Redです。

1枚目20mm F値1.7 2枚目 25mm F値1.7 3枚目 20mm F値5.6 4枚目 25mm F値5.6 

 まぁ、多少違いますけど…。本来は、画面の端まで物が有る時に、20mmの方が中心が膨らんだように見えやすいのですが、そういう被写体でもない場合は、そこまで差を感じません。細かく見れば描写の差などはあるかもしれませんが、個人的には気にならない程度の差なので、これ以上は言及しません。


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〇買って良かったと思うこと


 正直に申し上げて、20mmと25mmの両方を所有する必要は無かった(使いどころが似すぎ)と思っていますが、少なくとも標準単焦点を買って良かったと感じています。

 この記事を読んでいる方が購入するかどうか検討する際に、単焦点レンズの使用経験があるのかないのかという点が、判断基準に大きく影響を与えるように思います。私はLUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.が初めての単焦点レンズでした。


☆単焦点レンズ初めての人

 この2本は単焦点レンズの楽しさを十分に持っていますし、単焦点の使い方の基礎を学ぶのに非常に適しています。そして、レンズとしては非常に安価です。

 どちらを選んでも、とにかく身の回りの物を撮る際に、背景をボカした写真を自分も撮ってみたい!という要望に確実に答えてくれます。後に他の焦点距離が欲しくなっても、20mm 25mm(換算50mm前後)という焦点距離はレンズの軸となりますので完全に無駄になることは稀でしょう。
↑2枚は20mmで撮影

 そして、この2本のレンズの素晴らしい所は、軽量で持ち運び易く、被写体に寄って撮りやすいことです。被写体に寄ってもピントが合うということは、自分の撮りたい構図に合わせやすく、しかも寄ることで背景がボケやすくなります。この辺りは、パナソニックは『初心者に使いやすいレンズをより安く』という信念があるように感じました。
25mmで撮影

 『写真は何でもボカせば良いって訳ではない』ってのが私の現在の考えですが、そういう考えに至るまでに、一度、ボカした写真を気が済むまで撮ってみる必要があるのでは?と思います。そういう意味では、この2本のレンズは、写真で色々とチャレンジしてゆくなかで良いパートナーとなりえます。


 さて、2本のうちどちらを選ぶかですが、より安く楽しみたい(カメラ趣味にハマるか分からない、お金を使いたくない)という人は、安い25mmを選んでも十分、いや価格以上に楽しめます。
 よりコンパクトで、写りを重視する、もしくは街角スナップを撮るのなら20mmの方が適しているかもしれません。


☆単焦点レンズを使い慣れている人
 
 換算40mmの焦点距離は珍しい距離です。35mmよりも狭く、50mmよりも広い。当たり前ですね。そんな換算40mmですが、私はどちらかというと『50mmよりもちょっと広い』と感じる方が多いでしょうか。私個人が、対象に寄って撮ることが多いためかもしれません。
↑20mm
↑25mm

 個人的な趣味の話になりますが、より『普通』な25mm(換算50mm)の写り方よりも、ちょっと広くて独特な雰囲気のある20mm(換算40mm)の写り方の方が個性があって、趣味のレンズっぽくて好きです。
 この辺りはご自身の運用方法によると思いますが、より広角の単焦点をお持ちであれば25mmを、30mmマクロをお持ちであれば20mmを、スナップ写真が多いなら20mmを、小物撮影が多いなら25mmを、などと検討するのが良いかと思います。


〇買う前に知っておいた方が良いネガティブな点


☆LUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.

 このレンズの弱点はAFが少し遅く、AF動作時に音が大きめです。コンサート会場のような静寂が必要ならば避けた方が良いかもしれません。ムービーを撮る人は、AF動作の音が入るという報告もあるので、ちょっと注意が必要です。

☆LUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.

 写りに関して細かなことを言えば、20mmの方が良く写る、という測定結果になっています。25mmも悪くないのですが、値段の割に良いというレベルであり、絶対評価では20mmの方が良いようです。ただし、私が撮った写真を見ていただいて、大きな差を感じなければ、気にしなくても良い、とも考えることができます。


☆両方通じて

 物撮りをメインで、小さな被写体の細かな部分まで撮りたいと考えると、このレンズでは物足りません。物撮り特化と考えると、パナソニックであれば30mm(換算60mm)のマクロレンズの独壇場と言えます。


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〇最後に


 最後に、私の選択を書いておきます。どちらを選ぶか決めると20mmですね。理由は、コンパクトさがGM5にピッタリであること、物撮りの使い勝手に差が無いこと、ちょっと広く写る感じが好みという3点です。

 20mmは各所で銘品と呼ばれているレンズです。一方、25mmはレビューが少ないですね。私は20mmと25mmの両方を使い込んでますが、25mmもなかなか良いレンズだと思っています。

 『単焦点レンズを買ってみよう』と考えている初心者の方は、どちらでも良いので購入を検討してもらえると嬉しいですね。単焦点レンズじゃなければできないこと(たっぷりとボケた写真など)を知っておくというのも上達の近道です。背景がボケていなくても良い写真というのはボケた写真をたくさん撮ってから分かってくる、というのが持論なので、そのための教材としては両方とも価格以上の仕事をしてくれると思いますよ。

LUMIX G 25mm / F1.7 ASPH.のレビュー記事を別に用意しました。
検討されている方はこちらもどうぞ。



このレンズと共にメインで活用しているLUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH./MEGA O.I.S.のレビューもございます。

LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH.が超便利でおすすめ