ネットで調べてみると、ヘッドホンやイヤホンの音を鳴らす際に、駆動力を上げて音をよくするヘッドホンアンプとして使えますか?というような質問があったりして、そういうものではありませんけど、使い方によっては便利ですよ、というような内容を紹介したいと思います。
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〇買ったきっかけ
弊ブログに訪問いただいている方はご存知のように、イヤホンのレビューを何本も書かせていただいております。イヤホンやヘッドホンの場合、影響が有るとか無いとか議論が絶えませんが、エージング(私は慣らし、という表現を使っていますが)があるので、しばらく音を出しておかないと本来の音にならない、ということを考慮する必要があります。
エージングが本当にあるかどうか、という議論はここではしませんが、私の体験上、それなりに影響はありそうだし、例え無いとしてもある程度鳴らし込んだ状態でレビューするのが筋ってものでは?と考えて運用しています。
(イヤホンを複数本使っていたり、箱開け後と慣らし100時間後の2回だけ比較して『変化した』と感じるなら、やはり変わっているのでは?と思います)
それで、低価格帯イヤホンを買っているので送料の都合もあって複数本同時に購入することが多く、これらを同時に慣らしをするには、それだけの数の再生機器が必要になります。1~2本なら良いのですが、3~4本になると再生機器も足りなくなってきますし、再生機器への電源供給のことも考える必要があるので結構面倒です。(レビュー待ちとかもあって200時間ぐらい平気で鳴らしをしているので…)
というわけで、1台の再生機器で同時に複数台鳴らしができる環境が欲しいということで購入しました。当然、このような使い方は特殊な用途だと思いますので、その辺は軽く扱って、本来の使い方について考えてゆきましょう。
〇HA400って何ができるの?
このHA400は、1つの音声入力で、最大4本のイヤホンやヘッドホンを鳴らすことができるヘッドホンアンプです。
このほかにACアダプタが付いています。アダプタを繋がないと使えません。
また、それぞれのチャンネルについて音量調整がついており、個人の好みや後ろに付ける機器に応じて調整ができます。すべてのチャンネルに繋がなくても使用できるので(無いと思いますが)1本だけ繋ぐということもできます。
で、これが何の役に立つかというと、複数人で同時に音を聴く用途、つまり、楽器演奏時のモニター音源を聴いたりするのに便利です。基本的な、といいますか、本来の使い方はこれです。
例えば、何かの機材から出したクリック(メトロノーム)の音を4本のヘッドホンに繋いで、4人一斉に演奏したり、先に録音しておいたベースとドラムの音源を流しながら、ギター2本とキーボードの人が演奏したりできます。もしくは、CDの音源を鳴らしながらそれのコピー演奏をおこなったり、『演奏してみた』の動画のように、元の音源をこれで鳴らしながら演奏して、それを録音したりできます。
この方法の良い所は、スピーカーで鳴らさずにヘッドホンで耳元で鳴るので、演奏はマイクを立てて録音する際に、音源が入らずに済みます。
また、楽器の音が大きい場合、例えば吹奏楽器は音量を落とすのが難しいですので、演奏するとそれだけ音量が大きくなってしまいます。すると、モニター用の音源も聞こえる音量でスピーカーから音を出そうとすると、かなりの音量が必要となり、それだけの音量を稼げる機材というのはなかなか確保が難しいです。しかしこれであれば耳元で鳴らすことができるので、そのあたりの運用が楽になります。
〇工夫次第で色々使える
ここまでは、基本的な使い方でした。ちょっと工夫すると色々使えるということを考えていましょう。
ありあわせの機材や屋外でライブを行う際に、ギターアンプを使わない、ということがあります。先ほど書いたように吹奏楽器はそこそこの音量が出ますし、ドラムやベースもそれに負けない音量となると、それなりに大きくなります。
で、本来であればギターアンプの前に立ってギターが自分の音を聴きながら演奏するのが普通ですが、機材の都合でギターアンプが無い場合は、ギターの音をアンプシミュレータに入れて、その音をPAに入れて出すということが、無いことも無いです。
そうすると、自分の音が自分より前におかれたスピーカーから向こう側に向かって出されるので自分の音が全然聞こえません(泣)
そこで、アンプシミュレータからの音をHA400に入れて、1つは自分のヘッドホンなどに、もう1つをPAに入れるという方法が取れます。
同じような使い方としては、録音の際に、アンプシミュレータの出力をHA400に入れて、1つは自分で聴いて、1つは機材に入力する、という方法も取れます。(アンプシミュレータにヘッドホンアウトと機材用ラインアウトの2つある場合も多いので、1人で使う場合は、これだけのために購入するということは無いと思いますが…)
以上は楽器を演奏する人向けの用途でしたが、イベントなどで各所から音を出したいという場合も結構使えます。 パソコンなどで良く使われるアンプ付(電源付)スピーカーなどを使って、複数個所で同時に音を鳴らしたい場合、これに入れてここから分岐することができます。広い部屋や屋外にてBGMを鳴らす場合は、大型のスピーカーを使ったり、PAから複数のスピーカーに出力することが考えられますが、そのような設備が無い場合では十分に使えそうです。
〇HA400の良い所
1つの入力で複数に出力できる機材(しかもヘッドホンを鳴らせる)という機能を考えると、ミキサーなどでそのような役割を持たせることもできます。
しかし、ミキサーなどは出来る事が多い分、サイズも大きくなりますし、価格も高くなります。色々な機材が安く買えるようになってきたとはいえ、HA400が4000円弱で買えることを考えると、コストパフォーマンスは高いです。
(ミキサーはそもそも複数の音を合わせる機材なので、複数台、特に3本以上のヘッドホン出力があるものは大型で高価になってきます。)
↑探してみましたけど、HA400に比べれば高価ですが、同じようなことは出来なさそうです。
また、それぞれに音量調整ができる点も注目で、それぞれが使うヘッドホンに合わせてだったり、個人の好みで音量調整ができるので便利です。
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〇音質は?
それなり、とだけ言っておきましょう。内部の写真をアップしている人がいましたが、超簡単ヘッドホンアンプ自家工作レベルの回路ですし、そこまで良いアンプは使われていません。
電源の品質もそれなりなので、電源を買い換えるなどすればノイズも減ったりするでしょうが、そこを追い込むなら別のものを選んだ方が幸せに慣れそうです。
少なくとも、これを使うことによってヘッドホンが力強く鳴る!なんてことはありません。スマホの貧弱な出力に比べれば良いでしょうが、そのためにこれを買うのは用途として合っていません。それであれば、同じぐらいの価格で購入できる以下のヘッドホンアンプを使うのがよっぽど良いです。しかも、ポータブル対応でバッテリ内臓なので、ポータブルオーディオの音質改善という用途としてはこちらのほうが適しているでしょう。
TOPPINGのメーカ名を聞いたことがない人も多いかと思いますが、なかなか堅実なモノ作りをするメーカです。私はTOPPINGのデスクトップ用のDAC+ヘッドホンアンプを愛用していますが、動作は安定していますし、音質は絶賛するほどではないにせよ、十分に使えるレベルですし、なにより安いです。内部の作りを見ても、なかなかきれいなはんだ付けがされており、品質管理も上々のように思われます。
〇私の使い方
さて、話がそれましたが、私の使い方をもう少し書き足しておきましょう。
先に書いたように、私は複数台のイヤホンの慣らしを同時に行うのに使っていますが、それ以外にも用途がありそうだったので購入しました。
それは、複数のイヤホンを比較する場合です。
先ほど書きましたが、音質的には大したことがないので、HA400を使いながら細かな音質チェックはできません。しかし、複数本、例えば、final E2000とE3000の音の特徴の違いを比較したいと考えた場合に便利なのです。
1つの機材で比較する場合、一度機材から抜いて、刺しなおして、装着して…となります。しかも、finalのEシリーズなら音量はほぼ同じですが、全く違うイヤホンを比較しようとするとそれぞれで音量が異なるので、音量を調整し直して…という作業が必要になり、音量を調整している間に前の音が分からなくなる、なんてことがあります。
イヤホンによって違いますが、音量が大きい方が音は良いと感じやすい(大きな駆動力で鳴らすと全体的に鮮やかになるイヤホンが多い)ので、そのあたりの判断が難しくなります。しかし、HA400であれば、あらかじめ同じような音量になるように調整しておいて、とっかえひっかえ比較することができます。
とまぁ、詳しく書きましたが、こんなことが必要になる人はとても少ないと思うので、参考にならないと思いますが、こんなことをしながらレビューしてますよ、という程度に思ってください。
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〇HA400を買う前に注意事項
このHA400の弱点は、すべての端子が6.35mmの標準フォーンジャックとなっています。このようなPA機材の標準がこれですので仕方ないと思いますが、DAP出力やイヤホンプラグが3.5mmが多いことを考えますと変換プラグが必要です。
あんまり安いやつを買うと接触不良なども気になるところですが… それなりの物を買うと、結構な金額になるんですよね…
以下のリンクは5本セットです。う~ん。品質の保証はしません。
〇買い物かごの中身の評価
大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。
お買い得度 ☆☆☆☆★
使い勝手 ☆☆☆☆★
コメント
こちらの商品に関しては『このような使い方を求めている』ということが大前提ですので、そういう用途がある人にとってのお買い得度と使い勝手を評価します。
1つの音源を複数人で聴けるようにする、という機能を持った機材で、ここまで低価格な物はほとんどありません。一般的にはミキサーのようなコンソールで行うのが多いと思いますが、ちょっと試す程度で考えると、やはり低価格なのは強みです。そもそも『聴けるようにする』ということだけが目的の場合は、それ以外の機能は使わないわけですので、高価なミキサーはもったいないです。というわけでお買い得度☆4つ。
使い勝手も☆4つ。比較的鳴らしにくいヘッドホンもそれなりに鳴りますし(音質はそもそも△なので、鳴ればOK程度に考えてくださいね)イヤホンであれば十分な出力です。また、各出力の音量調整がついている点や、電源用のACアダプタが付属している点等などから高評価に。私はミニプラグから標準プラグへの変換をいくつか持っていたので大丈夫でしたが、それを持っていない人はもう少し低い評価になると思います。
あと、細かいことですがスイッチが付いていないので、電源を接続すると電源ONのままになります。そこを気にする人はご注意ください。